ネット証券の確定申告は「口座の種類」と「取引状況」がポイント

 株式を売買して利益を得た時には、確定申告を行い、所得税を支払う必要がある。ただ、利益を出したすべての利用者が申告を行うわけではなく、「年間利益額」と「開設している口座の種類」の組み合わせで申告が必要かどうか決まる。さらに損失が出た場合も、確定申告をしておくと有利になるケースがある。自分が確定申告の必要があるのか、どのような場合に有利になるのかを確認していこう。

※今回の特集内で紹介している情報やデータは2013年12月現在のものです。変更される場合もありますので、ご注意ください。

まずは確定申告が必要かどうかチェック!

 確定申告の基本事項に「給与以外の所得が他にもあり、その合計が20万円を超えた場合は申告が必要」というものがある。これをネット証券での株式や証券売買に当てはめると、「年間利益20万円を超えた人」が申告対象になる。ただし、特集『ネット証券の始め方』の「知っておきたい口座の種類」部分でも解説しているが、年間で同じ額の利益が上がっても、口座の種類によって確定申告が必要かどうかは変わってくるのだ。
 ネット証券の口座には、1年間の取引で得た利益を自分で計算する「一般口座」と、利益の計算を証券会社が行ってくれる「特別口座(源泉徴収あり)」「源泉徴収なし」がある。確定申告が必要になるのは、基本的に『年間の利益が20万円を超え、「一般口座」か「特別口座(源泉徴収なし)」を利用しているケース』と覚えておこう。
 ちなみに、2014年1月1日からスタートの「NISA(ニーサ=少額投資非課税制度)」を利用すれば、株式などの売却益や配当金について、年間100万円の取引まで非課税になるため、その範囲内なら、いくら利益が上がっても確定申告を行う必要はない(詳しくは特集『投資が有利になる新制度「NISA」とは?』)。

知らないともったいない!「譲渡損失の繰越控除制度」

 株式取引による所得が20万円未満なら確定申告をする必要はない。しかし、通算して損失が出た場合には「譲渡損失の繰越控除制度」が利用できるので、きちんと申告しておきたい。これは利益と損益通算して控除しきれなかった分の損失については、翌年以降3年間にわたって繰り越し、利益が出た場合にその分を控除することができるというものだ。

<図1>譲渡損失の繰越控除制度

 この特例の適用を受けるには、損失申告用の「申告書第四表」に損失額を記入し、損失が生じた年とその後3年間連続して申告書を提出する必要がある。これは「特別口座(源泉徴収あり)」で取引をしている人にもあてはまり、これは証券会社が代行してくれる範囲に含まれていないので、各自で確定申告をしなければいけない。

<表1>取引口座と取引状況別でみる確定申告
【1つの口座だけで取り引きをしている場合】

口座の種類

取引合計で利益が出た場合

取引合計で損失が出た場合

特定口座(源泉徴収あり)

確定申告
(証券会社が代行)

確定申告をすると、譲渡損失の繰越控除を受けられる(※1)

特定口座(源泉徴収なし)/
一般口座

確定申告が必要

確定申告をすると、譲渡損失の繰越控除を受けられる

【複数の口座で取り引きをしている場合】

口座の種類

全部の取引合計で利益が出た場合

全部の取引合計で損失が出た場合

特定口座(源泉徴収あり)

1.すべての特定口座(源泉徴収あり)で利益が出た場合
確定申告

2.一部の特定口座(源泉徴収あり)で損失が出た場合
確定申告をすると、損益通算によって還付を受けられる場合がある(※2)

確定申告をすると、譲渡損失の繰越控除、場合によっては損益通算による還付を受けられる(※3)

特定口座(源泉徴収なし)/
一般口座

1.複数口座がすべて特定口座(源泉徴収なし)または一般口座の場合
確定申告が必要

2.複数口座のうち特定口座(源泉徴収あり)で利益が出たが、特定口座(源泉徴収なし)または一般口座で損失が出た場合
確定申告をすると、損益通算によって還付を受けられる場合がある

確定申告をすると、譲渡損失の繰越控除、場合によっては損益通算による還付を受けられる

※1〜3:特定口座(源泉徴収あり)の場合でも、損失が出た際の申告は各自で行う必要がある。申告するかどうかは選択可。