知識ゼロでもわかる「経済用語」 “東芝問題”を“アイドル”に例えて解説!

東芝の“利益水増し問題”をテーマに、3つの経済用語を紹介する。 [拡大する]

東芝の“利益水増し問題”をテーマに、3つの経済用語を紹介する。

 日々、新聞やニュースで目にする経済用語。社会人として当然知っているべきものだが、ちゃんと理解している人は意外に少ないのではないだろうか。そんな「今さら聞けない」という経済用語を時事ネタに絡めて3つ解説する。今回は、東芝の利益水増し問題をテーマに、「粉飾決算」「株主損害賠償訴訟」「上場廃止」の3つを紹介していく。

 「ごめんなさい。私、本当は19歳じゃなくて22歳でした…」。東芝が過去の決算で利益を水増ししていた問題は、女性アイドルが年齢をサバ読んでいたようなものだ。この問題を調査していた東芝の第三者委員会は、水増しされた利益が1518億円だったとした上で、歴代の社長3人が収益改善の目標値を示して、その達成を強く迫ったことが原因だと指摘している。

 女性アイドルであれば、若い方がいいとされるし、写真集だって売れる。その結果、自ら進んで、あるいは事務所に強要されて、年齢をサバ読むアイドルが出てくるわけだが、東芝も同じで、決算の数字を少しでも良く見せて、企業としての人気を高めようとしたのだ。

 これは「粉飾決算」に他ならない。「粉飾決算」は収入や売り上げを勝手に増やしたり、費用や経費を過少に見積もったり、損失を子会社に移し替える「飛ばし」をしたりして、決算を意図的に良くしてしまうというもの。

 「粉飾決算」は大幅な赤字で経営が行き詰まっていることを隠している場合が多く、経営者が逮捕・起訴されて刑事責任を追及されることもある。東芝の場合には、元々が黒字決算で、利益をより大きく見せただけであるため、「不正会計」とか「不適切会計」などとする報道が多い。年齢をサバ読んだものの、未成年でお酒を飲むなどの犯罪行為をしていたわけでもないというのが理由のようだが、決算でウソをついたという点では「粉飾決算」に他ならないのである。

 「粉飾決算」は重大な裏切り行為だ。19歳だと思っていた女性アイドルが実は22歳だったら、人気は急落する。企業の場合も同様で、「粉飾決算」が発覚すれば、信頼は損なわれて株価も急落する。東芝の場合、利益の水増し問題が最初に報じられた4月3日から株価の下落が始まり、歴代3人の社長が辞任を発表した7月21日までに、512円から376円へと3割近くも下落して、株主は大きな損失を被ることとなった。

 騙された株主からは、経営者に株価の下落で生じた賠償を求める「株主損害賠償請求訴訟」を起こす動きが出始めている。年齢をサバ読んでいたアイドルの写真集などいらないので、「カネ返せ!」というわけだ。ライブドアの粉飾決算事件でも「株主損害賠償請求訴訟」が起こされた結果、株主への賠償が認められており、東芝の場合にも同様の司法判断が下される可能性が高いとされている。

 女性アイドルの場合、ウソがばれたら、所属しているアイドルグループから脱退させられたり、所属事務所を解雇されて芸能界から追放されたりすることがある。では、東芝の場合はどうなるのか?

 「粉飾決算」を犯した企業は、「上場廃止」の処分を受ける可能性がある。「上場廃止」とは株式が取引(上場)されている証券取引所から追放されることで、これによって株式の自由な売買が不可能となり、経営も大きな制約を受けることになる。

 東芝の場合、「上場廃止」となる可能性は低く、「特設注意市場銘柄」への指定に止まる見通しだ。問題があったものの「上場廃止」とするまでのものではないこととから、「反省したかどうか、しばらく様子を見ましょう」ということのようだ。

 東芝は日本のみならず世界中でその名を知られる「トップアイドル」だっただけに、年齢のサバ読みが与えた影響は計り知れない。株主や投資家、そして取引相手などの「ファン」の信頼を取り戻すためには、真摯な取り組みと長い時間が必要だろう。

玉手 義朗
プロフィール
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

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