2016年06月03日 08時30分

「住宅ローン」借換えでどのくらい得する? 検討ポイントも解説!

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【図1】借換えのビフォーアフターを比較

 史上最低の金利とも言われている住宅ローン。「借換え」をすることで今の低金利の恩恵を受けられると聞いたはいいが、実際にはどのくらい得するのだろうか? 

 そこで今回は、住宅ローンの借換えについてまとめた。

▼借換えの手続きと経費
 住宅ローンの借換えは、基本的に現在借りている金融機関と異なる金融機関で行うもの。今までの金融機関の借入残高を新しい金融機関で借りて返済することになる。現在の金融機関のままで借換えは通常できず、できることは条件変更という形での金利の引き下げ交渉程度となる。

 従って借り換えをするのであれば、仮申込み、審査、本申込みなどの借入手続きは新規と同様にかかると思った方がよい。現在の住宅ローンの審査時から状況が変わっている人は借り換えの審査に通らないこともある。

 具体的には、下記のようなときだ。
(1)年収が下がっているのに、同じような返済額の借換えを検討している
(2)健康状態が悪くなっている

 新規と同様なので、費用もきちんと予定しておかなくてはならない。保証料や事務手数料が金融機関によって異なることが想定され、抵当権の設定し直しがあるので登記費用もかかる。都市銀行では事務手数料は数万円であるが、保証料がかかる。ネット銀行では保証料はない場合が増えているが、事務手数料が借入額の2%程度などかかる。

 元の借入で初めに保証料をまとめて払っていた場合、未経過分の保証料が返却されるが、1/2期間が残っていたとしても当初の保証料が1/2戻ってくるわけではない。金融機関によっては借換えに要する諸費用も上乗せして借換えすることもできるが、借換えをして今後払わなくてよくなる(メリット分)利息で諸費用が賄えないのであれば、借換えの効果はない。

▼借換えの検討をする
 ローンの借換えについては、いろいろなサイトでその効果のシミュレーションをすることができる。現在のローンで完済までに総額いくら支払うかは、固定金利ならばわかっているし、変動金利の場合もそれなりの想定で試算できる。【図1】は、現在の借り入れ状況から借換えた場合の新しい金融機関の条件や諸費用までを材料に借換えのビフォーアフター比較したものだ。

 2500万円の残高で現在金利が2.5%、残期間が20年とする。これを1%金利のものに借換えしたとすると、総返済額で420万円も少なくなる。だが、現在の借入金利が1.2%であれば、総返済額53万8800円しか減らない。諸費用によってはメリットがなくなり、マイナスになる。

 当然、借り換える金融機関の諸費用を試算して準備しておくことも重要で、借換え前の元金と諸費用を試算に入れたシミュレーションをするべき。金利差部分の利息を減らすので、残期間が長いほど、現在の金利が高いほど借り換えの効果は大きい。

 ちなみに、借換えに踏み切る目安は0.5%の金利差と言われている。変動金利で先の長い借入をしている人が、現在の固定金利に変えた場合には現状金利とあまり変わらないケースもある。だが、固定金利に変えられることをよしと思える人も多いはず。金利が下がった固定金利であれば、変動で起こりえる返済額が増える不安はなくなり、家計の安全運転につながるからだ。固定金利に切り替えるだけであれば、今までのローンの条件変更で金利のタイプを変えることも検討しよう。

▼借換えのタイミングは?
 手間とコストをかけてでも借換えをした方が支払う返済総額を減らせるとなった場合、借換えの判断をすることになる。だが、住宅ローンの借換えは新規と同じ手続きと考えたほうがよい。時間や手間もバカにはならない。さらに、下記のような場合は、急いで借り換えを検討する方がいいだろう。

・今までの借入の固定期間が終わってしまう
・転職しようかと思っている
・シミュレーションの結果借換えた方がトクである

 今までの借入の固定期間が終了すると、優遇金利が終了されて今までよりも金利が上昇してしまうこともある。優遇金利の固定期間が終わって金利が高くなってから動き出しても借換えが終了するまでは高い金利を支払わなくてはならない。

 また、転職して収入の裏付けが減ってから借換えをするのは困難なこともある。手続きには少々時間がかかるので、そこも加味して考える必要があるだろう。

 ただし、本当に借換えでよいのかという検討も必要。借換えは毎月の返済額の軽減はできるが、一時的には諸費用の支払いが発生する。そうなると、現在の借入の条件変更や繰上げ返済をした方がよい場合もある。将来の家計全体を見通した場合、一時的な諸費用の支払いは行わず、子どもの学費の出費や家のリフォーム等の費用を考えて(住宅ローンの利息を払い続けるよりも)貯金を増やして余裕資金で繰上げ返済をすることも選択肢の一つだ。

<記事/山根裕子(マイアドバイザー登録FP)>
CFP。会計事務所系FP会社で中小企業のオーナーや個人の顧客のお金に関する問題解決の実行支援を展開中。「お金のかかりつけ医」として家族ぐるみの相談相手になることも多い。

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