クレジットカード関連の資格

  • クレジットカード関連の資格

 日本には、クレジットカード取引に関連する割賦販売法(かっぷはんばいほう)という法律があります。また、この法律に基づいた一般社団法人日本クレジット協会(以下クレジット協会)という組織もあります。これは、クレジットカードによる取引を公平・公正・健全に行うためのものであり、この法律ありきでクレジット業界はシステム化されています。
 さらにクレジット協会は、クレジットカード取引に関する2つの検定と3つの資格をつくっています。クレジットカード業界での就職を考えている方には今後取得を求められるであろう資格です。これについてここではご説明します。
 まず先にクレジット業界の統制をとっている「割賦販売法」について説明します。割賦とは、1つの商品の代金を、数ヶ月に割って定期的に支払うことを指します。割賦販売法は、これに準ずる売買取引について規定を定めたものです。具体的には、割賦販売における公正な取引、サービス提供者による顧客の適切な管理、購入者の利益保護、また商品流通の活性化・経済の発展を目的としています。この法では割賦販売、ローン提携販売、信用購入あっせんの3類型が対象となっており、クレジットカードによる商品の売買は3つめの信用購入あっせんにあたります。各顧客に応じたカードの利用制限や、書面交付義務、債務不払いの際の契約解除、消費者の抗弁権などについて細かく取り決められています。
 2008年に割賦販売法の法改正があり、これを受けて2009年にクレジット協会が成立しました。金融業の中でも特にクレジットカードを提供・管理・運営している事業関係者を会員としています。
 クレジット協会は組織の活動理念に基づき、割賦販売法の解説書や関連書籍の出版、資格取得者に向けた通信講座・集中講座の実施を行っています。そのほかクレジット業界に従事する人間のために、2種類の検定と3種類の資格を用意しています。検定はクレディッタ―、そしてシニアクレディッタ―、資格はクレジット債権管理士資格制度・クレカウンセラー・個人情報取扱主任者認定制度です。いずれもクレジット協会に所属する人間を対象としたもので、世間一般的にはあまりメジャーではありません。しかしクレジット業界で働く場合は必要とされる資格なので、資格立ち上げ以来一定数の受検者を確保しています。
 クレディッター(クレジット審査業務能力検定一般コース)と、シニアクレディッター(クレジット審査業務能力検定上級コース)は、クレジットカード会社で働くにあたって重要な検定です。クレディッタ―は与信(信用を供与すること)の基本や関係法令について、また多重債務防止や個人情報保保護といった審査業務に関する基礎知識を測る検定。シニアクレディッタ―はクレディッタ―の上級編ともいえる位置づけで、クレディッタ―として業務を真っ当できるようになればシニアクレディッタ―の道に進むことができます。ただし、いきなりシニアクレディッタ―の検定から受けることもできます。
 この資格は、顧客から債権回収を行う業務にあたる場合非常に重要な資格です。債権回収の基本的な手法のほかに、関係法令、そして関連する知識が必要です。クレジット業界の中では最も古い資格制度で、取得志願者も多いです。クレジット協会会員か、推薦状がなければ受験できません。さらに、まず3ヶ月間の通信講座を受ける必要があります。講座の中で3回のマークシート試験を受け、いずれも合格点数に達していれば資格受験の権利を得ることができます。
 消費者の立場になって債権回収を学ぶことで、顧客に安心と信頼を与えられる対応技術を身につけることを目的としています。クレジット業界で働くにはベースとなる資格で、これの上位に位置づけられるのがクレカウンセラーです。
 クレカウンセラーはまたの名をクレジット債権管理士上級資格制度といい、クレジット債権管理士としての能力が一定基準を満たした人間が得られる資格です。クレジット債権管理士の基本的な知識はもちろんのこと、金融・ビジネスの知識も求められます。合格すれば、他の従事者の教育・指導や相談役として立ちまわることが許されます。資格を得るのは毎年50名程度と非常に狭き門です。
 クレジット債権管理士資格制度の資格取得から3年以上が経過しており、なおかつ実務研修を修了している場合にのみ受検資格が与えられます。クレカウンセラーとしての実務は、多重債務者や返済滞納者からの債権回収があります。しかし、消費生活センターでの消費者の相談担当や、専門学校などでの講義といった業務の方が比率としては多いようです。
 個人情報取扱主任者認定制度とはその名からもわかるように、個人情報取扱担当者が、個人情報保護の意識を高めることを目的としてつくられた制度です。クレジットカード業界のみならず、個人情報を扱う全ての業界に求められる能力です。クレジット債権管理士資格制度と同様、受検資格はクレジット協会会員か、会員企業に所属している社員に限定されます。また、数ヶ月間の通信講座を受け、その中で実施される3回の筆記試験で70点以上を取得していなければなりません。この能力は金融業に従事する全ての人間が必要とされます。
 個人情報の取り扱いに関しては、インターネットが普及した現代においてはほとんどの方が自ずと身についている意識でしょう。しかしいざこれを業務で生かすとなると、書類の書き方、言葉の言い回しに至るまで細部に渡って神経を研ぎ澄まして扱うことが求められます。
 クレジットの資格についてご理解いただけたでしょうか。何十年も前につくられた民法のなかで、クレジットカードに関する取り決めがあったことに驚かれたのではないでしょうか。カードリーダーに通すだけで簡単に金銭授受ができてしまうクレジットカードに、こんなにも複雑な制度が絡み合っていたのですね。いち消費者としてはあまり必要のない資格・知識ばかりですが、プライバシー保護や自己防衛の方法など少しでも興味がある方は、勉強してみるのも悪くないかもしれません。
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