2017年08月31日 08時30分

借金経験が生んだビジネス本“3000円投資生活”ヒットの裏

著者の横山光昭氏 [拡大する]

著者の横山光昭氏

 家計再生コンサルトである横山光昭氏が、貯金感覚でできる初心者向けの投資法を紹介した書籍『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)が、オリコン2017年上半期“本”ランキング・ビジネス書部門で1位を獲得し、累積売上部数48.4万部を突破。投資本としては異例のヒットとなっている。数ある投資本のなかでもこの書籍がそこまで人々を惹きつける秘密とは何なのか。筆者である横山氏に話を聞き、魅力を探った。

■きっかけは編集の言葉「投資を始めるのはハードルが高い」

 この本を書いたきっかけは、担当編集者からの「横山さんにとっては当たり前のことでも、投資を始めるというのはすごくハードルが高いんです」という言葉だったとか。“ネット証券口座の開き方”、“まずは「バランス型の投資信託」を選ぶ”など、投資を始めるときの具体的な方法をわかりやすく説明しているのも本作の魅力だ。

 また、横山氏の顧客のうち約4000人が投資と貯金のあわせ技で資産を増やしたという事実も、読者の「自分もやってみたい」という動機付けにつながっているようだ。横山氏は、「“投資”といえば“富裕層向け”、“たくさんの元手がないとできない”“初心者が手を出しても損をする”という偏見や先入観があったと思うんです。実際はそうではなく、少額からでも始められるし、貯金の延長線上として続けることができる。私自身、家計の相談に来られる方に“基本は貯金。ちょっとした上積みとして、リスクの少ない投資も考えてみませんか?”とおすすめしているのですが、この本を出したことで、そのやり方に興味を持ってくれる方も確実に増えていますね」という実感を語った。

 家計相談に来る顧客に関しても変化が出ている。「月々3000円の投資でも、3%の利回りだとしたら、普通預金に預けておくよりも将来的にはかなり違ってきます。お客様は小学でもコツコツと積み立てていき、堅く利益を出していますね。住宅ローン、子供の教育費、老後の資金など、お金に関する心配は多いですが、貯金として並行して投資を行うことで着実に資産を増やせることがわかれば、漠然とした不安は軽減されるのではないでしょうか」。

■借金で苦しんだ経験があるから「気持ちがわかる」

 もともと司法書士の事務所で債務整理などの業務に携わり、「借金問題を抱える人を助けるためには、金銭教育が必要」という動機から家計再生専門のファイナンシャルプランナーに転身した横山氏。「私自身も借金で苦しんだ経験があるので、お金の使い方が下手な人の気持ちもよくわかるんですよね。お金の問題は、知識があるかどうか、貯金や投資を実行するかどうかによって、将来的に大きな差が出てくる。やるとやらないとでは大違いなので、ぜひ『3000円投資生活』を始めてみてほしいですね。3000円といえば、飲み会を1回減らす程度の金額ですから」。

 『はじめての人のための3000円投資生活』がヒットしたのは、「できるだけ多くの人のお金の不安を解消したい」という横山氏の思いが伝わっていることの証かもしれない。

(文/森 朋之)

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