2018年01月12日 13時20分

働き方改革で各人事も注目、福利厚生の実力

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各社人事が注目する福利厚生サービスとは(写真はイメージ)

 給料やボーナスなどの金銭報酬とは別に、企業が従業員のモチベーションアップのために支給する福利厚生。バブル崩壊以降、削減傾向にあったこのサービスが、今、人材を確保するための人事政策の鍵として企業から熱い注目を集めている。2017年オリコン日本顧客満足度調査福利厚生サービス第1位を獲得したリロクラブの代表取締役社長・河野豪氏に、ニーズが増えているというサービスの現状と今後の展望について聞いた。

■バブル期を超える人手不足解消に向けて企業が導入

 福利厚生とは、企業が従業員の生活の向上を支援するために実施するもので、法律で義務付けられている社会保険料や年金などの“法定福利”と、企業が独自で設けている“法定外福利”の大きく分けて2種類がある。後者は任意のため、実施するかしないかは、各社の判断に委ねられるが、政府が力を入れる「働き方改革」により、やりがいや充実感を持ちながら働き、プライベートな時間も健康で豊かに生活できる“ワーク・ライフ・バランス”が重要視されている今、力を注ぐ企業が増加している。同時に、企業の補助によって利用できる福利厚生メニューを、旅行や宿泊から、飲食、医療、慶弔、資格取得、ベビーシッター、介護関連に至るまで幅広く揃え、運用から管理までを代行する福利厚生アウトソーシング会社の人気も高まっているようだ。

 企業側の思惑としては、「バブル期も人手不足が企業にとって大きな課題でしたが、有効求人倍率がバブル期を超えたといわれる今、優秀な人材を確保し、繋ぎとめることがどの企業にとっても最大の経営課題となっています。そのため、給料とは別に支給される福利厚生を充実させて、従業員の満足度と定着率を高めたいと考える企業が急速に増えています」(リロクラブ代表取締役・河野豪氏/以下同)。

 同調査にて1位を獲得したリロクラブは、1993年より福利厚生アウトソーシングサービスをスタート。立ち上げのコンセプトは、「福利厚生サービスを行えていない従業員100人程度の会社を100社集めれば、1万人の企業と同じ規模となり、中小企業でも宿泊施設や余暇施設などを保有している大企業並みのサービスを提供できる」というものだった。しかし、直後のバブル崩壊から銀行への公的資金投入が行われた90年代後半にかけて、日本経済の危機的状況を背景に、自社での福利厚生の運用が困難となった大手企業が続々、経費削減のために自社のものを廃止してアウトソーシングサービスに移行。現在はさらに、会社の規模に関係なく、ニーズが増えている状況だという。

■細やかなライフサポートで離職率低下へ 内定辞退者対策も

 また、近年、顕著なのが、求職者の福利厚生に対する意識の高まりだ。「会社説明会などで福利厚生について質問する人は大変多いそうです。最近は、エントリー前に皆さんホームページでも確認しますから、そこで目を惹いてもらえるよう、当社では、福利厚生サービスについて紹介するサイトの制作も代行しています」。

 気になる人気のサービスは「昔ながらの保養所等宿泊施設は根強い需要があります。また、最近の傾向としては、企業が従業員の健康に配慮することによって経営面においても大きな成果が期待できる“健康経営”の考えのもと、スポーツクラブの需要が増えていること。働く女性の増加により、託児所やベビーシッターのニーズも高まっています」。

 従業員が福利厚生に求める内容は、年齢や家族構成、置かれている立場や収入などにより、一人ひとり異なるのが現実。そのため、最近では、全従業員一律ではなく、会社が与えた一定のポイントの範囲内で各自が好きな制度を利用する“カフェテリアプラン”を採用する企業も増加の傾向にあるという。さらにリロクラブでは、内定辞退者対策のための内定者向けのメニューから定年退職者向けのメニューまで用意。各年代に対応したきめ細やかで多彩な分野のライフサポートを実現している。

 「人事が頑張ればできることを提供しているのでは、我々の存在の意味がありませんからね。我々のサービスを利用することで、従業員が何の心配もなく仕事に専念でき、いい人生が送れるよう、さらにリロクラブはここまでやってくれるのかと言われるサービスを目指します」。従業員の会社に対する満足度を上げ、人事戦略上有効なツールとなる福利厚生サービスは、今後ますます多岐にわたり、進化していくことだろう。

(文・河上いつ子)

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