2011年11月10日 15時13分
S・ソダーバーグ監督が来日 新作『コンテイジョン』で「究極の状態に置かれた時に何ができるか」を問う
映画『コンテイジョン』の来日記者会見を行ったスティーブン・ソダーバーグ監督 (C)ORICON DD inc.
『オーシャンズ13』『トラフィック』(アカデミー賞監督賞受賞)『エリン・ブロコビッチ』などの作品で知られるスティーブン・ソダーバーグ監督が10日、都内で新作映画『コンテイジョン』(11月12日公開)の来日記者会見を行った。2008年以来3年ぶりの来日に際し、「日本では今年3月に大変な災害、事故が起こってしまいました。私もこの映画を作るにあたって、人間というのは究極の状態に置かれた時に、どのように対応するのか考えてきましたので、日本の皆さんが普通の生活に戻れたらいいなと、行きの飛行機の中で願っていました」と語った。
同作は、数日で命を落とす謎のウイルス感染が地球規模で発生、その目に見えない恐怖はウイルスよりも急速に広がり、人々の心に被害妄想を植えつけ、パニックに陥り、日常が崩壊していく物語。「例えば麻薬は避けられるが、バイ菌の場合はそうはいかない。そこら中に蔓延しているものであり、万人に関係してくるいい作品テーマだったと思う」。
東日本大震災によって、被災地はもちろんだが、東京都心部、日本中がある種のパニック状態に陥った。ソダーバーグ監督は「究極の状態に置かれた時に人間はコミュニティのために自分を捨てて何ができるかを問われる。そこで何かできたら、ほかに問題があっても希望になる」と話した。
同作は、マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレットらスター俳優が多数出演していることでも話題の作品。「一人ひとりの撮影にかかる時間が短い時間で済むと聞けば、俳優としても参加しやすい状況だったんじゃないかな。それだけこの作品は演技力のある俳優を多く必要としていた。一人ひとりのキャラクターに多くの情報が設定されていたし、映画自体の展開も早いことを考えると、観客がきちんと作品とつながっている感覚を持ちながら映画を観てもらうには、それなりの演技力が必要とされる。100年以上の映画の歴史の中で、スターはたくさんいるが、そういうスターがたくさん必要な作品だったと思う」。
ソダーバーグ監督にとって最大の恐怖は何かという問いには、ロマン・ポランスキー監督が描いた、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画『リプルション』を例に挙げ、「自分が感じている感覚が、他の人が感じている現実とは違うことが分かったら、混乱してしまうでしょうね」と話していた。