Q.物損事故でも慰謝料は発生するの?
交通事故は、自動車やガードレールといった“物”を破損した場合の「物損事故」と、運転手などが負傷・死亡した場合等の「人身事故」に分かれる。交通事故に遭った被害者は、事故による損害に対して、加害者(または加害者が加入している保険会社)に損害賠償請求をすることが可能だが、原則的に物損事故だけでは慰謝料は発生しない。
被害者が請求できる損害は大きく、「経済的な損害」と「精神的な損害」に分けられる。「経済的な損害」はケガの治療関係費や休業損害、被害者が後遺障害を負ったり死亡した場合の逸失利益、自動車の修理費などを指す。一方、「精神的な損害」に該当するのが「慰謝料」だ。
慰謝料は、被害側が加害側に請求できる損害賠償のひとつで、交通事故によって負った精神的・肉体的な苦痛を金額に換算したもの。事故に遭った被害者は、その傷みによる苦痛だけでなく、入院や通院によって身体の自由が奪われたり、治療・検査などで不快な気持ちになることは少なくない。こうした人身に関わる苦痛の対価を請求するのが慰謝料であるため、原則的に物損事故だけでは慰謝料は発生しないのだ。
慰謝料の金額については、ある程度の目安がある。自賠責保険では慰謝料の支払い基準を法律で定めており、任意自動車保険の対人賠償保険では損害保険会社ごとに基準を設けている。また、日弁連交通事故相談センターでは過去の判例に基づいて、慰謝料の弁護士基準(裁判基準)を設定している。