生命保険とは? 仕組みや種類をわかりやすく解説

生命保険とは? 仕組みや種類をわかりやすく解説

万が一に備えて入っておきたい生命保険ですが、「高い保険料を毎月支払うのは大変だし、万が一のことがなければお金の払い損」と思っている人もいるようです。

確かに、生命保険には払い込んだ保険料が戻ってこない商品もありますが、一方で将来に向けて貯蓄できるタイプもあります。生命保険商品は種類が多岐に渡るため、自身の目的に合わせた商品選びが肝心になってきます。

そこで、生命保険の必要性がわからない人や、生命保険に加入したいが選び方がわからないという人向けに、そもそも生命保険とは何かといった基本的なことから、選び方のポイントまでわかりやすく解説していきます。
ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。

生命保険とは

生命保険とは

まず生命保険とは何か、そしてその仕組みについて確認しておきましょう。

生命保険とは何か

生命保険とは、「万が一に備えて資金を準備しておける保険」のことです。主要な役割は、被保険者が亡くなった場合や重大な疾病を発症した場合に、生計を支えるための資金を提供することです。生命保険商品の例としては、自身が亡くなってしまった場合に、遺された家族に保険金が支払われることで、遺族の経済的な負担を軽減する死亡保険や、一定期間に生存していた場合に保険金を受け取ることができる生存保険などがあり、目的や必要に応じて選択することができます。

生命保険の仕組み

生命保険に限らずですが、保険は、お互いを助け合う「相互扶助」という仕組みで成り立っています。これは、保険の加入者一人一人が保険料を出し合い、集まったお金で万が一のことが起きてしまった誰かを支えるというイメージです。それなら貯蓄でもよいのではと思う方もいらっしゃると思います。

貯蓄と保険の違いについては、生命保険を説明するときによく使われる「貯蓄は三角、保険は四角」という表現を使って説明していきます。下図をご覧ください。貯蓄は三角形であり、コンスタントにお金を貯めていくことで徐々に増えていきますが、たくさんお金が必要になったタイミングでも貯蓄した分しか下ろすことができません。一方で四角形の保険の場合は保障期間が始まってすぐに必要なお金を準備することができるのです。

いつ何時、まとまったお金が必要になるかわからない万が一に備えるためには、貯蓄よりも保険の方が適しているといえるでしょう。

貯蓄は三角、保険は四角

生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は約9割

では、日本で実際に生命保険に加入している割合はどれくらいなのでしょうか。生命保険文化センターの2021年度「生命保険に関する全国実態調査」によれば、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.8%で、全国で約9割の世帯が加入していることになります(※)。それだけ多くの人が将来への備えをしているということになりますね。

※出典:(公財)生命保険文化センター 2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2021年12月発行)より

生命保険は保険料が「掛け捨て」か「貯蓄型」かによって2つに分けられる

生命保険とはなにか、またその仕組みについておわかりいただけたでしょうか。

ここからは生命保険の種類について説明していきます。まず生命保険は「加入者が支払った保険料がどうなるか」という点で2種類に分けられます。1つは掛け捨て(かけすて)といって支払った保険料が戻ってこないタイプのものです。もう1つは貯蓄型支払った保険料が将来戻ってくるタイプです。

掛け捨ての場合

掛け捨てという言葉の持つイメージから、貯蓄型に比べて損なのではないかと思う人もいるようですが、実際はそうではありません。掛け捨ては、解約返戻金や満期金がなく、掛けた分すべてが保障に充てられます。お金は戻ってきませんが、貯蓄分がないため、保険料が安く抑えられていて、割安で大きな保障が得られます

また、保険に加入するときに、貯蓄性や返戻金の時期などを気にする必要がないというのもメリットです。「保障が必要かどうか」だけで、加入すべきか判断をすればよいでしょう。

貯蓄型の場合

貯蓄型は、簡単にいえば保障と貯蓄を同時に行えるタイプの保険です。毎月決まった金額の保険料を貯金のように積み立てていくことにより、満期になったときや解約をしたときにお金が戻ってきます。保険料は高めですが、万が一に備えつつ、将来的なお金を準備しておけるという点がメリットとなります。

生命保険の種類

生命保険の種類

すべての生命保険は「掛け捨て」と「貯蓄型」の2種類に分類されるということを踏まえて、生命保険には具体的にどのような種類があるのかを見ていきましょう。初心者にもわかりやすいように大きな分類から説明していきます。まずは、生命保険を保険金の支払事由(保険会社が保険金を支払うことになる理由)で分類した場合ですが、大きく4つに分類されます
@ 死亡保険
A 生存保険
B 生死混合保険
C 上記に当てはまらないその他の保険
それぞれについて簡単に説明していきます。

@ 死亡保険
被保険者が亡くなったときに遺族が保険金を受け取ることができる保険です。加入している被保険者にもしものことがあったときに金銭的に家族を支える保険です。

A 生存保険
被保険者が、保障期間が終わる(満期日)までに生存していた場合に満期保険金を受け取ることができる保険です。将来必要となる資金を蓄えておける保険です。

B 生死混合保険
上記の死亡保険と生存保険が1つになった保険です。被保険者が亡くなった場合に保険金が支払われ、被保険者が満期日までに生存していた場合にも満期保険金が支払われます。

C 上記に当てはまらないその他の保険
具体的な保険については後述します。

さて、上記4つの分類ですが、保険期間や保険加入の目的によってそれぞれさらに細かく分類することが可能です。また、ここではそれぞれの保険が「掛け捨て」「貯蓄型」どちらに当てはまるかも合わせて記載していますので確認してみてください。

@死亡保険

保障期間で分類すると、主に以下の2種類です。
・定期保険
・終身保険 など

定期保険
定期保険は、保障期間が限定されますが、割安な保険料で大きな保障を得られるのが特長です。満期になるまでのあいだに亡くなった場合、死亡保険金を受け取ることができます。掛け捨てで満期になると保障は終了してしまうため、定期的な見直しをする必要があります。最近は定期保険の派生形として、死亡保険金を年金タイプで受け取る収入保障保険もあります。

→定期保険について詳しく知りたい方はこちら「定期保険とは」


終身保険
終身保険は、一生涯保障を受けることができる保険タイプです。しかし、払込みは一生涯ではなく、60歳まで、65歳までなど、自分で払込み完了の期間を選ぶことができます。また、保険料は加入したときから、支払い完了時まで同額なので、支出の予測がしやすいのも特長です。ちなみに、保険料の支払いで分類した場合には「貯蓄型」に該当します。

→終身保険について詳しく知りたい方はこちら「終身保険」

A 生存保険

保険金を受け取る目的で分類すると、主に以下の2種類です。
・個人年金保険
・学資保険 など

個人年金保険
将来受け取る公的年金に上乗せできる資金を事前に準備しておくことで、退職後の生活を安定させるための保険です。加入すると、保険料を支払いながら積み立てが行われ、一定の年齢に達した際に年金を受け取ることができるのが特長です。保険料の支払いで分類した場合には「貯蓄型」に該当します。

学資保険
子どもの教育に必要な資金を準備しておくための保険です。この保険に加入する親は、将来子どもの大学教育や他の教育費用を賄うために資金を積み立てます。また、万が一親に何かあった場合にもその時点から保険料を支払わなくとも、契約時期になったら教育資金を受け取れることが特長です。保険料の支払いで分類した場合には「貯蓄型」に該当します。
→学資保険とは?特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説!

B 生死混合保険

主な保険は以下です。
・養老保険 など
養老保険
定期保険と同じく保障期間は限定されますが、満期になるまでに死亡したときには死亡保険金が支払われ、満期になったときに生存していれば満期保険金が支払われます。つまり、万が一の事態に備えつつ貯蓄にもなる点が特長です。保険料の支払いで分類した場合には「貯蓄型」に該当します。

→養老保険について詳しく知りたい方はこちら「養老保険」

C 上記に当てはまらないその他の保険

主な保険は以下です。
・医療保険
・がん保険
・介護保険 など
医療保険
医療費用に備えるための保険です。医療保険に加入すると、主に入院や手術で病気や怪我の治療にかかる医療費用の負担を軽減することができます。一生掛け続ける人が多い医療保険は、家計の負担も抑えられる割安な掛け捨てが主流になっています。

がん保険
がんの診断および治療に関連する医療費用やその他の経済的な負担を軽減するための保険です。この保険に加入すると、がんの診断がされた場合に、治療費用や入院費用、検査費用、薬剤費用などの負担が軽減されます。がん保険は、掛け捨てと貯蓄型どちらでも選択可能です。

介護保険
ここでは公的制度である、介護保険制度ではなく、民間の保険について説明します。民間の介護保険では、公的介護保険ではカバーされない部分を補うことや、公的介護保険で対象とならない人にも保険金の給付が可能な場合があることが特長です。介護保険は、掛け捨てと貯蓄型どちらでも選択可能です。

生命保険と医療保険の違い

医療保険は生命保険の1つとして位置づけられます。医療保険は、「公的な医療保険(国民皆保険制度により全国民が加入する)」「民間の医療保険」の2種類に分けられますが、ここでは民間の医療保険について説明していきます

生命保険の一種である医療保険ですが、生命保険(死亡保険)と異なる点は、死亡ではなく、主に病気やケガの治療にかかる費用が支払われる点です。また、保険金の受取人にも違いがあります。生命保険(死亡保険)では保険金を遺された家族が受け取りますが、医療保険では本人が受け取ります

生命保険に加入することのメリットとデメリット

生命保険に加入することのメリットとデメリット

それでは、生命保険の加入を検討している人に向けて、メリットデメリットを解説していきます。

生命保険に加入することのメリット

生命保険に加入することのメリットは以下の通りです。
・万が一の時に必要な資金を備えられる
・貯蓄と異なり、加入してすぐに必要な資金を準備できる
・生命保険料控除の対象となり、税金対策ができる(ただし条件を満たす必要あり)

将来に向けて資金を備えておくことができることの他に、生命保険に加入することで生命保険料控除という制度の適用が可能となり、支払わなければいけない税金が軽減されます。この制度の対象となる生命保険は、民間の生命保険会社と結んだ生命保険、個人年金保険、介護医療保険などです。

生命保険に加入することのデメリット

メリットがある一方でデメリットと感じられることもあります。
・インフレに弱い
・元本割れする可能性がある(貯蓄型の場合)

生命保険に加入することのデメリットとしては、まずインフレに弱いことが挙げられます。保険に加入した当時のお金の価値が、満期時に下がっていた場合は、損になるため、デメリットといえるでしょう。さらに、貯蓄型の保険に加入した場合に、満期前に解約してしまうと受け取れるお金が元本を下回ってしまう可能性があるため、デメリットとなります

生命保険に「入るべき人」と「入らなくてもいい人」

生命保険に入るべきなのは、自分に万が一のことがあった場合、自分や家族が経済的に困窮する可能性がある人です。「自分は大丈夫」という自信はあっても、十分な蓄えがなかったり、自分以外に資産や収入源がなかったりすれば、遺された家族が困ってしまいます。生命保険は、「自分にもしものことがあったとき」に、家族がどうなるかを考えて検討しましょう

一方、無理に生命保険に入る必要がない人もいます。生命保険は将来的な収入の備えですから、十分な資産がある人、自分に万が一のことがあっても家族が生活に困ることはないと断言できる収入源がある人は不要となります

生命保険の選び方

生命保険の選び方

ここまで生命保険について詳しく解説してきました。ここからは、生命保険に加入したいと思った方のために、選び方の基準をご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。

生命保険選びの基準

1. 目的を明確にする
最初に、保険の目的を明確にしましょう。生命保険は家族の保護、医療費の負担軽減、学費の積み立て、退職後の資金準備など、さまざまな目的に適しています。目的が明確であれば、適切なタイプの保険と適切な保障額を選びやすくなります

2. 予算を設定する
生命保険プランを選ぶ前に、毎月の保険料にどれくらいの予算を割くことができるかを確認しましょう。予算を設定することで、無理のないプランを見つける手助けとなります。

3. 保障額を計算する
適切な保障額を計算しましょう。公的制度で保障される金額は除いておく必要がありますが、必要な給付金の額を過小評価しないようにしましょう。

4. 保険の種類を理解する
生命保険にはさまざまな種類があります。死亡保険、医療保険、学資保険、個人年金保険など、各タイプには異なる特徴があります。それぞれの特性を理解し、自身のニーズに合ったものを選びましょう

5. 保険会社を比較する
異なる保険会社から提供されるプランを比較しましょう。保険料、契約条件、給付金、評判などを考慮して、自身が納得でき、信頼できる保険会社を選びましょう。
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6. プロのアドバイスを受ける
FPや保険の専門家からアドバイスを受けることが重要です。専門家は個別の状況に合った最適なプランを提供できます。プロのアドバイスを受けることが、最良の選択をする手助けとなります。
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7. 契約内容をよく理解する
契約書を注意深く読み、保険プランの詳細を理解しましょう。特に免責事項や支払条件に注意を払いましょう

8. 定期的な見直し
生命保険プランは変化するライフスタイルやニーズに合わせて定期的に見直していきましょう。新しいライフイベントや財務状況の変化に応じて調整することが重要です

生命保険にはどうやって加入する?

生命保険にはどうやって加入する?

それでは、生命保険にはどのように加入すればよいでしょうか。加入時の注意点と合わせて確認していきましょう

保険の相談は保険相談ショップが手軽で便利

保険の組み合わせ方は複雑で、掛け捨てにするか貯蓄型にするか以外にも、さまざまな選択肢があります。どの保険に加入すべきかを、一般の方が判断するのはそう簡単なことではありません。では、どうすれば自分に合った保険に加入できるのでしょうか?現在は、駅ビルやショッピングモールなどに保険相談ショップや保険代理店などの相談窓口がたくさんあります。基本的に無料で相談可能ですので、お気軽に相談してみてください。

保険ショップは、1社の保険会社の商品を扱っている専属代理店と、複数の保険会社の商品を取り扱っている乗合代理店がありますので、「加入したい保険会社がある」という場合は前者を、「特定の保険会社に偏らず、良い商品を選びたい」という場合は後者を選びましょう。

生命保険の加入時は「告知」に注意!

希望の生命保険が見つかり、すぐに加入したいところですが、申込をすればすぐに加入できるわけではなく、告知・診査という流れがあります。告知とは、自分が今までかかったことのある病気や治療中の病気を保険会社に申告することです。これにより、保険料の決定やそもそも加入が可能かどうかを保険会社が判断します

また、告知で嘘の申告をした場合、保険金が支払われないこともありますので注意が必要です。

診査とは、医師の問診・検診を指し、保険会社から求められれば応じる必要があります

まとめ

まとめ

生命保険は万が一のときに、被保険者やその家族を経済的にサポートしてくれる金融商品です。「掛け捨て」と「貯蓄型」に分かれ、死亡保険、生存保険、生死混合保険など様々な種類があります。加入するかどうかは個人の状況やニーズによりますが、家族を養う立場や将来のリスクに備える人に適しているでしょう。選ぶ際には保険の目的やニーズを明確にし、保険料や給付条件を比較検討することが重要です。専門家のアドバイスを受けるなどしながら、慎重な検討を行うことで、適切な生命保険を選ぶことができます。

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ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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