おさえておきたい自転車事故の慰謝料計算

  • おさえておきたい自転車事故の慰謝料計算

 近年、自転車と歩行者の自転車事故において高額な損害賠償金の支払いを命じる判決が増えてきています。このような損害賠償金のなかには、治療費や休業損害といった財産的損害だけでなく、精神的損害である慰謝料も含まれています。当たり屋とまではいわないまでも、被害者のなかには、加害者に法外な慰謝料を要求する人もいます。ですから、自転車利用者ならば万が一の自転車事故に備えて自転車保険に加入するだけでなく、慰謝料の相場についての知識を持っておいて損はないでしょう。今回は、自転車事故における慰謝料についてご説明します。
 加害者におよそ9500万円という高額な損害賠償金の支払いが命じられた2008年の自転車事故は、ニュースでも取り上げられ、多くの自転車利用者が他人ごとではないと感じたでしょう。9,500万円という高額な賠償金、その内訳は、

1,将来にわたる介護費用約3,940万円
2,事故で得ることができなかった逸失利益約2,190万円
3,けがの後遺症に対する慰謝料2,800万円

とされています。
 このように交通事故の場合の損害賠償は、いくつかの項目からなりそれぞれに計算方法があるので目安となる損害賠償額を算出することができます。ですから、万が一自転車事故を起こしてしまって相手から法外な賠償金を請求された場合でもそれが妥当な金額の範囲内であるかどうかを判断することが可能です。

一般的な損害賠償の内訳は

 損害賠償は財産的損害と精神的損害に大別されます。また財産的損害は事故が起こってしまったために必要となった出費である積極損害と事故がなければ得られたはずの収入や利益である消極損害にわけられます。一方、精神的損害は事故によって負った精神的苦痛の金額で、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料にわけられます。

財産的損害の算出方法

 積極損害としてケガの治療費があります。治療費や病院への交通費などは原則として、症状固定という「これ以上治療を行っても症状に改善がみられない状態」になるまでにかかった実費で計算します。
 消極損害には休業損害や後遺障害による逸失利益があります。休業損害は職業等によって計算方法は変わりますが、サラリーマンの場合は、{事故前3か月の給与を平均して算出した一日あたりの平均賃金×休業日数}で計算します。

 後遺障害による逸失利益は、損害賠償の中で最も高額になるため、後遺障害の等級認定が損害賠償交渉の最大のポイントです。{事故前の年間収入×後遺障害認定等級による労働能力喪失率×ライプニッツ係数}で計算されます。

精神的損害の算出方法

 後遺障害慰謝料は、後遺障害等級により定額が決められています。ただし弁護士基準・任意保険基準・自賠責基準という3つの基準がありそれぞれの基準によって金額が異なっています。
 入通院慰謝料も定額が決められています。ただし傷害の部位や生死が危ぶまれる状態が続いたときなど考慮すべき特例が弁護士会より明確に打ち出されているので、個別の事例に合わせて金額を補正して算出します。

 自転車事故での損害賠償額は、後遺障害認定の等級と3つの基準のどの基準で慰謝料を計算するかによって変わってくるので、事故の当事者双方の主張する賠償額が一致しないということはよくあることです。