格安スマホ、「買い」を探すならココを比べよ 顧客満足度首位のあのブランドは何が違う?

記事は2015年12月13日に東洋経済オンラインに掲載されたものです。
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 大手携帯電話事業者から回線を借りて割安なスマートフォン利用サービスを提供する「MVNO(仮想移動体通信事業者)」がじわじわと普及している。まだ1割にも満たない普及率だが、総務省もMVNO普及促進策を検討中で、各社のサービス競争はいっそう激しさを増していきそうだ。

 オリコン日本顧客満足度ランキングが先日発表したMVNO利用実態調査によると、今後ますます成長が予想されるこの市場で、面白い「兆候」が見られた。1年前に参入したばかりのニフティが、先行組を押しのけ、利用者の満足度で首位となったのだ。

 新規参入業者がいきなり首位に躍り出たのには、いったいどんな理由があったのだろうか。以下、調査を詳しく分析していきたい。

ユーザーの「重視項目」で2位以下に大差

 今回の調査は、今年6月からの事前調査を経て、8月下旬から9月上旬まで実施したもの。MVNOのサービスが利用できるSIMカードとスマホを3カ月以上利用した18歳以上の全国の男女を対象に、手続きや料金、通信速度、サービスなど16項目の満足度をアンケート。対象のMVNOは25社、回答数は452人だった。

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 結果は、首位がニフティの「NifMo」で71.18ポイント。以下、2位が楽天「楽天モバイル」(65.73)、3位がビッグローブ「BIGLOBE?LTE・3G」(65.11)、4位がイオン「イオンモバイル」(60.22)と続いた。

 利用者が重視する項目として挙げている「料金プラン」「コストパフォーマンス」「加入手続き」「通信速度・安定性」の4項目で、NifMoはいずれも首位を獲得。先行組を驚かせることとなった。
 そのほか「端末の使いやすさ」「端末の性能」「端末のデザイン」「保証サービス」「サポートサービス」「提供プラン」「初期設定のしやすさ」「会社の信頼性」の8項目でも、NifMoはトップに立った。実に16項目中12項目を占め、2位以下に大差をつけている。

 しかし、競合MVNOもほぼ同じ端末を扱っているうえ、実際の速度面ではビッグローブが勝っているというコメントも寄せられている。それにもかかわらず、なぜここまで圧倒的な差がついたのだろう。その背景には、MVNO市場が抱える「問題」と「可能性」の両方が見え隠れする。

 NifMoは昨年11月、ほかの主要MVNOと同様にNTTドコモの回線を借りて始まったサービス。2ギガバイトまでのデータ制限なら月額900円(税別)、富士通の最新モデル「arrows M02」が一括払いで3万3334年(24回払いは月1389円)だ。実際、料金プランは他社と大差がない。

 ただ、独自サービスの「NifMoバリュープログラム」に加入するとこれが変わってくる。購入時にインストールされているアプリを使い、NifMoと提携するサイト・店で買い物したり、食事したり、さらにアプリをダウンロードすることでポイントが貯まり、月額料金から割り引かれるのだ。

 たとえば、提携レストランで1万円の食事をして20%のポイント(店により付与率は異なる)がもらえる場合、16ギガバイトのスマホの月額料金2980円から2000円が割り引かれ、わずか980円の支払いで済む。ポイントが月額料金以上貯まると、当月が無料になり、残りは翌月の割り引きに繰り越される仕組みになっている。

「通信速度・安定度」の順位には、意外な要素が影響

 楽天モバイルでも買い物時の付与ポイント2倍など、楽天市場と連携したサービスを提供してはいるが、バリュープログラムのほうがより通信料の割り引き効果が大きく、利用者の満足度は高そうだ。今回の調査、「コストパフォーマンス」の項目でNifMoが2位の楽天モバイルに8ポイント以上の大差をつけたのも、バリュープログラムによるところが大きいだろう。

 「通信速度・安定度」でNifMoがダントツの首位だったのも、独自サービスの公衆無線LAN「NifMoコネクト」が勝因になっているだろう。これは全国で無料の公衆無線LANを使うことができるほか、アンドロイドスマホ向けには無料のコネクト専用アプリを用意しており、自宅のWi−Fiと公衆無線LAN、モバイル回線を自動的に切り替えてくれる。

 ただ公衆無線LANという点ににおいては、2位だったBIGLOBE?LTE・3GはLANの接続ポイントが7万7000カ所とMVNOで最多を誇っている。これでは一見、首位のNifMoと10ポイント近い差がついた理由がわかりにくいのだが、実は「契約数の違い」に注目すると納得がいく。

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 MVNOの回線はNTTドコモに接続料を支払って借りた空き周波数の一部だが、利用者が増えれば1人当たりの通信速度は低下することになる。借りる周波数幅を増やせば速度は上がるが、すると当然、接続料負担が増す。
 投資を抑えたいMVNO業者にとって、これがいちばんの悩みの種。安値競争で顧客獲得は可能だが、利用者が増えれば増えるほど、今度は通信速度に不満を抱いた利用者が逃げてしまいかねないのだ。
 ビッグローブは2012年2月にMVNO事業に参入した「老舗」だが、ニフティは参入後ようやく1年を経た新参組。実際、両者には契約数で大きな差があり、「回線にまだまだ余裕がある」ことが、ニフティへの通信速度の満足度を引き上げている要因の1つといえる。

 しかしニフティにもいずれ、ビッグローブと同じ状況がやってくると予測できる。今後は利用者の増加に応じて周波数幅を積極的に増やしていけるかどうかが、顧客満足度を維持・向上するためのカギになるだろう。

目まぐるしく動く業界で、勝ち残るプレーヤーは?

 MVNOを取り巻く通信業界は、目まぐるしく動いている。11月末には、MVNO大手の日本通信がNTTドコモに対し、回線接続料の過払い分の返還や接続料の算定式の合意確認などを求めた訴訟が東京地裁で棄却された。一方、総務省は接続料の算定根拠の提出をNTTドコモなど携帯電話事業者に義務付けるなど、MVNOの普及促進策を打ち出しており、これを受け日本通信は前述の訴訟案件の控訴を取りやめている。

 総務省は携帯電話料金引き下げを検討する一方、MVNOの普及・競争促進の方針も示しており、携帯電話市場に占めるシェアは今後2割程度にまで膨らむと予想している(総合通信基盤局)。

 しかし、現行キャリアの携帯電話に低料金プランが導入されれば、低価格だけを武器にしている業者は淘汰されることが予測できる。利用者の満足度を高める独自サービスで一挙にメインプレーヤーになれる可能性を秘めつつも、過不足のないインフラ投資を継続できるかどうかが、優勝劣敗の分かれ道となりそうだ。