高齢ドライバーの自動車保険 補償内容確認の重要性と保険料を抑えるコツ

高齢ドライバーの自動車保険

 高齢ドライバーに関係する交通事故を耳にする機会が増えた。事故の加害者となるケースも増加しており、自動車保険の補償範囲も気になるところ。今回は高齢ドライバーの補償内容を確認しておくことの重要性と保険料を少しでも抑えるコツを紹介する。
 自動車保険での対策としては、高齢者が加害者となる場合、被害者となる場合の両方に備えることが必要である。加入している自動車保険の補償内容が十分ではない場合、保険ではカバーできない賠償責任が発生すれば、家族も巻き込む事態になることが十分考えられる。被害者となった場合にも、どこまで補償されるのかを含め、高齢者が加入している自動車保険の補償範囲について、今一度、家族と一緒に確認しておくとよいだろう。
 高齢運転者の事故の主な原因のひとつとして、アクセルとブレーキの踏み間違いが挙げられる。このような運転操作の誤りは、衝突により相手を死亡させてしまう、あるいは店舗などに大きな損害を与える可能性があるため、「対人賠償保険」と「対物賠償保険」の保険金額は無制限にしておきたい。

 また、事故相手の車に時価額を超える修理費用が発生した場合に補償が受けられる「対物超過修理費用特約(名称は保険会社によって異なる)」も付けるとよいだろう。対物補償を無制限にしても、時価の範囲までの補償であるため、損害を与えた相手の車の修理代等の全てを補償してもらえない可能性がある。対物超過修理費用特約を付けておけば、修理費用全額を保険金で支払うことができる。自分に過失がある場合などで、相手方の修理代を全額支払ってあげたいと思った際に役立つ特約だ。
 交通事故の相手のための補償だけでなく、高齢者自身や同乗者がけがをした場合に備える「人身傷害補償」も必要だ。人身傷害補償を付けておくと、過失の有無に関わらず入院や通院の治療費などが補償される。さらに、歩行中など乗車中以外の自動車事故に遭った場合でも、補償が受けられるかどうかも重要なポイントとなる。

 高齢者は老化により判断力が低下するため、歩行中の交通事故にも遭いやすい。横断歩道を渡っている途中で信号が赤に変わってしまう、あるいは左右から来る自動車への注意が不十分になり、道路を横断するタイミングが合わないなどのケースがある。

 自動車保険には示談交渉サービスが付いているが、損害賠償が関係する過失があった場合のみに適用され、被害者となった事故は適用外だ。そのため、自動車事故の被害者になりやすい高齢者は、弁護士が無料で交渉してくれる「弁護士費用特約」も付けておくと安心だろう。
 前述では、高齢者ドライバーが特に付けたい補償や特約について説明した。しかし、高齢者は保険料の値上げ幅が大きく設定されているため、その負担額は無視できないだろう。ここでは、保険料を抑えるための3つのコツを紹介する。

【コツ1】走行距離を見直す

 想定年間走行距離区分による保険料の割引は、多くの保険各社が取り入れている。高齢になれば、長距離を走る機会も減り、申告した年間走行距離が減っている可能性も。契約内容と1年間で走る距離を見直し、割引率の高い保険会社・プランを選ぶのも一手だ。

【コツ2】年齢条件を見直す

 家族が乗るからと、補償範囲を全年齢対象にしている高齢ドライバーもいるかもしれない。もし、実際は自分しか運転していないのであれば、自分の年齢に合った条件に設定すると、保険料は抑えられるだろう。

 子どもしか運転していないという場合は、記名被保険者を子どもにしてしまうのもおすすめだ。自分と子ども、双方が運転するのであれば、子どもの年齢に合った年齢条件で契約しているか確認を。契約時は21歳だった子どもが、すでに26歳になっていれば「26歳未満不担保」に変更できるため、保険料は抑えられる。

【コツ3】車両保険の免責金額を見直す

 車両保険に加入している高齢ドライバーにおすすめなのが、自身が負担する「免責金額」の見直し。設定されていれば、事故が起こっても保険会社は支払金額を少なくすることができるため、保険料は割安に設定される。

 2012年4月より等級制度が見直され、事故を起こして保険を使っても等級がダウンしない「等級据え置き事故」がなくなり、車両保険を使うと1等級または3等級下がることになった。また、同じ等級でも、事故を起こして保険を使った人とそうでない人で保険料に差が出るようにもなっている。車両に付いたちょっとしたキズなど、修理代が安く済むような場合には、保険を使わず自腹で直したほうがトクという面もあるようだ。

 車両保険に加入している場合は、免責金額をゼロにするより、軽い修理では保険を使わず自腹をきる前提で10万円に設定し、保険料を安くしたほうが、断然お得だ。今一度、保険会社や補償内容、プランなどをじっくり再検討して、保険料を抑える工夫を実践してみよう。
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