2014年04月24日 09時30分

“ヒルズ族”の斜陽と復権 〜六本木ヒルズの今後を握る企業とは?

六本木ヒルズ復権のカギを握る国内の“救世主企業”とは? (C)oricon ME inc. [拡大する]

六本木ヒルズ復権のカギを握る国内の“救世主企業”とは? (C)oricon ME inc.

 かつて、不景気のなかでも成功を掴んだITベンチャーや投資ファンドが多数入居し、“ヒルズ族”という言葉も誕生した六本木ヒルズ。今月25日に開業11周年を迎えるが、オープン当時に比べると、その勢いは斜陽傾向にあるともいえる。そこでオリコンDサイエンスでは、六本木ヒルズの入居企業をマップ化し、この10年でどのような変貌を遂げてきたのかを分析。六本木ヒルズの過去と現在、そして今後の復権を考察してみた。

■10年で入居している上場企業が半減! 大手の“ご近所”への引越しや不祥事も

 六本木ヒルズの歴史を紐解くため、入居している「上場企業」を年度別にまとめてみると、最多は04〜06年の9社で、2014年4月現在は5社とほぼ半減(最小は10年の3社)。さらに年度別で詳細をみていくと、「不祥事を起こして退場した企業があったね」、また「08年はリーマン・ブラザーズの破綻で、蜂の巣をつついたような大騒ぎだった」など、激動の10年を知ることができる。

 また、六本木ヒルズから徒歩数分という距離にある、2007年開業の東京ミッドタウンに、ヤフーやコナミが移転、楽天は自社ビル(品川)へと転居と、大手企業の“ご近所へのお引越し”も、六本木ヒルズの斜陽を世間に印象付けたといえるのかもしれない。

■売上高激減も“ソーシャルゲーム勢”が救世主に

 次に、六本木ヒルズ自体の売上は、どのように変化しているのか? 同ビルに入居している上場企業の財務データから売上高を合計してみると、06年は1兆6735億4700万円(上場企業数9)だが、直近のデータとして得られた12年は4198億9000万円(上場企業数4)となっている。

 しかし、規模は大幅に縮小しているようにみえるが、実は、利益率は現在に近づくほど圧倒的に高くなっており、純利益の規模はそれほど大きくは縮小していない。その理由の1つに、ソーシャルゲーム企業の勢いが挙げられる。

 ソーシャルゲーム企業といえば、昨年は人気アプリ『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)で“一山当てた”ガンホーの株価の乱高下が記憶に新しく、Klabは赤字に転落。ソーシャルゲーム、ゲームアプリによる収益は一過性、不安定といったイメージが否めない。

 しかし、昨今のソーシャルゲームで急成長した企業のなかには創業初年度から黒字化するケースもある。ここ数年のヒルズの売上を牽引しているグリーは、2012年度の純利益は479億円の最高益を記録している。ただし、翌年の決算では売上高3%減、純利益は53%減の225億円と大幅に減少したこともあり、救世主となるかどうかは今後の動向次第だが、ソーシャルゲーム企業は利益率が高く、企業数も多いことから、六本木ヒルズの純利益縮小の回避に一役買っていることも事実だ。

 現在はIT業界のトップランナー・googleやApple、世界最大級の投資銀行=ゴールドマン・サックスといった巨大企業が拠点を構えているとはいえ、今後、日本企業による六本木ヒルズの復権にも注目したいところ。新参のenishや、堅調に見えるクルーズに代表されるソーシャルゲーム業界の“次なる一手”か、もしくは次世代を席巻する新たなビジネスモデルの誕生か。“新・ヒルズ族”の誕生に期待がかかる。

【調査概要】
調査対象企業:六本木ヒルズに入居した経歴のある上場企業
調査データ出典:本決算時の有価証券報告書
データ取得期間:2000年4月1日〜2014年3月31日

【データ取得方法】
1.本決算時の有価証券報告書より取得。
2.連結決算を実施している企業については、連結決算の財務データを利用。
3.連結決算に関しては、米国基準会計or国際会計基準の連結決算データを利用。
4.取得した財務データは、売上高、営業利益、経常利益、当期利益、人件費+労務費、従業員数、EPS、BPS、期末発行済み株式数。
5.野村HDは金融業のため、売上高→営業収益、営業利益と経常利益→経常収益と読み替えて利用。

【売上等の推移グラフ】

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