2010年04月08日 10時00分
「あっちむいてホイ」の脳内メカニズム、北海道大学が解明
指された方向と違うところを向く遊び「あっちむいてホイ」を行っている時の脳内メカニズムを、北海道大学が解明した
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北海道大学は7日、「あっちむいてホイ」を行う時の脳内メカニズムを解明したと発表した。今回の成果は「統合失調症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病などの精神神経疾患の病態解明に役立つ」としている。 今回の研究ではリンゴジュースをごほうびに、サルに訓練を行って実践。モニター中央の固視点の色に応じてターゲットを目で追う動きとターゲットの反対側を見る動きを行わせ、神経細胞の集まりである“基底核”や小脳からの信号を大脳皮質に送る情報伝達経路の“運動性視床”を調べた。
その結果、ターゲットを反射的に追う眼球運動より、「あっちむいてホイ」のような任意の動きのほうが視床の神経活動が増大していたほか、微量の薬物を注入して一時的に神経活動を抑えると、ゲームに失敗する回数が増加。視床から大脳皮質に送られる信号が、こうした行動の制御に影響していることをつきとめた。これまで行われてきた研究によって、“随意性眼球運動”に大脳皮質のいくつかの領域が関与していることが示されていたが、視床が関係していることが明らかになったのは初めて。
同大学によると、統合失調症などの精神神経疾患では衝動的な行動を抑えることが困難となるため、指している方向を向いてはいけない「あっちむいてホイ」のような遊びでも、つい示された方向を見てしまう傾向があるという。「この研究成果は、アンチサッカード(随意的な眼球運動)の制御に障害がおこる、様々な精神神経疾患の病態解明の手がかりとなる」と同大学は期待を寄せている。