自動車保険は法人で契約できる?条件や契約方法を解説
自動車保険において法人契約は可能です。しかし、個人契約とは違った条件や契約が求められます。また、同じ企業管理であっても、タクシー会社のように1台に乗る人が決まっているケースと、複数の社員が交代で空いている車を利用して運転するようなケースでは、契約の内容も変わってきます。法人契約をスムーズに進めるためにも、自動車保険の法人契約においての契約の流れや注意点など、あらかじめチェックする点を紹介していきます。
法人契約というだけに、契約者は「法人」である必要があります。必要な書類としては、所有する「車検証」と「法人印」、過去に法人契約していた場合は「保険証券」も必要です。その他、会社の「登記事項証明書」などが必要になる場合もあります。車検証は法人契約を結ぶすべての車の車検証が必要です。大抵はそれぞれの車の中に入っていますので、忘れずにコピーを取っておくとよいでしょう。また、法人契約を解約する場合もあるでしょう。そのときは、解約を保険会社へ申し出ると書類が届きますので、記入して返送するだけです。解約時期によっては、保険料が返金される場合もあります。ただし、一度解約すると、その時の「等級」や「割引率」はすべて無効となりますので、再加入の可能性が少しでもある場合は、解約ではなく「中断証明書」の取り寄せを申し出てください。この場合は、再加入時に以前の等級や割引率が引き継がれることになります。
次に気になる保険料ですが、1台や2台の法人契約の場合は、個人契約と保険料に差はありません。保険料に差が出るのは10台以上所有するケースです。「フリート契約」という形になり、個人契約では車単位だった保険料が、法人単位で合算計算されるため保険料が割安になります。このフリート契約は、たとえ対象の車が複数の自動車保険会社で契約していた場合でも、台数を合算することができます。また、特約を付けることによって保険証券を1枚で済ませることもでき、管理も楽になります。自動車保険会社によっては、2〜9台所有の中小企業のために「セミフリート契約」という名称で、個人契約より安く、一部の法人契約用の特約も契約することができる「法人契約メニュー」を持っていることがあります。10台以下であっても、問い合わせる価値はあるでしょう。
最後に、法人契約にした場合のメリットといえば「税金」です。車両代だけでなく、保険料も会社の経費として処理することができます。黒字決算の企業にとっては、税金対策の一環として重要になるでしょう。
使用者については、使う車と人が固定化されている場合は個人名でも問題ありませんが、複数社員が使う場合は法人名にしたほうが無難です。また、個人契約だった自動車保険を法人契約に変えた場合、原則的に個人契約時の等級を引き継ぐことはできません。年齢制限による割り引きは可能ですが、実際に車を使う社員の年齢に合わせて年齢制限をかけないと、例えば新入社員が事故を起こしたときに年齢制限外だったため保険金が支払われないといった悲劇が発生します。
さらにわかりにくいのが、「被保険者」というものです。被保険者とは、主にその車を運転する人を指します。一般的には法人名にするケースが多いですが、タクシーなど一人一人乗車する車が決まっている場合は「記名被保険者」という個人名を書くことによって、保険料が安くなる場合があります。もちろん、記名被保険者にすると、別の人が運転した時の事故では保険金は支払われません。同じ車を複数人で使用前提の場合には、被保険者欄は法人名にしましょう。なお、この被保険者欄は契約時に決まり、その後の変更はできません。記名被保険者にした場合、対象者が退職する場合の手続きが煩雑になますので、よく考えて契約しましょう。
最後に、法人契約するということは、自動車保険の等級は「契約車両すべて同じ等級」になります。誰か一人が事故を起こすと、すべての契約車両の等級が下がります。結果、翌年の保険料が上がる可能性があります。誰も事故を起こさなければ等級が上がっていくところは個人契約と同じですが、等級が下がるときは一斉に下がるので注意しましょう。
法人契約のメリットとデメリットを理解して、最適な自動車保険を選びましょう
そして、自動車保険は、保険会社によって保険料や特約内容が大きく異なります。保険料が安くても業務に関連した特約がなければ、法人契約する意味はありません。法人契約の自動車保険をスムーズに行うためにも、信頼のできる保険会社で複数の見積もりを取り、よく内容を精査したうえで契約することをおすすめします。