知識ゼロでもわかる【経済用語】 「長期金利マイナス」の理由が5分でわかる!

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今話題の『マイナス金利』に関わる3つの経済用語を簡単解説!

 日々、新聞やニュースで目にする経済用語。社会人として当然知っているべきものだが、ちゃんと理解している人は意外に少ないのではないだろうか。そんな「いまさら聞けない」という経済用語を時事ネタに絡めて3つ解説する。

 今回は日本の長期金利が一時マイナスになったことに関連して、「長期金利」、「表面利率」、「流通利回り」を取り上げる。

 日本の長期金利が初めてマイナスとなった。2月9日の債券市場で、指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時マイナス0.035%(価格は上昇)した。

 長期金利がマイナスになったというニュースは、新聞やテレビなど多くのメディアが大々的に伝えた。だが、これほどまで長期金利が注目されることはなく、新発10年物国債との関係や金利が下がると価格が上昇する仕組みなど、予備知識なしではこの短い記事ですら理解できない。

 そこで、今回と次回の2回にわたって、長期金利がマイナスになったニュースを取り上げる。まずは「長期金利」、「表面利率」、「流通利回り」の3つの用語を解説した上で、次回に長期金利がマイナスになった理由に迫って行く。

■国債は安全なお金の「就職先」
 今回の事態を理解しやすくするために、お金を「労働者」、投資を「就職」に置き換えてみよう。お金という労働者は、株式や不動産など様々な投資先(就職先)から最適なものを選び出し、金利という「給料」や売買益などの「ボーナス」を得ようとしている。

 その就職先の一つが国債、政府が発行している売買可能な借用書だ。政府が保証していることから、紙くずになる危険性は小さいが、金利という給料はごくわずかしかもらえない。ハイリスク・ハイリターンの株式投資などとは対照的なローリスク・ローリターンの投資であり、お金が公務員になるようなものといえるだろう。

 国債のもう一つの特徴が投資期間の長さだ。国債の中核を占めるのは償還期間10年の国債で最も長いものは40年、これだけ長期の「雇用契約」ができる投資はあまりない。こうした事から、長期間お金を働かせる場合の給料、つまり長期金利の基準になっているのが国債金利であり、長期間の融資に適用される長期プライムレートや固定型の住宅ローン金利なども連動しているのだ。

 国債は様々な期間と条件のものが毎月発行されているので、全体の動きを代表するものとして「指標銘柄」が選ばれている。現在の指標銘柄は最も直近に発行された「新発10年物国債」で、その金利が長期金利の基準になっているのだ。2月9日時点の指標銘柄は1月7日に発行された第341回債で、表面利率は0.3%、償還期限は10年後の平成37年12月だ。

 この国債に就職したお金には、10年の雇用期間中に0.3%の金利が支払われることになる。0.3%という表面利率は、発行される前の段階で、大口投資家の入札によって決められている。国債の購入(就職)を希望するお金が多くなると、「給料が安くても働きます!」となって、表面利率は低下する。反対に人気がなくなると「もっと高い給料じゃないと嫌です…」となって、表面利率は上昇していく。国債に対する人気度が、表面利率を左右しているというわけなのだ。

■表面利率と流通利回り
 2月9日、指標銘柄である第341回債の金利がマイナスになった。「金利という給料は固定給ではなかったのか?」という思われがちだが、実は国債の金利には表面利率と流通利回りの2種類があり、マイナスになったのは流通利回りだった。

 表面利率は国債が新たに発行される際に決められる「初任給」で、第341回債の場合は0.3%で10年間の固定給だ。ところが、国債は株式などと同様に自由に売買が可能で、償還期間を待たずに「退職」したり、「中途入社」したりすることができる。

 中途入社の条件を決めるのが、流通利回りという給料だ。表面利率と同様に、流通利回りも国債の人気が上昇すれば低下し、人気が低下すれば上昇する。今回、流通利回りがマイナスになったのは、国債の人気が沸騰して「何とか公務員にしてください!」と、大量のお金が中途入社を求めたためだった。これによって流通利回りは急速に低下、「無給でも働きます」とやがてゼロになり、ついには「お金を払ってもいいので、なんとか雇ってください!」と、マイナスになってしまったわけだ。

 お金たちが国債に殺到したのは、何かに怯えて、非難する場所を求めていたからだ。彼らを恐怖に陥れたのは何なのか? お金の就職戦線に訪れ混乱が引き起した長期金利のマイナスについて、次回はさらに詳しく解説をしていこう。

記事/玉手 義朗
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

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