2016年01月12日 09時00分

アクサ損保の本格テレマティクス保険、2年以内の発売に向け意欲、ICTで安全運転「見える化」

アクサ損保は、本格的なテレマティクス保険の2年以内の発売に意欲を見せる(写真はイメージ) [拡大する]

アクサ損保は、本格的なテレマティクス保険の2年以内の発売に意欲を見せる(写真はイメージ)

 車種などに限定されない本格的なテレマティクス保険の開発に着手しているアクサ損保の取り組みが、新たなステージに入った。2015年4月に提携を発表した(株)スマートドライブ社の「車載デバイス」と、アクサ損保のスマホアプリ「You Drive」との連携を15年10月までに完了し、同月下旬には同社の自動車保険契約者の運転データ収集を行う「MIRAI DRIVE PROJECT(ミライドライブプロジェクト)」をスタートさせた。セールス&マーケティング本部ネクスト・イノベーションプロジェクト統括の輪島智仁氏は「2年以内に本格テレマティクス保険を発売したい」と意欲を見せる。

 15年10月下旬にスタートした同プロジェクトでは、同社の自動車保険契約者にスマホアプリとデバイスを提供。マイカーに両方をセット(注1)してもらうことで、運転特性や走行履歴のデータを収集する。具体的には、スマホアプリがアクセル、ブレーキ、進路変更、コーナリングやスピードなどの操作を診断すると同時に地図上に走行履歴や危険な運転操作をした箇所が記録される。ドライバーが運転終了後に走行した地図を見られるのも特徴で、地図上に表示されるイベントマーク(アクセル、ブレーキなどの危険操作箇所など)を確認し運転改善につなげられる。

 こうした方法で「安全運転の見える化」に取り組むのが同プロジェクト。プロジェクトメンバーの前原妙子氏は「これまでドライバーは、自分は運転が得意といった『感覚』で運転していたと思うが、スマホアプリとデバイスの利用で『安全運転の見える化』することで、ドライバーが優しい運転の重要性に気付く。それが、事故ゼロ・渋滞ゼロにつながる。優しいドライバーを増やしたい」と女性ならではの視点で語る。「自動車メーカーが自動運転なら、保険会社はテレマティクス保険で社会に貢献できる」と話し、CSRの一環である点も強調する。

 アクサグループでは、「ビッグデータと最新テクノロジーの活用」を世界戦略として打ち出し、13年には米国シリコンバレーにアクサ・ラボを設立した。同年9月には20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、政府は「日本のIT化推進」を掲げた。14年2月スタートの国土交通省「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会」でもテレマティクス保険が重要テーマの一つとして検討された。

 輪島氏は「スマートドライブ社はデバイスの開発を通して保険料の削減に取り組んでいる。三井不動産が中心となって千葉県柏市で展開している柏の葉スマートシティプロジェクトでの実証実験や、総務省の『ICTイノベーション創出チャレンジプログラム』の第一号に採択されるなど、信頼度の高さ、ベンチャーとしてポテンシャルも高いことなどから業務提携を決めた。今回の取り組みは、アクサグループで先行しているフランス・パリ(注2)でのビッグデータ分析とも連携する」と話す。契約者の運転データは、1年以上の蓄積と検証が必要なため、現在はデータを蓄積しつつ保険商品化に向けた準備を積み上げている。また、プロジェクトを通じて運転データ収集後もテレマティクス保険の普及に向けたブランディング活動を中心に顧客とのコミュニケーションを継続していく予定だ。

(注1)デバイスを車内にあるコネクタ(差込口)に装着する。コネクタの位置は、ダッシュボードの下やセンターコンソールの横など、車種によって違う。

(注2)アクサグループでは14年1月、パリで「データ・イノベーション・ラボ」を設置。データ分析を専門とするビジネスセンターの役割を担っており、100人以上のアナリストやサイエンティストがビッグデータの解析に取り組んでいる。テレマティクスの開発に向けても、世界中の走行データを分析して最良の保険につなげる計画だ。一方、米国にある「アクサ・ラボ・シリコンバレー」は、アクサグループ全体のデジタル分野における革新とカルチャーの醸成を担う。グローバルビジネスのパートナーとなり得るハイテク産業の大手企業とのコネクション作り、テクノロジーの最新動向の把握や人材の発掘なども行っている。

(保険毎日新聞)

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