駐車場で痛ましい死傷事故! 些細なミスが起こした事故事例4つ
<事例 1>駐車時は“譲り合いの精神”を!
【事故内容】
熊本県宇城市の銀行駐車場で、乗用車2台が同じ駐車枠に同時に進入したことで衝突事故が発生した。
【判決】
前進で進入したAが原告、バックで進入したBが被告となったが、実際はBが先に入ってきていたため、裁判ではAに「漫然と進行した過失がある」と指摘。一方、Bも「後方確認を十分にしなかった」として、過失割合はAが6割、Bが4割と認定された。
事故当時、身体障がい者用の駐車枠以外で空いていたのは、事故のあったこの駐車枠のみ。「順番待ちはしたくない」という想いから起きたトラブルといえるでしょう。譲り合いの精神があれば、避けられた事故で、その後の裁判などに多くの時間を費やすこともなかったはずです。
<事例 2>車落下で園児が死傷 悲惨な事故の原因とは…
【事故内容】
愛知県名古屋市で、孫が通う保育園にワンボックス車で向かった男性(当時75歳)が、屋上に設けられた駐車場に車を進入させた際、運転を誤り柵に衝突。一度バックしたものの、慌ててアクセルとブレーキを間違えるなどして再び前進し、柵を突き破って約3.6メートル下の園庭に転落した。迎えを待つなどしていた園児が下敷きとなり、3歳の女の子が死亡、さらにもう1人が重傷を負った。
【判決】
ドライバーは、業務上過失致死傷罪で罰金50万円の略式命令を受けた。また、女の子の両親が損害賠償を求めた裁判では、ドライバーのほかに保育園を運営する社会福祉法人と代表理事、園長の個人的責任も認められ、4者に対し、計約3600万円の賠償が命じられた。
事故の直接の原因は「男性が運転を誤ったこと」ですが、そのほかに「駐車場の柵を強化するなどの事故防止措置が不十分だった」といった要因もありました。こうした痛ましい事故が起きないよう、未然防止に努めることが大切といえるでしょう。
<事例 3>後方確認の重要性“大” 些細なことで起きた事故事例
【事故内容】
東京都世田谷区のコインパーキングに乗用車がバックで入庫しようとした際、故障で上がったままのフラップ板(ロック板)に接触。駐車場の管理会社を相手取り、約16万円の損害賠償を求めた。
【判決】
その結果、管理者には「すみやかに補修・事故防止措置を講じる責任があった」として、6万円の支払いが命じられた。また、「後方をよく確認せずにバックした運転者にも落ち度はあった」として、ドライバーにも3割の過失が認定された。
暗い場所や雨が降っているときなど、周りが見えづらいことはたびたびあり、特に駐車中においては困難なものです。そんな時こそ特に注意を払い、安全に運転しましょう。
<事例 4>立体駐車場で起きたトラブルとは!?
【事故内容】
2010年6月20日夜に、東京都江戸川区の機械式立体駐車場で、マイカーを保管していたドライバーの妹が、ドアミラーを折りたたまずに入庫し、機器を損傷させた。さらに、12月4日午後にも、今度はドライバーの知人が同様のトラブルを起こしたため、管理会社は「故障によって他の契約者が車を出せなかった際、交通費を立て替えた」「契約者が全員解約したため、建物を解体するしかなくなった」などとして、ドライバーを相手どり約1600万円を請求する裁判を起こした。
【判決】
裁判では、「駐車場の性質上、操作盤の操作方法や安全に関する様々な注意事項があることは明らか」と判断。運転者が契約者ではなくても「それらを十分確認してから注意事項に従った利用をすべき注意義務がある」として、妹と知人には事故を起こした過失、ドライバーには事故を生じさせた責任があるとした。
その一方で、「管理会社側の言い分は信用できない点が多い」としてほとんどの請求を認めず、実際の修理代6万3000円の支払いを命ずるにとどまった。
機械式の立体駐車場は、利用方法を誤ると、同乗者や子どもが転落したり、機器に巻き込まれたり、重大な事故につながることもあります。今回の事例では修理代のみで済んでいますが、請求内容のような高額賠償を命じられる可能性もなくはありません。利用の際は安全に十分配慮し、万が一に備えてあらかじめ補償をつけておくことが大切だといえるでしょう。
制作協力/
株式会社マイト