市販の「鎮痛剤」、箱に書かれた“胃にやさしい”の真実とは?

いまやネット通販でも購入可能な「鎮痛剤」。身近になった薬だからこそ、副作用を知り、胃への負担軽減を意識してほしい。 [拡大する]

いまやネット通販でも購入可能な「鎮痛剤」。身近になった薬だからこそ、副作用を知り、胃への負担軽減を意識してほしい。

 新生活がスタートし、漠然と抱えた不安やストレスから、頭痛などの不調を訴える人は少なくない。市販の鎮痛剤を常備している人も多いだろう。しかし、市販の鎮痛剤のパッケージに書かれた「胃にやさしい」の意味をご存知だろうか? ORICON STYLEでは日本大学医学部麻酔科学系 主任教授の小川節郎氏(以下 小川教授)に取材を敢行し、「鎮痛剤」と「胃にやさしい」の関連を伺った。

■知らないままではキケン! 鎮痛薬の副作用『胃粘膜障害』とは?

―― まず、鎮痛剤のテレビCMで、キャッチコピーとしてよく使用される「胃にやさしい」。痛みを鎮める薬のPRに使われるのはなぜですか?

【小川教授】まず、痛みとは身体の部位で炎症がおこると発生します。炎症部位でプロスタグランジン(※以下「PG」)が過剰に生産され、痛みが発生するのですが、いわゆる市販の鎮痛薬は、このPGを減少させる成分からできています。ですが、PGは胃の粘膜の血流などを保持する役目もあるので、これが鎮痛剤で減少することにより、「胃粘膜障害」発生の副作用が高い確率で存在します。
 そのため、製薬会社はいかに胃障害を減らすような製剤を作ったかを誇張できるよう、「胃にやさしい」という言葉が重要になるのです。

―― では、病院で鎮痛剤をもらう時にも必ず「胃薬」も処方されますが、これはなぜでしょうか?

【小川教授】 病院で処方される鎮痛剤は非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれ、こちらも痛みの原因になっているPGの産生を抑制します。市販薬と同様に、胃障害が起こりやすくなるので、鎮痛薬の処方時には、胃粘膜保護を目的に「胃薬」が同時に処方されるのです。

―― もし、胃薬を服用しないまま鎮痛剤を飲み続ければ、体には大きな負担が?

【小川教授】 「胃薬」を飲まないと、胃粘膜が荒れて胃痛、胃潰瘍、出血、消化不良などが発生します。

■“鎮痛剤と胃薬”の飲み併せを、自己判断できる?

―― では、鎮痛剤を自分で選ぶとき“女性向け、男性向け”といった基準、もしくは高齢者向けなど、性別・年齢別での鎮痛剤選びのポイントなどはあるのでしょうか?

【小川教授】女性向け、男性向けでの区別はありません。高齢者では、PGを抑制する作用がない「アセトアミノフェン(商品名:カロナール)」が安全で、もちろん、小児から高齢者まで男女を問わず使用できます。
 また、正常なPG生産の作用にあまり大きく作用しないとされる一連の鎮痛薬「シクロオキシゲナーゼ2拮抗薬(商品名:セレコックス、モービック、ハイペンなど)」は、胃障害が少ないとされています。

―― 胃障害を引き起こしにくい薬も存在するのですね。では、飲み併せの胃薬について伺いますが、鎮痛剤ごとに相性の良い胃薬などはあるのでしょうか?

【小川教授】 鎮痛薬と同時に服用すべき胃薬で、確実に有効なものは「プロトンポンプインヒビター(商品名:オメプラゾール、タケプロン、など)」と呼ばれる種類の薬剤のみです。この薬は胃酸分泌抑制作用を持ち、単純に粘膜を保護するだけの胃薬は、鎮痛薬による胃障害を防げないことが最近の研究でわかってきました。
 しかし「ある鎮痛薬と相性の良い胃薬」といったものは、ありません。

 今回の取材でみえてきたことは、ひとくちに“鎮痛剤”といっても種類・成分はさまざま。だからこそ、製薬会社側は“胃にやさしい”という言葉を重要視しているようだ。季節の変わり目も手伝って、何かと体調不良を引き起こしやすくなる時期。自己判断で市販薬を服用し続けるより、まずは医者に相談し、体に負担の少ない鎮痛剤の服用を心がけ、大切な胃をしっかりガードしてほしい。

(取材協力:日本大学医学部麻酔科学系主任教授 小川節郎氏)

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