知識ゼロでもわかる【経済用語】 「マイナス金利」をわかりやすく解説!!

「マイナス金利」「日銀当座預金」「量的・質的金融緩和」の用語を簡単解説! [拡大する]

「マイナス金利」「日銀当座預金」「量的・質的金融緩和」の用語を簡単解説!

 日々、新聞やニュースで目にする経済用語。社会人として当然知っているべきものだが、ちゃんと理解している人は意外に少ないのではないだろうか。そんな「いまさら聞けない」という経済用語を時事ネタに絡めて3つ解説する。

 今回は、「マイナス金利」、「日銀当座預金」、「量的・質的金融緩和」を取り上げる。

 2016年1月29日、日本銀行は金融政策決定会合を開き、「マイナス金利」の導入を決定した。このニュースを受けて株式市場や外国為替市場は激しく変動し、新聞やテレビも大きく伝えることになった。

マイナス金利が適用されるのは、民間の金融機関が日銀に開設している日銀当座預金。お金を預けていたら手数料を取られるという金融政策は、日本のみならず世界中に大きな衝撃を与えることとなったのだ。

■「弾詰まり」だった黒田バズーカ
 デフレは日本経済を覆いつくしている「怪物」で、これを打ち倒すために展開されてきたのが、お金という「砲弾」を大量に打ち込む量的・質的金融緩和だった。黒田東彦総裁の下、2013年4月から始められた量的・質的金融緩和は、「黒田バズーカ」と呼ばれるほど強力なもの。その第1弾は「マネタリーベースを2年間で2倍にする」というもので、2014年10月31日には「マネタリーベースを年間80兆円増やす」という第2弾が決定された。

 マネタリーベースは、日銀が供給するお金の量で、流通現金(紙幣+硬貨)と日銀当座預金の合計だ。日銀当座預金は民間金融機関が日銀に開設している口座で、日銀が供給するお金はまずここに振り込まれ、これが引き出されて融資などに回されて行く。流通現金は簡単に増やせないことから、量的・質的金融緩和は、日銀当座預金に大量のお金を振り込むことで行われて行く。黒田日銀総裁は、日銀当座預金というバズーカ砲に、2度にわたってお金という砲弾を大量に装填させたわけだ。

 ところが、砲弾は思ったようには発射されなかった。日銀は日銀当座預金に振り込まれたお金を銀行が引き出して企業や個人などへの融資に回し、これによって経済活動が活性化され、デフレ解消が実現されることを期待した。だが、日本経済には大きな資金需要は見られず、振り込まれたお金の多くは日銀当座預金に留まったまま、その残高だけが増える結果となっていた。日銀が装填した大量の砲弾はほとんど発射されず、バズーカ砲は「弾詰まり」になっていたのだ。

 これに業を煮やした日銀が打ち出したのがマイナス金利だった。従来、日銀当座預金の残高には0.1%の利息が付いていた。日銀から供給された砲弾を持っているだけで利益が得られたのだ。こうしたことから日銀は方針を転換し、日銀当座預金にマイナス金利を設定し、「発射しなければ罰金を科す!」と脅しをかけたわけだ。

 マイナス金利はすでに実施されている量的・質的金融緩和の効果を高めるためのもので、日銀が今回の決定を「マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入」としていることがそれを物語っている。黒田バズーカの第3弾とされるマイナス金利は、2度の量的・質的金融緩和で「弾詰まり」を起こしているバズーカ砲を一気に発射させて、今度こそデフレという怪物を倒そうするものだったのだ。

■黒田バズーカは火を噴くのか?
 日銀のマイナス金利導入に、銀行は腹を立てている。企業は設備投資などに慎重であり、新たな資金需要は乏しいのが現状だ。資金需要があるのは、経営が悪化して資金繰りが苦しい企業が多く、融資しても融資が焦げ付く恐れがあり、その場合に発生した損失は銀行が負うことになる。

 こうした実情を無視して、頼んでもいないのに大量のお金を日銀当座預金に振り込み、「使わなければマイナス金利という罰金だ!」と迫るのはあまりに身勝手であり、銀行の収益を圧迫するのは確実な情勢だ。

 今回のマイナス金利の適用範囲は限定的で、マイナス幅も0.1%とわずかだ。したがって、銀行が即座に大量のお金を引き出すとは考えにくく、「バズーカ砲が炸裂!」とはなりそうにない。

 また、マイナス金利の導入で、ある程度のお金が流れ出したとしても、その行き先は融資などではなく、投機資金となって株式市場や外国為替市場になる可能性がある。デフレという怪物を退治するために発射された砲弾は、予定の軌道を外れて、株価を歪めたり、ファンダメンタルズからかけ離れた円安をもたらしたりする恐れがあるのだ。

 物価上昇率2%との目標をなんとしても達成したい黒田日銀総裁。預金から手数料を徴収するという驚きの金融政策であるマイナス金利だが、弾詰まりが即座に解消されて黒田バズーカが火を噴くとは考えにくい状況なのである。

記事/玉手 義朗
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

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