2017年10月22日 09時50分

「モノ」だけではない? 自動車保険“対物賠償”対象とは

交通事故による高額賠償の事例や「モノ」以外の補償について紹介 [拡大する]

交通事故による高額賠償の事例や「モノ」以外の補償について紹介

 自動車保険は、相手方の損害を補償するのが大きな役割だ。そのメインは「対人賠償」、「対物賠償」となるが、対物賠償保険は「モノ」とそれ以外の損害もカバーする。またそれは高額となるケースも少なくない。交通事故による高額賠償の事例や「モノ」以外の補償について紹介する。

■自動車事故の損害を補償「対物賠償保険」

 任意の自動車保険には「対物賠償保険」がついており、加入時には自分で保険金額を決定する。無制限が一般的だが、5000万円、3000万円、1000万円といった設定もできる。「数千万円規模の損害は与えないのでは?」と思ってしまうが、実際には高額な賠償金になる事例も少なくない。

 例えば、過去の高額賠償判決例は次のようになっている。

【交通事故高額賠償判決例】

1位 2億6,135万円 積荷(呉服等) 平成6年判決
2位 1億3,580万円 店舗(パチンコ店)平成8年判決
3位 1億2,037万円 電車、線路、家屋 昭和50年判決
4位 1億1,798万円 トレーラー 平成19年判決
5位 1億1,347万円 電車 平成10年判決
(損害保険料率算出機構のディスクロージャー最新版より)

■賠償金が高額となる「モノ」以外への補償「間接損害」

 対物賠償が補償するものは、2つのグループに分けられる。まず一般的なものに「直接損害」がある。これには、相手の車、建物、ガードレールといった物が含まれる。また積荷などもこれに該当する。

 上記の高額賠償事例にある「積荷」「家屋」「電車」などの補償は、「直接損害」に含まれることになる。交通事故で壊れた「車」「積荷」などの賠償金が支払われれば、その物に対しての弁済は完了する。

 2つめのグループが「間接損害」だ。車や店舗など、事故で壊れなければ得られるはずだった利益についても補償しなければならない。これが「モノ以外への補償」の意味となる。

 例えば、コンビニ、レストラン、飲食店、パチンコ店などが営業できなくなれば、修理期間中の営業補償、壊れた商品、従業員の給与など、全てをカバーする必要がある。観光バス、タクシー、電車、トレーラーなども同様で、修理中で稼働できない期間、本来発生するはずだった利益、給与等を補償する必要がある。

 通常の自動車同士の事故であれば、よほどの高級車でなければ1000万円もあれば十分に対応できるだろうが、実際の事故ではそれでは済まされないケースも起こり得るのだ。対物賠償は「直接損害」と「間接損害」によって、賠償額が大きくなる。万一に備えて、無制限で加入しておくのが間違いないだろう。

(文/西村有樹)
フリーライター。保険や資産運用などマネー系に強く、「All About」で自動車保険ガイド記事のほか、銀行や保険会社、証券会社などの刊行物、国交省、財務省等官公庁の媒体など幅広く執筆。ほかにも雑誌「プレジデント」「ベストカー」などでも多数の記事を担当する。

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