2017年04月09日 10時10分

高齢ドライバーによる事故削減へ 認知機能の診断&講習を増加 

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高齢ドライバー対策が急務。不安を感じたら相談窓口へ

 3月に施行された改正道路交通法。今回の改正の主なポイントは、高齢ドライバー対策の推進と普通免許と中型免許の間に「準中型免許」を新設することの2点ある。今回は、高齢ドライバーの認知機能状況に応じて、医師の診断や講習の機会を増加させることが盛り込まれた背景について紹介する。

■改正道路交通法のポイント

 改正以前も、75歳以上のドライバーには3年に1回の免許証更新時に認知機能検査が義務付けられていたが、あくまで簡易的なもので「認知症のおそれあり(第1分類)」、「認知機能低下のおそれあり(第2分類)」、「認知機能低下のおそれなし(第3分類)」の3つに分類され、ドライバーは結果に応じて講習を受けるものだった。しかし、「認知症のおそれあり」と判定されても、一定期間内に信号無視や逆走などの通行区分違反、一時不停止など一定の違反行為がなければ、医師の診断を受ける必要はなかった。

 改正後は、認知機能検査で第1分類と判定されると、違反の有無にかかわらず、必ず認知症かどうかの診断を受けなければならない。また、高齢者講習においても、認知機能検査で“認知症のおそれあり”と判定された人については、ドライブレコーダーで運転の様子を記録し指導を行うなど内容を充実化させた。

 一方、75歳未満の人や75歳以上のドライバーのうち、認知機能検査で“認知症のおそれなし”と判定された人に対しては、改正前と比べて講習の内容が合理化され、時間も短縮した。さらに、認知機能は、短期間で悪化する恐れもあるため、免許証更新時以外でも、信号無視や逆走などがあった場合は、75歳以上のドライバーは新設された臨時の検査を受けなければならない。この検査で前回よりも認知機能が低下したと判断されれば、臨時高齢者講習を受けることになる。

■高齢者の事故ドライバー“認知機能低下のおそれ”判定が5割

 今回の改正で高齢ドライバー対策を進めることになった背景には、認知機能の低下が原因と思われる事故が社会問題となるなか、講習の増加などを通じて、ドライバーに自身の認知機能状況を理解してもらう狙いがある。

 警察庁によると、平成17年から平成27年までの死亡事故件数は、年々減少している一方、75歳以上のドライバーによる死亡事故件数は、ほぼ横ばいで推移している。そのうち、事故前に認知機能検査を受けていたドライバーの5割近くが“認知症のおそれあり”または“認知機能低下のおそれあり”と判定されていた。認知機能の状況を、ドライバー本人や家族に正しく把握してもらうことが急務なのである。免許センターなどには相談窓口も設置されており、運転に不安を感じるようになったらぜひ利用してほしい。

 今週6日から15日まで行なわれている『春の全国交通安全運動』のキーワードは、“子供と高齢者の交通事故防止〜事故にあわない、おこさない〜”となっている。交通ルールを守って、安全運転を心掛けよう。

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