2013年12月10日 11時00分

<『みんなの家庭の医学』おさらいニュース>慢性的な“筋肉のこり”が激痛に!

慢性的な“痛み”に慣れてしまうことは危険! [拡大する]

慢性的な“痛み”に慣れてしまうことは危険!

 ORICON STYLEと朝日放送『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(毎週火曜午後8時放送)のコラボ企画“おさらいニュース”では、1人の患者が見舞われた座れないほどのお尻の激痛にスポットを当て、“ペインクリニック”の重要性に迫る。

■お尻が痛いから、立ったまま食事!? 

 慢性的なお尻の痛みに悩まされていた、都内の不動産会社に勤めるYさん(49歳/男性)。1年程前から座っているだけでお尻から足にかけて痛み出し、ついに家での食事は椅子に座らず立ったまま摂るほど痛むようになってしまった。Yさんは肛門科や整形外科など4つの病院を訪れ、徹底的な検査を受けたが、原因を突き止めることができずにいた。

 そこで、東京慈恵会医科大学附属病院 麻酔科 ペインクリニック診療部長の北原雅樹先生のもとを訪れ、セカンドオピニオンを受けることに。北原先生は20ページ以上にわたる問診票に目を通し、続いて、痛みが現れるお尻から足にかけての診察を行った。ここで注目したのは、Yさんの下半身の筋肉の固さだった。メインの患部であるお尻の触診となり、臀部周辺を指で押し始めると、Yさんは痛みで悶絶した。

先生によるとYさんの臀部周辺には痛みの引き金となる「筋肉のこり」が多数存在するという。筋肉のこりとはいったい何なのか?それは、同じ姿勢を続けたりすると筋肉の一部分が固くなりできる、あずき豆からうずらの卵くらいの大きさの筋肉のこりのこと。これができるとこりから痛みの信号が発信され、こりの部分だけでなく少し離れた周辺組織にまで痛みが出現するのだ。慢性的な肩こりや腰痛の新たな原因として今注目されており、Yさんの臀部周辺にも20ヶ所以上あることが判明した。そしてその筋肉のこりによって引き起こされる慢性痛、「筋筋膜性疼痛(きんきんまくせいとうつう)」と診断された。

 同症状を患ってしまったYさんの背景として、加齢に加え趣味のフットサルをする前後のストレッチ不足で下半身の筋肉が固くなり、筋肉のこりが多数できてしまったと考えられた。

■実際の刺激は無くても「痛い」と感じる脳の働き

 しかし、通常ではYさんほど深刻な状態になることはあまりない。では、なぜYさんのお尻の痛みは座ることができないほど悪化してしまったのか? 北原先生がもう一つ注目した点が、患者自身が抱える「不安感」だった。膨大な問診票を使って患者の心理状態を掘り下げる中で、Yさんは「痛みが消えるかどうか、ずっと気にしている」という項目に対し、【非常にあてはまる】と回答するなど、痛みに対する不安感や絶望感がとても高いことが浮き彫りとなった。こういった痛みへの大きな不安感は脳に強いストレスを与え、さらに痛みを増幅させていたと考えられる、と先生は指摘した。

 「脳と痛み」に関して、愛知医科大学 学際的痛みセンターが行った実験によると、腰痛経験者に腰痛を連想させる写真を見せ脳がどのように反応するか調べたところ、物理的な刺激がないにもかかわらず、写真を見て“痛い”とイメージするだけで痛みを感じてしまう、という結果が出た。Yさんの場合もこれと同様で、原因不明という絶望感や本当に治るのだろうかという将来への不安などが脳にストレスを与え、痛みを増幅、長期化させていたと考えられるのだ。

 疾患の原因が解明したYさんには、鍼を使った治療が始まった。この治療は、通常の注射針の3分の1というきわめて細い鍼を使い、筋肉の奥深くにある、指ではほぐせないこりを直接刺激していくもの。さらに、理学療法士の先生からも、テニスボールを使って自宅でできるこり解消法を教えてもらい、Yさんの抱えていた痛みや病気への不安感は徐々に和らいでいった。治療を始めて1ヶ月後、お尻の痛みはかなり改善し、立って食事をする回数も減ってきているという。病は気からというように、持病を長期化させない治癒への第一歩は自分の中にあるのかもしれない。

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