2019年04月15日 14時14分

“チケット争奪”激化の広島がV3 プロ野球満足度調査

【調査結果】各球団の総合満足度ランキング (C)oricon ME inc. [拡大する]

【調査結果】各球団の総合満足度ランキング (C)oricon ME inc.

 日本のサービス業における顧客満足、ロイヤルティの指数化などを研究している慶應義塾大学・鈴木秀男教授が3月、今年で11回目となる『プロ野球のサービスの満足度調査』を発表。球団史上初、3年連続リーグ優勝を果たした広島東洋カープが、同調査でも3年連続4回目の総合満足度1位を獲得した。

 『カープ女子』に代表されるように、近年多くのファンの獲得に成功したことで知られる広島東洋カープ。背景にチーム成績の好調さが挙げられるのは言うまでもないが、支持される理由はそれだけではない。「満足度」という視点を通すことで、人気の理由と今後の課題が見えてきた。

■広島が満足度V3達成 サービスとチーム力向上が要因か

 同調査は、昨シーズン1回以上、ホーム球場で試合観戦をしたことのあるファンに、最も応援するチームについての満足度を調査したもの。設問は5つのサービス品質(「チーム成績」、「チーム選手」、「球場」、「ファンサービス・地域貢献」、「ユニホーム・ロゴ」)からなる「総合満足度」と、「応援ロイヤリティ」、「観戦ロイヤリティ」の3つで構成されている。

 今回、1位となった広島東洋カープは、「気がついたら、そのチームを応援することは当たり前になっている」「そのチームを通じてホーム球場でファンがひとつになっている」などの項目で高得点を獲得。また、「球場」についての項目では、「球場の雰囲気」「球場での応援」でも高い評価となった。

 鈴木教授は同チームについて、「2009年の新球場への移転をきっかけにサービスが劇的に向上し、若手選手の台頭から『カープ女子』と呼ばれる女性ファンも急増し話題となった。近年はチーム力も向上し、高水準での総合満足度1位となっている」と言及しつつも、「勝つこと、現在の高水準のファンサービスが当たり前になりつつあり、また、丸選手のFA移籍による影響などの懸念材料がある」と、高い満足度をキープする難しさについても触れている。

 一方で、「チケットは入手しやすい」「チケットは購入しやすい(販売の仕方に関する評価)」の項目では、全12球団中最下位という結果に。広島東洋カープと言えば、今年2月、公式戦のチケット購入に必要な抽選券を配布したものの、5万人以上のファンが本拠地マツダスタジアム周辺に殺到した結果、途中で配布を打ち切るという事態に陥ったことは記憶に新しい。「少しチケットが取りづらくなったのは不満です」(広島県/20代前半/男性)、「チケットの入手さえ楽になれば、言うことはないです」(広島県/50代前半/男性)など、高い満足度を得ているファンでも、チケットの取りづらさについて回答する声も多くあった。チケットの入手・購入は同球団にとって、大きな課題と言えるだろう。

 また、総合満足度2位には福岡ソフトバンクホークスがランクイン。「ファンサービス・地域貢献」についての項目で、総合的に高く評価されている傾向にあった。なかでも「そのチームが地域住民やファンの誇りとなりシンボルとなっている」という項目で高得点を獲得。「毎年福岡を盛り上げてくれる、福岡をひとつにしてくれるチーム」(福岡県/20代前半/女性)など、地域密着に関するコメントが目立った。

 さらに、昨年10年ぶりにリーグ優勝を果たした埼玉西武ライオンズは、前回の総合満足度7位から3位に浮上。チームの成績が良いことが総合満足度に影響して躍進したものの、「春先と秋口の寒さと、真夏の暑さは厳しい」(埼玉県/60代前半/男性)など、施設環境に関する改善要望の声も挙がった。

 同調査では、ほかに「ユニホーム・ロゴ・マスコット・グッズ」の満足度や「最も好きな現役選手」、「チームの応援を通じた生活満足度・幸福感」なども発表しており、野球ファン以外でも興味深い調査内容となっている。

【調査概要】
調査テーマ:プロ野球のサービスに関する(満足度)調査
研究者:慶應義塾大学 理工学部 鈴木秀男教授
調査実施日:2019年1月下旬
調査方法:インターネット調査
回答者数:1431名
調査対象:プロ野球球団を応援し、2018年度シーズン中に、1回以上応援するチームのホーム球場で試合観戦をしている方/回答者は、最も応援しているチームのみに対して回答

CS編集部 Facebook オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について