高金利が魅力? リスク分散に役立つ?? 初心者でもわかる「外債」とは

 「外国債券(海外債券)」いわゆる「外債」は、通貨、発行場所、発行体(債券の発行者)のいずれかが外国である債券のこと。一番の魅力は、国内債券に比べ高金利である点だが、一方で国内債券と違い、為替変動により為替差損益が生じる「為替変動リスク」に注意する必要がある。ここでは外債ならではの特徴やリスク、どんな種類があるかなど、外債の概要を紹介する。

「外債(外国債券・海外債券)」ってどんな債券?

 「外債(外国債券・海外債券)」とは、通貨、発行場所、発行体(債券の発行者)のいずれかが外国である債券のこと。外債は国内債券に比べて高金利であることが一番の魅力である。例えば「南アフリカ・ランド建て外債」の参考利回りは年5.69%、「豪ドル建て外債」の参考利回りは年3.02%など、いずれも高利回りとなっている。
 一方で、国内債券と大きく異なる外債特有のリスクとして、外債が発行される国の信用度や、金利動向と為替相場の影響、外債を発行している国の経済や政治状況の影響を受ける。

<表1>外債の概要

売買

いつ買える

いつでも購入可能だが、売り切れることがある

どこで買える

証券会社、大手都市銀行

いくらから買える

商品により異なる
(豪ドル建て:96,000円以上、南アフリカ・ランド建て:41,000円以上など)

売買時チェックポイント

発行体の信用度を確認する(格付や目論見書をチェックする)

売買コスト

・購入・利払い・償還時:為替手数料
・売却時:売却手数料、為替手数料

途中解約(中途売却)

可能だが手数料がかかる

保有

保有期間

1年未満〜10年

保有コスト

なし

利率

商品により異なる
(豪ドル建て:年3.02%、南アフリカ・ランド建て:年5.69%)

性格

使い勝手

・国内債券とは使い勝手が大きく異なるので注意が必要
・中途売却の場合、買い手がつかない可能性あり

リスク

購入時より円高になると為替差損が出る可能性あり

リターン

購入時より円安になると為替差益が出る可能性あり

利益が出る条件

円安時に利子、償還金の受け取りや売却をする

損が出る可能性

円高時に償還金の受け取りや売却をすると可能性あり

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 次に、外債の種類をみていこう。外債を「通貨」の視点で分類すると大きく分けて3つに分類できる。それぞれの特徴をみていこう。

<表2>外債の種類と特徴

【外貨建て外債】
 元本の払い込み、利払い、償還の全てが外貨建てで行われる外債。一般的にはこの外貨建て外債を「外債」と呼び、外債の中でも投資家にとって一番身近なものである。
 この外貨建て外債の中で、外国の発行体が日本国内で発行するものを「ショーグン債」という。ショーグン債は発行場所が日本である以外は基本的に通常の外貨建て外債と違いはなく、金利も通常の外貨建て外債並みの水準である。
 外貨建て外債を購入する場合は、まず日本円を米ドルやユーロなどに両替して外債を購入することになる。そのため為替変動リスクの影響を受けやすいが、その分円貨建て外債等と比べて利回りが高い。
長所:利回りが高い
短所:為替リスクを受けやすい


【円貨建て外債】
 元本の払い込み、利払い、償還の全てが円貨建てで行われる外債。
 この円貨建て外債の中で、外国の発行体が日本国内で発行した円貨建て外債を「サムライ債」と呼び、海外の市場で発行された円貨建て外債を「ユーロ円債」と呼ぶ。円貨建て外債は外貨建て外債と比べて利回りは低いが、全ての取引が円貨建てで行われるため、為替変動リスクの影響を受けない。ただし、発行体によって信用リスクが大きく異なるため、円貨建外債を購入する際には格付け等をチェックすることが重要である。
長所:為替リスクを受けない
短所:利回りが低め、発行体によって信用リスクが大きく異なる


【二重通貨建て外債】
 元本の払い込み、利払い、償還が異なる通貨で行われる外債。
二重通貨建て外債は、円金利が低金利で推移するときには比較的高い利回りを得られる。しかし、流通量や市場規模は比較的小さく流動性はあまり高くない。したがって、二重通貨建て外債は中途売却を希望する際に買い手がつかない可能性がある。
長所:円金利が低金利で推移するときには利回りが高め
短所:途中売却の際に買い手がつかない場合がある


また、二重通貨建て外貨には「デュアルカレンシー外債」と「リバースデュアルカレンシー外債」の2種類がある。
 デュアルカレンシー外債は、払い込みと利払いは円貨建て、償還は外貨建てで行われる。
長所:利息受取時に為替リスクを受けない
短所:償還金受取時に為替リスクを受けやすい

 リバースデュアルカレンシー外債は、払い込みと償還は円貨建て、利払いは外貨建てで行われる。
長所:償還金受取時に為替リスクを受けない
短所:利息受取時に為替リスクを受けやすい


外債の仕組み 「為替差損益」と抑えておきたい4つのリスク

 外債は外貨投資商品の中では比較的価値が安定しており、日本の株式や債券とは異なる値動きをする。そのためリスク分散できる点や、外債の利子や償還金や売却益などを受け取る際に、為替差益を期待できる点がメリットとして挙げられる。ただし、外債の購入や利子の受け取りの際に為替手数料がかかる点や、外債を中途売却した場合などに為替差損を被り、元本割れを起こす可能性があるので注意が必要だ。
 また外債の多くは発行体が海外の組織のため、信用度を測りにくいというデメリットもある。したがって外債を購入する際には、格付け会社による格付けや、外債発行者による目論見書で購入する外債発行体の信用度をチェックすることが重要である。

≪為替差損益の仕組み≫
 外債の仕組みは基本的には国内債券と変わらず、定期的に利子を受け取ることができ(※1:利付外債、※2:ディープディスカウント外債の場合)、満期まで待てば額面通りの金額が償還される。ただし外債の場合は、利子や償還金の受け渡しが外貨で行われるため、外債の利子や償還金を日本円で受け取る際に為替差損益が発生する(図1)。
※1:クーポン(利子)がつく外債。満期まで利率が変わらない「固定利付外債」と、利率が一定期間ごとに変わる「変動利付外債」がある。※2:払込価格が額面より低く、利付債より利率も低く設定されている外債。利子と償還差益(額面金額と払込価格の差額)の両方が得られる。

<図1>為替差損益が発生する仕組み

 たとえば「1ドル=100円」のときに1,000ドルの外債を購入した場合、「100円×1,000ドル=10万円」で買うことができる。この外債を「1ドル=105円」のときに償還すれば「105円×1,000ドル=10万5000円」の償還金を受け取ることができ、5,000円の為替差益が出る(ここから諸手数料や税金などが引かれる場合がある)。逆に「1ドル=95円」のときに償還すれば「95円×1,000ドル=9万5,000円」しか償還金を受け取ることができず、5,000円の為替差損となる。

≪抑えておきたい4つのリスク≫
■為替変動リスク
 外債購入時よりも為替が円安になっているときに、外債の償還金を受け取れば為替差益を受け取ることができるが、外債購入時より円高になっているときに外債の償還金を日本円で受け取れば、為替差損によって元本割れが発生する可能性がある。このリスクを「為替変動リスク」といい、外債特有のリスクであると言える。

■価格変動リスク
 外債を中途売却する場合に、市場価格が金利情勢によって変動するリスクのこと。外債を中途売却する場合の価格は時価であるため、外債の市場価格が上がっているときに外債を売却すれば差益を得ることができる。しかし、外債の市場価格が下がっているときに外債を売却すれば元本割れを起こす可能性がある。なお外債の市場価格は、基本的に外債を出した国の金利が上がると価格が下がり、外債を出した国の金利が下がると価格が上がる関係にある。

■信用リスク
 外債の発行体から利子や償還金を確実に受け取ることができる信用度に対するリスクのこと。外債の場合、償還期間や利子が決まっているとはいえ、外債発行体が破たんすれば約束が守られないこともある。また実際に破たんしなくても、外債発行体の財務状態が悪化することで信用リスクが高まり、外債の価格が下落するケースも考えられる。
 こういった外債発行体の信用リスクをチェックするには、目論見書の内容をよく理解する必要がある。また格付け会社による格付けを参考にすることも有効だ。

■カントリーリスク
 外債の発行国全体の経済や政治の不安定性からくるリスクのこと。外債の場合、外債発行体が属する国に戦争や災害が起きたり、財政破たんや外貨の枯渇が起きたりすることにより、元金の支払いが不履行になる場合がある。従って外債を購入する際には、格付け会社や調査機関から発表されている「カントリーリスク情報」を証券会社の窓口できちんと確認しよう。

「格付け」の見方と安全性

 格付けとは、「格付け会社」と呼ばれる専門機関が第三者の立場から外債等の発行体の返済能力を評価したものである。代表的な格付け会社には、「ムーディーズ」や「スタンダード&プアーズ」、「フィッチ・レーティングス」などがある。
 格付け会社は財務内容や組織の沿革・事業内容などから外債等の発行体の信用度を総合的に判断し、信用度の高いものから順にAAA、AA、A、BBB、BB、B、CCC、C、Dなどのアルファベットで格付けする。さらに細かいランク付けとして、同じAAの中でもAA+、AA-、Aa1、Aa3のように末尾に記号や数字を付ける場合もある。これは同じ等級の中でも相対的に信用リスクが低いもの(AA+、Aa1)、平均的なもの(AA、Aa2)、相対的に信用リスクが高いもの(AA-、Aa3)を区分けして表示するものである。
 格付けは外債の信用度を測る上で目安となるものである。しかし、あくまで第三者によるひとつの見解であり、絶対的な尺度ではない点に留意しよう。また格付けを外債購入の目安として利用する際の注意点として、各格付け会社は独自の方法で外債等の発行体を評価するため、同じ外債でも格付け会社ごとに格付けの差が生じるケースがある点や、外債発行体の経営状態の変化などにより格付けが途中で変更される場合がある点が挙げられる。
※今回の特集内で紹介している情報やデータは2013年12月現在のものです。変更される場合もありますので、ご注意ください。