知識ゼロでもわかる【経済用語】 “家計簿”に例えて「国の収支」を紹介!

経済用語を“家計簿”に例えて紹介! 家庭(国)の赤字と黒字の割合は…? [拡大する]

経済用語を“家計簿”に例えて紹介! 家庭(国)の赤字と黒字の割合は…?

 日々、新聞やニュースで目にする経済用語。社会人として当然知っているべきものだが、ちゃんと理解している人は意外に少ないのではないだろうか。そんな「いまさら聞けない」という経済用語を時事ネタに絡めて3つ解説する。

 今回は「貿易収支」、「サービス収支」、「経常収支」を取り上げる。

 財務省が発表した8月の国際収支統計(速報値)によると、貿易収支は3261億円の赤字、サービス収支は578億円の黒字で、経常収支は1兆6531億円の黒字となった。

 簡単に説明すると、毎月の給与だけでは赤字だが、「副業」のおかげで黒字となったといえるだろう。これが今の日本経済の状況だ。国際収支は、日本全体の収入や支出をまとめた「家計簿」で、収入より支出が多ければ赤字、少なければ黒字となる(国際収支は様々な収支の総称で、国際収支という名前の収支は存在しない)。

 国際収支の中心となるのが輸出から輸入を差し引いた貿易収支で、働いて得た給与から生活費などを差し引いたものだ。8月は輸出が5兆8579億円、一方輸入は6兆1841億円で、これを差し引いた貿易収支は3261億円の赤字となった。新興国に押されて輸出が伸び悩む一方で、原発事故の影響で原油輸入が高い水準となっているため、支出の増加に給与が追い付かずに赤字を出しているわけだ。

 だが、慌てることはない。貿易収支は自動車や原油といったモノの取引をまとめたもので、これ以外にも様々な取引がある。その一つがサービス収支で、旅行費用や通信費用、流通サービスなどがこれに含まれる。8月のサービス収支は578億円の黒字で、その原動力が中国人観光客の「爆買い」だった。彼らの支出はサービス収支の中の旅行収支に計上され、これが黒字を生み出しているのだ。

日本にはさらに大きな「副収入」がある。海外で行った投資から得られる利益や配当などをまとめた第1次所得収支は2兆518億円もの黒字を計上している。日本は不動産や株式への投資から得られる副収入が極めて多い「資産家」なのである。

 貿易収支とサービス収支、第1次所得収支の3つの収支に、「寄付」に相当する対価の伴わない資金協力をまとめた第2次所得収支(1305億円の赤字)を合わせたものが「経常収支」となる。主要な収支がまとめられていることから、国際収支の中で最も注目されていているが、8月の経常収支は1兆6531億円と14ヶ月連続の黒字で、黒字幅も前年同月から1兆4037億円拡大した。毎月の給与だけでは赤字だが、大きな副収入のおかげで日本の家計簿は黒字を維持できているのである。

 とはいえ、こうした状況は健全とはいえないだろう。中国などの新興国に押されて輸出は低迷していて、今後も給与が伸び悩むことは確実だ。中国経済の減速を考えれば、「爆買い」もいつまでも続くとか限らず、サービス収支に過度な期待をかけるのも危険だ。

 また、大きな額を計上している第1次所得収支だが、その源は輸出で稼いだお金であり、輸出低迷が続けば、やがてその額も減少して行く。このままの状態が続けば、日本はやがて「経常赤字国」に転落し、最悪の場合には国家破綻へと至る。実際、2014年上半期には経常収支が5057億円の赤字となるなど、日本の家計は決して安泰ではないのだ。

 国際収支の赤字が増えれば、円安要因となることから、外国為替市場の注目度も高い国際収支。日本経済の現状や将来を探る上でも重要な指標であり、その動向はしっかりチェックしておきたい。

記事/玉手 義朗
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

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