自賠責保険の補償

 交通事故は無いに越したことはないけれど、絶対に事故を起こさないという保証は誰にもありません。また、交通事故は時に被害の程度や賠償金額が大きくなってしまうこともあります。万が一加害側が保険に入っておらず、しかも十分な資力がなかったとしたら、被害者は泣き寝入りするしかなくなってしまいます。そこで、被害者救済を目的に、車の所有者に加入が義務付けられているのが「自賠責保険」です。

自賠責保険は必ず加入しなければいけない「強制保険」

  • 【イラスト】自賠責保険

 自動車保険は、大きく分けて「自賠責保険」と「任意自動車保険」の2種類に分けられます。このうち、すべての自動車やバイク(原動機付自転車も含む)を使用する際に絶対に加入しなければいけないのが自賠責保険です。そのため、別名「強制保険」とも呼ばれています。

 これは自動車損害賠償保障法という法律で定められており、もし、自賠責保険に入っていない状態のまま自動車を運行させた場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられるほか、道路交通法上の違反点数6点が加算され、一発で免許停止処分となってしまいます。通常は車検と一緒に更新するのが一般的ですが、車検のないバイクの場合など、有効期間切れにはくれぐれも注意しましょう。

 また、自賠責保険は政府管轄の保険なので、保険料が自動車保険会社によって変わることはありません。

社会保障的な意味合いを持つ自賠責保険

  • 【イラスト】自賠責保険2

 自賠責保険は、事故の被害者や、被害者が亡くなってしまった場合に被害者の遺族などを救済するために作られた、社会保障的な意味合いを持つ保険です。加害者側に目を向けても、万一、自賠責保険に加入しない状態のまま交通事故を起こしてしまい、相手に後遺障害が残るほどのケガをさせてしまったり、相手を死亡させてしまった場合、莫大な金額の賠償金を一生かけて支払うことになります。

 2011年度の交通事故死亡者数は4612人。1日平均12.64人の方が交通事故で亡くなっていることになります。これは1時間54分に1人の方が亡くなっている計算。交通事故は、誰の身にも起こりうることなのです。

自賠責保険で補償される範囲

 自賠責保険で補償されるのは、交通事故で他人にケガをさせてしまったり、死亡させてしまった人身事故における、「他人」に対する補償に限られています。この保険は、運転者自身のケガには適用されません。また、他人というのは「運転者」と「車の所有者」以外の人のことを指します。

 例えば父、母、兄、弟の4人家族が車に乗り、兄が運転していたときに人身事故を起こした場合、相手は当然補償の対象ですが、同乗者のケガについては注意が必要。もし父が車の所有者なら、所有者である父と運転者である兄のケガは補償されず、母と弟(それと相手)のみが補償を受けられます。
なお、人身事故において自賠責保険で補償されるのは、治療費や雑費、休業損害、慰謝料など。後遺障害や死亡による逸失利益や、死亡の場合の葬儀費用なども含まれます。

 また、相手の車や運転者自身の車の修理代など、物損も補償の対象外となります。これらは、「任意自動車保険」で補償を受けることできます。

自賠責保険の支払い金額

 自賠責保険の保険金支払いには限度額があります。ケガによる損害は、被害者1人につき120万円まで、死亡による損害は1人につき3000万円まで、後遺障害による損害は1人につき4000万円まで。ただし、冒頭でもお伝えした通り交通事故の賠償額は高額になることも多く、自賠責保険だけではまかないきれないケースも出てきます。

 金額が億を超えるような賠償が必要になった場合、自賠責保険で支払われた保険金との差額を自己負担しなくてはいけません。また、自分自身のケガや、車・建物などの損害も対象外となります。あくまで自賠責保険は、“相手に対する最低限の保険”。そこで、「任意自動車保険」が必要となるのです。
【参考】交通事故高額賠償判決例(人身事故)

認定損害額(判決年月日)

態様

被害者の性別・年齢・職業

3億8281万円(H17.5.17)

後遺

男・29歳・会社員

3億7886万円(H19.4.10)

後遺

男・23歳・会社員

3億6750万円(H18.6.21)

死亡

男・38歳・開業医

3億6243万円(H21.11.17)

後遺

男・14歳・中学生

3億5978万円(H16.6.29)

後遺

男・25歳・大学研究科在籍

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自動車保険選びのポイント

任意保険には、対人・対物賠償や人身傷害補償、車両保険などさまざまな種類があります。事前にチェックして重視する補償を決めることが大切です。

自動車保険会社は、ダイレクト系と代理店系の2つに大きくわけられます。双方のメリット・デメリットをきちんと踏まえて選びましょう。

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