2008年10月06日 12時00分

刑務所の食事に込められた苦労とは!? ムショメシを体験

5日(日)に行われた法務省の「法の日フェスタ 赤れんがまつり」プログラム「刑務所の食事体験」で供されたチキンカレー  [拡大する]

5日(日)に行われた法務省の「法の日フェスタ 赤れんがまつり」プログラム「刑務所の食事体験」で供されたチキンカレー 

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 「臭いメシ」といえば刑務所の食事に使われる隠語であることはあまりにも有名。しかし、はたして本当に臭いのだろうか。そしてその味は!? メニュー構成は!?  人生を棒に振る覚悟がないと食べられない“ムショメシ”を、5日(日)に行われた法務省の「法の日フェスタ 赤れんがまつり」内のプログラム「刑務所の食事体験」で味わってきた。そこで出されたメニューには、受刑者の心身を健康に保つための栄養バランスと1日あたりの費用、秩序を重んじる意外な努力があった。

 イベントで来場者に供された“ムショメシ”はチキンカレー、パンプキンサラダ、福神漬。とある刑務所の土曜昼のメニューを再現していて、本来ならこれにオムレツが添えられるという。意外と豪華なことに驚きだが、もっと驚いたのはその風味。臭いメシどころか、普通に旨いのだ。肉が妙に小さいということもなければ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモといった“カレーの野菜ビッグ3”もしっかりと入っている。しかも、ポテトサラダじゃなくてパンプキンサラダなあたりに、こまやかな気配りを感じるじゃありませんか。

 唯一変わっているのは、米と麦がブレンドされていること。これは受刑者の健康に考慮し、昔から麦飯を出していたことに由来するらしい。昔の麦飯は独特の風味と臭いがあったため、そこから“臭いメシ”と言われるようになった…という説も。ちなみに現在では、米7:麦3のバランスになっている。
 
 ムショメシは受刑者1人あたりの食費は1日521.25円、1日あたりの総カロリー数は1100〜1300カロリーだという。人によっては少ないという印象を受けるのかもしれないが、おかわりができるのだろうか? 同省係員に話を聞いてみたところ、「おかわりは一切できません。刑務所や更生施設での食事は“心身の健康を保つ”ためにありますから、それを保つための最低限の量は出しています。それに、誰かがおかわりを始めるとその瞬間から平等ではなくなってしまいますから」とキッパリ。育ち盛りが集まる少年院では、“食育”の観点から栄養素を増やしているが、こちらもおかわりはNGとのこと。

 受刑者に出される料理は酢豚やチキンのトマト煮、豚カツ、だし巻き玉子、大根のそぼろ煮などバラエティ豊か。各刑務所によってメニューは異なり、月に一度各所で献立を決める会議が行われており、最終的には管理栄養士がメニューを決定しているという。

 塀の中の受刑者たちにとって、食事は唯一の楽しみ。その日のメニューで一喜一憂している者も多いとか。「受刑者たちの好みは、どこの刑務所でもそうらしいんですがスパゲティーやカレー、ハンバーグなどのようです。でも、リクエストは一切受け付けません。唯一対応するのは宗教上の理由で特定お肉が食べられないという場合です。刑務所といえども、信仰の自由は認めないといけないですから」。

 予算、カロリー、食育、公平性…。それらをすべて考慮して決められるムショメシには、担当者たちの苦労がたっぷり詰まっているのだ。

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