ネット証券の特定口座とは?そのメリットやポイントをご紹介
【概要】
・特定口座(源泉徴収あり)
証券会社が書類作成から納税まで、顧客に代わって行うので、個人で確定申告をする必要がない
・特定口座(源泉徴収なし)
証券会社が確定申告しやすいよう書類は作成してくれるが、自分で確定申告をする必要がある
・一般口座
譲渡による所得の年間の損益を計算し、確定申告まですべて自分で行う
特定口座は、証券会社が株取引などによって得た利益や損失を計算して、「特定口座年間取引報告書」を作成し送付してくれます。1証券会社につき1口座開設することができます。しかし、一般口座では、譲渡にかかる損益の計算をしなければならないので、ほとんどの場合は特定口座です。金融商品のなかには一般口座でしか取り扱っていない商品がありますが、株などほとんどの商品が特定口座で購入できるようになった現在、一般口座にはあまりメリットがありません。そのため、特定口座から選ぶのがおすすめです。基本的に、源泉徴収ありとなしには以下のようなメリットがあります。
【メリット】
〈 特定口座(源泉徴収あり)〉
・確定申告をする必要がない
・学生や主婦など、親や夫の扶養に入っている人は、いくら利益を出しても扶養から外れることがない
・上場株式配当等受領委任契約を結んでいれば、特定口座内で売却益と配当金等を損益通算することができ、節税になる
〈 特定口座(源泉徴収なし)〉
・譲渡益が20万円以下の場合、年末調整をした会社員はそもそも確定申告が不要なので、払わなくてもよい税金を納めずに済む
上記のように、特定口座(源泉徴収あり)のほうがメリットが多いので、初心者ほど源泉徴収ありを選びがちですが、気になるのが源泉徴収なしのメリットです。少額投資で株の利益が20万円以下の場合は、源泉徴収なしの口座を選んでおいたほうが節税になるケースがあります。
具体的な事例をもとに、源泉徴収ありとなしではどちらが有利になるのか見ていきましょう。
【ケース1】夫の扶養に入っているパート兼主婦のAさん。年収は100万円で配偶者控除の対象者。株取引の利益は1年で100万円ほどを目指している
Aさんのように株の利益が38万円を超えている場合、特定口座(源泉徴収あり)を選択したほうが有利です。夫の扶養に入っている主婦の場合、パート収入以外の所得が38万円以上になってしまうと税金の扶養の枠から外れてしまい、夫の税負担が増えるからです。源泉徴収なしの口座を選んでしまうと、扶養の枠から外れてしまいますが、源泉徴収ありの口座を選んでおくと、利益が上がっても扶養から外れることはありません。Aさんの場合、源泉徴収あり口座を選んでおいたほうがよいでしょう。
【ケース2】会社員のBさん。年収は500万円ほどで、株取引の利益は10万円ほどを目指している
年収が2000万円以下で、所得が20万円以下というBさんの場合は、特定口座(源泉徴収なし)のほうが有利です。給与所得等以外の所得が20万円以下の場合、確定申告はしなくてもよく、税金を払う必要がありません。ただし、利益が20万円を超えてしまうと、確定申告をしなくてはいけないので、この点にだけは気を付けておきます。
上記のケースから、少額投資から始めたい方は、一見便利そうに見える源泉徴収ありよりも、なしの口座のほうが有利になることがあります。そこまで利益を得るかどうか分からない場合は、源泉徴収なし口座からスタートしたほうが節税になるかもしれません。なお、源泉徴収なしからありに変更することもでき、最初の売却益や配当金を受け取っていない場合や配当金のみ発生している場合に可能です。ネット証券で口座を開設した方なら、WEB上で手続きが完結します。(変更の詳細については各証券会社に確認してください)。