被害弁償について
自転車は免許制度がなく、子供からお年寄りまでだれもが気軽に運転できます。また一台数百万円する自動車とちがい、一台わずか数万円の自転車は十分な収入や財産が無くても購入が可能です。逆に言うと、収入のない無職の人や学生や子供などを含めどのような人が運転しているのかがわからない、ということでもあります。
誰でも気軽に利用できる気軽さ故に、自転車事故に巻き込まれてしまったとき、その事故の加害者が無職や学生・子供である可能性は十分にあり得るのです。通常事故の被害者となってしまったら、治療費や休業損害、傷害慰謝料、後遺症が残れば後遺症慰謝料や逸失利益、重度の後遺症の場合には、被害者の余命期間にわたる介護費用の請求も認められます。しかし、これらを合わせると非常に高額になってしまいますから、すべて加害者自身が負担しての支払は困難であると言えるでしょう。
しかし、自転車には自賠責保険のような強制加入の保険が存在しません。加害者が任意の自転車保険に加入しているか、あるいは個人賠償責任特約をつけた保険に加入していれば、保険会社に対して損害賠償の請求が可能ですが、加入していなかった場合は、最低限の賠償金すら受けられない可能性があるのです。
このように加害者が自転車保険に加入しておらず、さらに無職や学生・子供など安定した収入や財産がないような最悪のケースでは、賠償金が1円も支払われないということもあります。