自転車保険で「セブン」が最も評価された理由 進む「加入義務化」、選ばれる保険の共通点は

※記事は2016年4月1日に東洋経済オンライン(外部リンク)に掲載されたものです。
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 4月は入社や入学、転勤や転校のシーズンだ。多くの社会人、学生が新しい職場や学校に通うようになり、自転車通学・通勤がスタートしたという人も少なくないだろう。

 そんな自転車利用者の「保険」への関心が、近年にわかに高まっている。背景として、自治体の条例により自転車保険への加入を義務化する動きが出てきたことも見逃せない。
 
 では、最も注目を集めている自転車保険はどこのものなのか。自分に合うものをどんなふうに選べばいいのか……。加入者を対象にした顧客満足度調査に基づき、探ってみた。

セブンにドコモ、新勢力が上位に

 オリコンが昨年12月に発表した「自転車保険」の顧客満足度調査では、過去4年以内に自転車保険に加入したことがある18歳以上の男女4007人を対象に、「保険料」「加入手続き」「商品内容の充実度」「商品内容の分かりやすさ」「アフターフォロー」「会社の信頼性」の6項目に関する質問を行い、それぞれの満足度を100点満点で評価した。

 その結果、今回は「セブン‐イレブンの自転車保険」が評価項目総合1位に輝き、2位に「ドコモ サイクル保険」、3位に「あいおいニッセイ同和損害保険」がランクインしている。

 評価項目別のランキングを細かく見てみよう。保険料に関しては、トップから「あいおいニッセイ同和損害保険」「損害保険ジャパン日本興亜」「ドコモ サイクル」が続き、損保大手2社の強さが光った。

 だが、加入手続きではトップから「セブン‐イレブン」「ドコモ サイクル」「au損害保険」、商品内容の分かりやすさでは「セブン‐イレブン」「au損保保険」「DeNAトラベル」がそれぞれランクイン。いずれも新規参入組、特にセブン‐イレブンの存在感が際立っている(詳細はオリコン日本顧客満足度ランキングに記載)。
 
 ユーザーのコメントを見てみると、1位のセブン‐イレブンについて「コンビニで手続きができるのが便利」「保険屋さんと直接会わなくても加入できる」、2位のドコモ サイクルには「ドコモユーザーなので加入が簡単」「スマートフォンから手軽に申し込めた」など、“入り口”となる加入手続きのしやすさが重要視されていることがうかがえる。

 実際に上位2社は、「コンビニ」や「スマホ」などユーザーにとって身近で日常的な接点を媒介としている。3位のあいおいニッセイについても「コープ経由で加入したため手続きが簡単だった」など、手軽さに満足している加入者像が浮かび上がる。

 もっとも損保各社は、前述の「保険屋さんに直接会わなくても加入できるのがいい」といった消費者心理を、十分わきまえているようだ。実際、セブン‐イレブンは三井住友海上火災保険と提携、ドコモは東京海上日動火災保険と提携し、それぞれ自転車保険を商品化している。損保業界としても、タイアップや共同開発でしっかり接点を増やす努力をしているのだ。

 6位のauも、今年の2月に自転車販売の全国チェーン店「サイクルベースあさひ」と共同で自転車保険「サイクルパートナー」を商品化している。全国に400以上店舗を持つ日本最大級のチェーンで取り扱うことで、ユーザーとの“接点”をさらに増やし、手軽さ、身近さを高める狙いだ。こういった試みは、今後も増えていくかもしれない。

自治体も「独自サービス」の提供に乗り出す

 自転車保険各社の競争が熱を帯びるなか、保険加入を義務付ける地域も増えてきている。兵庫県では昨年10月、全国で初めて自転車保険の加入を義務付ける条例を施行。これに続き、大阪府や滋賀県も同様の条例を年内にも施行する運びとなっている。

 なかでも大阪府では「損害賠償保険に入っていない府立高校の生徒の自転車通学は、原則として認めない」という方針を打ち出すほどの徹底ぶり。また、横浜市の交通安全協会は自転車保険「ハマの自転車保険」を創設し、今年2月から加入者を募集している。

 こういった行政サイドの取り組みは、自転車事故の高額賠償事例が相次いでいることを踏まえたものだ。歩行者や自転車同士でぶつかり、大事故となって1億円の賠償金を求められるようなケースも、決して少なくない。そのため、条例化や新制度創設の動きが活発化しており、全国各地でさらに加速すると思われる。
 加入義務化により注目が集まる自転車保険だが、昨年8月末時点での「自転車保険の認知度」は、50%足らず(共同通信社の調査より)。調査時点から半年以上経過し、義務化の動きが広まったことから、いま現在の認知度はだいぶ向上したと見込まれる。

 だが、それでもまだ課題は残る。自転車利用者の人口は7000万人台に達しているが、保険の加入率は20%程度にとどまる。

日常生活の事故を総合的にカバーするものも

 認知度、加入率ともまだまだ低水準ではあるが、裏を返せば、自転車保険市場にそれだけの伸びしろがあるということだ。掛け金自体もおおむね月額で数百円、年間では数千円と低額であるため、今後加入者が増えていくのは間違いないはずだ。

 また、補償内容にも工夫や独自性をこらしたものが増えている。乗車中の事故だけでなく「買い物中に展示物を誤って落とした」「階下の家に水漏れを起こし家財に損害を与えた」といった、日常生活の事故を総合的にカバーする種別も少なくない。

 保険各社はこうした有用性もアピールして、新規加入者の獲得に力を入れている。人口減や若者の車離れから、主力の自動車保険が頭打ちの損保業界にとって、自転車保険とその発展形への取り組みは急務だろう。