「住宅ローンの借り換え」はお得?

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 家計の中で、住宅ローンの返済が占める割合は大きいものです。できるだけ返済額を減らすために、金利が低くなったタイミングを狙って住宅ローンの借り換えを検討している人もいるのではないでしょうか?

 とはいえ、万が一損をしたらと思うと、なかなか決断できません。住宅ローンの借り換えが得なのか損なのか、検証してみましょう。
 日銀が2016年の金融政策決定会合で導入を決めた日本初の「マイナス金利」の影響で、それ以降、低金利傾向が続いています。マイナス金利と聞くと、銀行に預けているお金の金利が下がるというデメリットに目を向けがちですが、住宅ローンの借り入れや借り換えを検討している人にとっては、返済総額を減らすチャンスです。

 「メガバンクが住宅ローン金利の引下げを発表」「地銀でも引下げの動きが加速」といった報道によって、実際に「借り換えた」という話を見聞きすると、自分も乗り遅れまいと焦りを感じる人も多いでしょう。

 しかし、目先の低金利に目がくらむと、後悔することになりかねません。低金利の裏に潜むリスクもしっかり把握した上で決断しましょう。

 借り換えを検討するときの重要なポイントは、以下の4つです。

・現在の「金利」
・「金利タイプ」(固定金利/変動金利/固定金利期間選択型)
・繰上返済による「返済期間」の短縮が可能かどうか
・借り換え時にかかる「諸経費」はどのくらいか

 一般的に「住宅ローンの残年数が10年未満」で「支払残高が1,000万円未満」「現在の金利と借り換えた際の金利の差が1%に満たない」場合は、わざわざ借り換えをするメリットはないといわれています。現在の住宅ローンを継続して返済していった場合と、借り換えをして返済する場合のどちらが支払総額を抑えられるか、しっかり試算しましょう。

 また、住宅ローンの借り換えには、新規に借り入れをしたときと同じように諸費用がかかります。具体的には、以下のとおりです。

・売買契約書印紙税
 住宅ローン利用者と金融機関の間で締結される、契約文書に対して発生する税金。借入額によって異なる金額の印紙を郵便局などで購入し、それを契約書に貼ることで「税金を支払う」というしくみです。

借入額1,000万円超5,000万円以下:2万円
借入額5,000万円超1億円以下:6万円

・事務手数料
 事務手数料は、金融機関ごとに「融資額の〇%」などと決められています。「金利が安いから借り換えたけど、実際には事務手数料が高くついてあまりメリットを感じなかった」ということのないよう、慎重に検討しましょう。

・保証料
 信用保証会社によって多少の違いはありますが、住宅ローンの保証料は、借入総額や返済期間などで決まり、借り換え時に一括で支払うか、金利に上乗せして毎月支払うかのいずれかの返済方法から選ぶことができます。

・抵当権設定費用
 万が一、住宅ローンの支払いができなくなったときのために、家と土地を担保とすることを「抵当権設定登記」といいます。この抵当権設定登記を行う際に支払わなければならない費用が、登録免許税です。通常は借入額の0.4%ですが、マイホームの新築または購入など一定の条件を満たしている場合は、特例として0.1%に引き下げられます。また、登記を行う司法書士に支払う手続き代行費用も併せて必要となります。

 こうした諸費用を考慮してもメリットがある場合のみ、借り換えを前向きに検討することをおすすめします。
 さまざまな条件を踏まえても、借り換えるべきか否か、よくわからない……という場合は、返済シミュレーションをしてみるといいでしょう。各金融機関のサイトで、「現在」と「借り換え後」に関する以下のような質問への答えを入力していくだけで、簡単に計算することができます。

■現在の条件について
・現在利用しているローンがいくつあるか
・現時点でのローン残高がいくらあるか
・借入期間はあと何年か
・現在の借り入れ分の金利は何%か
・ボーナス月の返済額はいくらか

■借り換え後の条件
・借り換え時に発生する諸費用は自己資金でまかなうか、諸費用も借り入れを予定しているか
・借り入れを希望する総額はいくらか
・ボーナスでの返済はするか、するときはいくらを予定しているか
・金利タイプは「変動金利」「固定金利」「固定金利期間選択型」のうちどれにするか

 毎年秋頃に金融機関から送られてくる「借入金残高証明書」などを手元に準備しておくと、シミュレーションがスムーズに進むでしょう。
 ほとんどの金融機関では、住宅ローンの新規借り入れを希望する人はもちろん、借り換えを検討している人に無料相談を行っています。自分でシミュレーションをしてもなんとなく不安……という人は、金融のプロフェッショナルに相談してみましょう。また、ファイナンシャルプランナーや、住宅ローン借り換えの支援を行っている会社でも相談することができます。さまざまな金融機関を比較して住宅ローンを見直したいという方は、こういった専門家を頼るのも一つの手です。
 住宅ローンの借り換えは、支払総額が減るというメリットがある場合でも、諸費用と手間がかかるというデメリットがあります。目先の金利や周囲の動向に踊らされることなく、現在の金利タイプや返済残額、借り換え後の条件などを把握し、借り換えをして効果があるかどうかを十分に試算するようにしましょう。

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