ネット証券の口座開設は特定口座と一般口座のどちらがおすすめ?

資産形成の手段の一つとして、株式や投資信託などの投資が注目される昨今。特に手数料が安く、スマホやパソコン上で注文が完結する手軽さからネット証券への人気が高まり、2021年12月にはネット証券大手であるSBIグループの口座開設数が800万を超えるなどの好調を見せている。ここでは、そんなネット証券で投資を行うための第一歩として、「口座開設」について紹介。「口座」の種類の違いなど、知らないと損失につながってしまうかもしれないポイントとともに、開設までの流れを説明する。
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市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

保有資格:CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)

口座開設の流れと必要な書類

オンライン上で即日、口座が開設できるのがネット証券の強み。本人確認書類も、郵送以外にオンライン上で提出すれば済む方法まで複数用意されている会社も多い。ここでは、主要なネット証券会社で口座を開設するまでの基本的な流れと、開設手続きをスムーズに行うために、あらかじめ準備しておくべき書類について紹介する。

【STEP1】口座開設の申し込み

・ 各証券会社HPで、口座開設の申し込みをする。
・メールアドレスを入力して、認証コードを受け取る。
・認証コードを入力して、Webの申し込みフォームに住所などの本人情報を入力する ※STEP2の後に行う場合もある
・口座の開設方法として「オンライン」もしくは「郵送」が選べる場合には、どちらかを選択

【STEP2】本人確認書類の提出

本人確認書類の提出方法は、「スマホを使ってその場で撮影(オンライン)」、「書類をアップロード(オンライン)」、「郵送」の3通り。

口座開設・取り引きまで最短となる方法は、「スマホを使ってその場で撮影(オンライン)」。少しでも早く取り引きを開始したいという場合は、オンライン提出を選ぼう。「書類をアップロード(オンライン)」の場合、必要書類のアップロードはオンライン上で行えるが、ログインIDの情報が郵送で送られてくるため、「スマホを使ってその場で撮影(オンライン)」するよりも開設までに時間がかかってしまう。
・その場でスマホ撮影しアップロード、メールでログインIDを受信
SBI証券の場合 
提出書類(マイナンバーカードのみ、もしくは通知カード+運転免許証)と「本人の顔」を撮影しアップロード、もしくは「銀行照会(住信SBIネット銀行/三菱UFJ銀行)」をアップロード。翌営業日以降、取り引きが可能になる。

楽天証券の場合
提出書類(マイナンバーカード、もしくは運転免許証)と「本人の顔」を撮影してアップロード。翌営業日以降、ログインIDが送信され、取引可能になる。
・オンライン上でアップロード、ログインIDは郵送で受け取る
SBI証券の場合 
「マイナンバーカード」+「本人確認書類(1種類)」、または「通知カード」+「本人確認書類(2種類)」をオンライン上でアップロードし申し込み開始。後日、「ログインパスワード」が郵送される。

楽天証券の場合 
本人確認書類をオンライン上でアップロードし申し込み開始。楽天証券の場合、マイナンバーの提出は審査後となる。約5営業日後、「ログインIDとパスワード」が郵送される。
本人確認書類の例
・運転免許証
・運転経歴証明書
・住民台帳カード(写真付き)
・日本国パスポート
・住民票
・各種健康保険証
・印鑑証明書
・「郵送」で必要書類を提出し申し込み 
証券会社から申し込みに必要な書類が郵送されたら、必要事項を記入し、証券会社に返送が必要。約10日後、証券会社から「ユーザーネーム、ログインパスワード、取引パスワード」が記載された書類が郵送される。

【STEP3】初期設定

【STEP2】で受け取ったユーザーネームやログインパスワードを入力してログインする(最初から自分でパスワードを設定する場合もある)。初期設定の画面で、勤務先や出金先の金融機関、取り引きの手数料に関するプラン、配当金の受け取り方式などの必要事項を登録。

【STEP4】取引開始

SBI証券の場合
オンライン(郵送以外)で口座開設を申し込んだ場合、提出書類の審査完了後にメールもしくは郵送で「口座開設完了通知」が届く。この通知を受け取った後、取引が可能となる。郵送の場合は、【STEP2】のタイミングで「口座開設完了通知」が届くので、【STEP3】初期設定が完了後に取引を開始できる。

楽天証券の場合
【STEP2】で、スマホ撮影でマイナンバーカードを提出した人を除き、初期設定の完了後にマイナンバーの登録が必要となる。登録完了後、取引が可能となる。

口座の種類 「特定口座」と「一般口座」の違いとは?

証券会社で口座を開設する際、「口座の種類」は次の3つから選択することになる。どれを選ぶかによって、確定申告の手間が変わってくるので要チェックだ。

口座の種類

特定口座(源泉徴収あり) 
利益の計算(年間取引報告書の作成・送付)を証券会社が行ってくれ、源泉徴収まで済ませてくれる。自動的に税金が差し引かれることになるので、原則的に個人での確定申告が必要なくなる。

特定口座(源泉徴収なし) 
利益の計算(年間取引報告書の作成・送付)を証券会社が行ってくれるが、源泉徴収はされない。つまり、税金は差し引かれないので確定申告は必要だが、手続きが簡易になる。

一般口座 
いわゆる昔ながらの証券口座。1年間分の譲渡益を自分で計算する必要がある口座なので、初心者には向かない。

どの口座を選べばいい? 選び方のポイント

では、どんな選び方をすればいいのか? 基本的には、下記のポイントで選択するのがおすすめだ。
口座選びのポイント
・特別な事情がない限り、「一般口座」より「特定口座」が便利
・年間の利益が20万円を超えそうなら、「特定口座(源泉徴収あり)」
・年間の利益が20万円未満に収まりそうなら、「特定口座(源泉徴収なし)」
基本的に、会社員や公務員は勤務先で年末調整があるので、確定申告になじみがない人も多いかもしれない。日本では「給与収入が2,000万円以上」もしくは「給与や年金以外の所得の合計が20万円を超える」場合には、確定申告をしなければならないという決まりがある。

つまり、20万円を超える副収入がある人は税務署に申告し、それに応じた税金を納めなければならないので、投資で利益が出た人は忘れないように手続きをしなければならない。その際に、自分で年間の利益を計算しなければならない「一般口座」を利用していると、面倒が増えてしまう可能性があるのだ。
一方、「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、株取引で得た利益が、会社の給料と同じように税金を天引きされて支払われる(源泉徴収される)ため、そもそも確定申告の必要がない。

しかし裏を返すと、「年間の利益が20万円未満で、本来なら確定申告をしなくてもいいはずのところが、自動的に税金が引かれている」ということになりかねない。利益が少額にとどまりそうな人は気を付けたいところだ。年間の利益が20万円未満に収まりそうなら、証券会社が取引報告書を作ってくれて、かつ税金も引かれない「特定口座(源泉徴収なし)」を選ぶのもありだ。

ただし確定申告が不要なのは所得税のみで、住民税は20万円未満でも確定申告はしなければならない。手続きが不安だという人は、源泉徴収ありの特定口座を選ぶのがよいだろう。

なお、複数の証券会社に口座があって損益通算する場合や、損失を翌年以降、繰越控除を受ける場合にも確定申告が必要だ。

ネット証券の口座は無料で開設できるので、まずは複数の会社で口座を開設し、使い勝手がいいネット証券を見つけるといいだろう。ただし、実際に利用することを考えて、「特定口座」でも源泉徴収があるかないかなど、自分に合った口座種類を選択できるようにしておこう。
市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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