自動車保険料は年末調整で控除できる?控除対象となる保険の種類を解説

自動車保険は年末調整の控除対象?対象と対象外のケースを解説

会社員や公務員などいわゆるサラリーマンと呼ばれる給与所得者は、年末が近づくと会社で年末調整を行います。生命保険や地震保険の場合は、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を勤務先に提出する人も多いでしょう。

では、自動車保険の保険料は、年末調整で控除の対象となるのでしょうか?この記事では、年末調整の仕組みをはじめ、年末調整の控除対象となる保険について解説します。

年末調整とは

年末調整とは、会社員などの給与所得者が1年間に給与から源泉徴収された所得税や復興特別所得税などが納めるべき税金額と一致しているかどうかを確認するための作業です。税金の控除対象になるものを申告することによって、払いすぎた税金が還付される場合もありますので、正しく申告する必要があります。

なぜ年末調整が必要なのか

給与の支払い者(勤務先)は、毎月(日)給与を支払う際に所得税(復興特別所得税含む)を所定の源泉徴収税額表をもとに計算し源泉徴収しています。

ですが、源泉徴収をした税額の1年間の合計額と、実際に納めなければならない税額は一致しません。
というのも、源泉徴収税額表は1年間をとおして毎月の給与の額に変動がないものとして作成されますが、実際には給与の金額に変動がある、または、子どもが生まれたりして控除対象扶養親族の数などが変わっている場合があります。
そうした場合でも、さかのぼって各月の源泉徴収税額を修正はしません。また、配偶者特別控除や生命保険料控除などは年末調整の際に控除するとされています。

このような経緯から源泉徴収税額と実際に算出すべき税額には差異が生じ、不一致を精算するために給与総額が確定する年末に計算し、差額について徴収または還付する手続きが「年末調整です。

年末調整の対象外となる人

年末調整は原則として「扶養控除等(異動)申告書」を提出している人について行いますが、対象とならない人もいます。

例えば、「1年間の給与の収入金額が2千万円を超える人」や「2か所以上から給与の支払われている人で、他の給与の支払い者(勤務先)に扶養控除等(異動)申告書を提出している人」などは年末調整の対象になりません。

自動車保険料は年末調整の控除対象外

残念ながら、個人で契約する自動車保険の保険料は年末調整で控除の対象にはなりません。個人で契約する場合、主に次の3つのパターンが考えられますが、いずれの場合も控除対象外です。

・マイカーを個人的な目的(日常生活)で使用する場合
マイカーを所有し、個人的な目的で使用している場合は、保険料をいくら払っていても控除対象にはなりません。

・マイカーを通勤で使用する場合
マイカーを通勤で使用している場合も控除対象外です。通常、バスや電車などを利用すれば通勤できるのに個人の希望によって車を利用していると判断されるからです。

・マイカーを会社で使用する場合
マイカーを仕事の営業周りなどで使用されている方もいるでしょう。しかし、この場合も控除対象とはなりません。

個人事業主の場合は、自動車保険料を経費(損金)として計上できる

事業経営者個人事業主の場合、税務上の自動車保険料の取扱いは会社員(個人)とは異なります。具体的には、次のケースにおいて自動車保険料を経費として計上し、法人所得税を抑えることができます。

・社用車で保険料が会社もちの場合
社用車が契約する自動車保険料を会社が支払っている場合、その保険料は会社の経費にあてることができます。会社業務に関連する経費(損金)として自動車保険料を計上すれば、法人所得から差し引くことができるので、法人所得税を抑えることができます。

個人事業主でも自動車を事業用として使用する場合、自動車保険の保険料は事業所得から差し引くことができます。

年末調整で控除の対象となる保険は?

年末調整で控除対象となる保険は、生命保険料地震保険料が挙げられます。また、このほかに、厚生年金保険料や健康保険料などで支払った額を控除できる社会保険料控除があります。

生命保険料控除

生命保険料に関しては、一般の生命保険料介護医療保険料個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けられます。なお、平成24年1月1日以降に契約した保険契約(新契約)と平成23年12月31日以前に契約した保険契約(旧契約)の保険料では、生命保険料の控除額が異なります。

年末調整前に各保険会社から「控除証書」が届きますので、なくさず保管しておきましょう。また、保険期間が5年未満の短期の契約については控除の対象とならないものもあるので注意が必要です。
■生命保険料控除の概要 ※引用:国税庁「No.1140 生命保険料控除

生命保険料控除の概要

■新契約(平成24年1月1日以降に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額 
※引用:国税庁「No.1140 生命保険料控除

年間の支払保険料等

控除額

2万円以下

支払保険料等の全額

2万円超 4万円以下

支払保険料等×1/2+1万円

4万円超 8万円以下

支払保険料等×1/4+2万円

8万円超

一律4万円

地震保険料控除

地震保険は火災保険に付帯して契約できる保険です。地震保険料控除の対象となるのは地震保険に関する部分の保険料になります。地震保険料と経過措置が適用される長期損害保険料を合算した控除限度額は、所得税 5万円個人住民税 2万5千円となります。

平成18年の税制改正により平成19年分より損害保険料控除が廃止になり、その代わりに地震保険料を控除の対象とすることができるようになりました。

■地震保険料控除の概要 ※引用:国税庁「No.1145?地震保険料控除
区分 年間の支払保険料の合計 控除額
(1)地震保険料 5万円以下 支払金額の全額
5万円超 一律 5万円
(2)旧長期損害保険料 1万円以下 支払金額の全額
1万円超 2万円以下 支払金額×1/2+5千円
2万円超 1万5千円
(1)(2)両方がある場合 (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50万円)

社会保険料控除

本人と生計を一にしている配偶者やその他の親族が負担する社会保険料を支払った場合、実際に支払った社会保険料の金額について所得控除を受けることができます。おもな社会保険料控除の対象となるものは次の通りです。
おもな社会保険料控除の対象 ※引用:国税庁「No.1130?社会保険料控除
健康保険国民年金厚生年金保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
国民健康保険の保険料または国民健康保険税
■高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
■介護保険法の規定による介護保険料
雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
国民年金基金の加入員として負担する掛金
■独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
存続厚生年金基金の加入員として負担する掛金
■国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金または納金等
■労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料
■地方公共団体の職員が条例の規定によって組織する互助会の行う職員の相互扶助に関する制度で、一定の要件を備えているものとして所轄税務署長の承認を受けた制度に基づきその職員が負担する掛金
■国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の公庫等の復帰希望職員に関する経過措置の規定による掛金
■健康保険法附則または船員保険法附則の規定により被保険者が承認法人等に支払う負担金
■租税条約の規定により、当該租税条約の相手国の社会保障制度に対して支払われるもの(我が国の社会保障制度に対して支払われる当該租税条約に規定する強制保険料と同様の方法ならびに類似の条件および制限に従って取り扱うこととされているものに限ります。)のうち一定額
給与所得者は年金保険料や健康保険料などの社会保険料が給与天引きされています。これが社会保険料として控除できます。また、20歳以上の子どもが国民年金に加入していて、その国民年金保険料を支払っていれば、申告することで社会保険料控除の対象になります。

年末調整の控除対象外でも大事な保険であることに変わりはない

自動車保険料は年末調整の所得控除の対象外ではあるものの、自動車保険は自動車を保有し運転する限り大切な保険です。自動車保険の加入は、万が一事故を起こした際に相手のみならず、ひいては自分を守ることにもなりますので、きちんと加入しましょう。

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