家財保険支払い例を紹介!補償の対象・対象外の判断ポイントも解説

家財保険支払い例を紹介!補償の対象・対象外の判断ポイントも解説

家財保険は、万が一のトラブルで家財が損傷したり、盗難にあったりした際に経済的な負担を軽減してくれる保険です。

しかし、具体的にどのようなケースで補償されるのか、また補償の対象外となるケースについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、家財保険の補償対象や補償範囲を具体的な支払い例などを交えて解説します。保険金額の決め方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. そもそも家財保険とは?概要をおさらい
  2. 家財保険の補償対象や範囲は?
    1. 家財保険の補償対象
    2. 家財保険の補償範囲
    3. 高額貴金属等(明記物件)に注意!
  3. 家財保険支払い例をチェック!
    1. 落雷の影響で家電やパソコンが壊れた
    2. 給排水設備の故障で、室内が水浸しになり家具も濡れた!
    3. 近隣で発生した火事の延焼でソファが燃えた
    4. 子どもがボールをぶつけてテレビが壊れた
    5. 自転車を盗まれた
    6. 自動車が自宅に衝突し家財が壊れた
    7. 河川氾濫による床上浸水で家電や家具が水浸しになった
  4. 家財保険の補償対象にならなかった事例をチェック!
    1. 油を火にかけたままその場を離れて出火し家財が燃えた
    2. 地震による津波で家と一緒に家財が流された
    3. ソファが経年劣化で変色した
    4. 猫がソファを引っ掻いて表面に傷がついた
    5. 旅行先でカメラの盗難にあった
  5. 家財に対する保険金額の決め方
    1. 家族構成から考える家財の再調達価格
    2. 住まいの専有面積から考える家財の評価
  6. 家財保険支払い例をもとに必要な補償を見極めよう

そもそも家財保険とは?概要をおさらい

そもそも家財保険とは?概要をおさらい

火災保険の対象は、大きく「建物」と「家財」に分けられます。このうち、家財を保険の対象とするものを「家財保険」と呼びます

家財保険は、被保険者や被保険者と生計を共にする親族が所有する家財(家具・家電、食器・衣類といった生活用品、自転車など)が火災などにより被った損害を補償します。

家財保険では火災のほか、風災や水災などの自然災害、外来物の飛来や給排水設備の水漏れなどの事故、盗難による損害も補償の対象です。

ただし、火災保険(家財保険)では、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因として生じた損害は補償されません。そのため、地震や噴火、津波による損害に備えるには、火災保険(家財保険)に付帯する形で、地震保険にも加入する必要があります

家財保険の補償対象や範囲は?

家財保険の補償対象や範囲は?

家財保険の補償対象となる家財とはどのようなもので、どのような事故が補償されるのでしょうか。ここで家財保険の補償対象と補償範囲を確認しておきましょう。

家財保険の補償対象

家財保険の補償対象となるのは、火災保険の補償対象となっている建物に収容されている家財のうち、被保険者被保険者と生計を共にする親族が所有する家財(生活用動産、貴金属など)です。

家財保険の補償対象になるものとならないもの

家財保険の補償対象

家財保険の補償対象外

・ソファ・食器棚・寝具などの家具類
・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・掃除機などの家電製品
・衣類
・書籍
・貴金属・絵画・骨董品など(※1)
・自転車・原動機付き自転車(※2)
など

・自動車・船舶
・動植物などの生物
・通貨・小切手・印紙、切手・有価証券・プリペードカード・商品券など(※3)
・預貯金証書(※3)
・クレジットカード
・業務目的のみに使用される設備・製品
・コンピュータプログラムやデータ
など

※1:1個または1組の再取得価額(時価額)が30万円超(保険会社によって基準額が異なる場合がある)の高額貴金属等は、個別に申告して保険証券に明記しておかないと補償されなかったり、補償額に上限が設けられたりする(後述)
※2:二輪の場合は、総排気量125cc以下または定格出力1.0kW以下のもの、三輪以上の場合は、総排気量50cc以下または定格出力0.6kW以下のもの
※3:「盗難」補償が付帯されている場合、盗難による損害を一定額まで補償する商品もある

建物(車庫を含む)に収容されている乗用具のうち、自転車や原動機付き自転車は家財保険の補償対象です。しかし、自動車やバイク(総排気量125cc超)、船舶などは補償対象に含まれません。

自動車やバイク、船舶は自動車保険や船舶・ボート保険の補償対象であり、これらの保険に加入して備える必要があります。

通貨(現金)や預貯金証券(通帳)は、原則補償対象に含まれませんが、家財保険に「盗難」補償が付帯されている場合に限り、盗難による損害が一定額まで補償される商品もあります。

畳・建具や建物に付加されたエアコン・室外機、ガス台、調理台、棚などは原則として「建物」を対象とする火災保険の補償対象です。

ただし、賃貸住宅などで建物と所有者が異なる場合(借主が個人負担でエアコンを設置した場合など)には、特別の定めがない限り、家財保険の補償対象に含まれます。

家財保険の補償範囲

家財保険では、火災のほか、次のような自然災害や事故、盗難による損害が補償されます。なお、実際に補償される範囲は、保険商品や補償プランによって異なります。
● 火災
火災で家財が消失した。

● 落雷
落雷で家電が壊れた。

● 破裂・爆発
ガス爆発により家財が壊れた。

● 風災・ひょう災・雪災
台風で窓ガラスが割れ、吹き込みにより家財が損害を受けた。

● 水災
洪水で床上浸水し、家財や家電が使い物にならなくなった。

● 外来物の飛来・落下・衝突
自動車が自宅に衝突して家財が壊れた。

● 給排水設備などの水漏れ
水道管からの水漏れで家財が水浸しになった。

● 騒じょう・集団行動などによる暴行・破壊行為
暴動に巻き込まれ、家財を破壊された。

● 盗難
空き巣に遭い、家財が盗まれた。

● 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
子どもがテレビにおもちゃを投げつけて液晶が割れた。
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)は、火災などに比べて1件あたりの平均損害額は小さいものの、該当するケースの多い事故です。

損保ジャパンの2017年度個人用火災総合保険における家財の保険金支払実績をみると、支払件数全体の4割超(43.9%)を占め最多となっています。

特に小さいお子さんのいる方室内でペットを飼っている方などは、不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)の補償を付けておくと安心でしょう。

高額貴金属等(明記物件)に注意!

家財保険では、貴金属や宝石、美術品、稿本、設計書なども補償対象です。

ただし、1個または1組の再取得価額(時価額)が保険会社の定める基準を超える高額なもの(高額貴金属等)は、契約時に保険会社へ申告して保険証券に明記しておかないと補償されないため注意しましょう。このようなものを「明記物件」と呼びます。

高額貴金属等の申告(保険証券への明記)を不要とするかわりに、高額貴金属等全体の補償額に1事故あたりの上限を設けている保険会社や、一定額を超える高額貴金属等(明記物件)の補償を引き受けていない保険会社もあります。

明記物件に該当する家財を別途申告しなければならない理由は、その金額が市場や専門家などの評価に左右されやすく、補償額の設定が難しいからです。家具や家電、日用品など、一般的な家財は市場価格(販売価格)などからおおよその金額がわかります。

しかし、美術品などの金額は個別に評価しなければ定まりません。いざというときに必要な補償を受けるためにも、そのほかの家財とは別に補償額を設定しておく必要があるのです。

家財保険支払い例をチェック!

家財保険支払い例をチェック!

どのようなケースで家財保険の補償を受けられるのか、具体的な支払い例をみていきましょう。

落雷の影響で家電やパソコンが壊れた

自宅に雷が落ちて過電流が生じ、電化製品が壊れてしまった場合、「落雷」の保険金支払事由に該当して補償されます。近隣への落雷で自宅内の家電などに被害が生じた場合も対象です。

家電やパソコン、ゲーム機、電話機などが補償対象ですが、スマートフォンやノートパソコンなど携帯式の電子機器や通信機器は基本的に対象外となるため注意しましょう。

また、パソコン本体は補償対象ですが、パソコン内のデータやプログラムは補償されません

給排水設備の故障で、室内が水浸しになり家具も濡れた!

給排水設備が壊れて水漏れが発生し、ソファやベッドなどの家具が濡れて使えなくなってしまった場合、「(給排水設備などの)水漏れ」の保険金支払事由に該当して補償されます

給排水設備とは、水道管や排水管、トイレの水洗用設備、給湯設備、スプリンクラーなどが含まれ、破裂や詰まり、誤作動などのトラブルにより水漏れが発生するおそれがあります。

流し台や浴槽、洗濯機、食洗機などの本体と接続されている排水管部分は含まれますが、本体や使用のたびに取り付ける排水ホースは対象外です。

なお、水濡れによって家具が損傷した場合は「家財」天井のシミなどは「建物」の補償の対象です。

マンションの場合には、自室以外に被害が及ぶおそれや被害を被るおそれがあります。

自室の水漏れによって階下の方に損害を与えてしまった場合、相手方の損害は火災保険(家財保険)の「水濡れ」では補償されません。そのため、別途個人賠償責任補償保険(特約)に加入するなどして備える必要があります。

階上の部屋の水漏れによって自室が損害を被った場合には、ご自身の火災保険(家財保険)の「水濡れ」で補償を受けられます。

近隣で発生した火事の延焼でソファが燃えた

近隣で発生した火事が自宅に延焼してソファなどが燃えてしまった場合、「火災」の保険金支払事由に該当して補償されます。

火災による損害は、出火元が自宅でなくても補償対象です。延焼の場合は、失火責任法という法律によって出火元に重大な過失がない限り相手方に損害賠償請求ができないため、ご自身の火災保険から補償を受ける必要があります

延焼による被害は免れたものの、消火活動の放水で家財が水浸しになったようなときにも、火災による損害として補償されます。

子どもがボールをぶつけてテレビが壊れた

子どもがボールやおもちゃをぶつけてテレビが壊れてしまったときには、「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」の保険金支払事由に該当して補償されます。

不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)の補償は、パソコンにコーヒーをこぼして壊れてしまった場合や、家具や家電を移動中に誤って落として壊してしまった場合なども対象です。

該当するケースが多いため、小さいお子さんのいる方やペットを飼っている方などは、補償範囲に「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」を含めておくと安心でしょう。

自転車を盗まれた

自宅の敷地内に保管していた自転車が盗まれた場合には、「盗難」の保険金支払事由に該当して補償されます。

一方で外出先や自宅の敷地外に駐輪していた自転車の盗難は補償されません。自宅前であっても敷地外の道路に駐輪していると補償されないため注意しましょう

保険会社や契約時期によっては、敷地内ではなく建物内に保管されていた自転車のみが対象であったり、施錠されていないと対象外となったりするケースもあります。

自転車は屋外で保管する方も多いため、契約する商品の補償内容・条件はよく確認しておきましょう。

自動車が自宅に衝突し家財が壊れた

車が住宅に衝突して室内の家財にまで被害が及んだ場合には、「外来物の飛来・落下・衝突」の保険金支払事由に該当して補償されます。

ただし、加害者のいる事故の場合、まずは相手方に損害賠償請求をして補償を受けるのが一般的です。ご自身の家財保険から補償を受けるのは、相手方が無保険、賠償に必要な資力がないなどの理由で賠償を受けられない場合と考えましょう。

河川氾濫による床上浸水で家電や家具が水浸しになった

台風や豪雨によって河川が氾濫し、床上浸水で家電や家具が水浸しになり使い物にならなくなってしまった場合、「水災」の保険金支払事由に該当して補償されます。

床上浸水では一度に多くの家財の買い替えが必要になり、大きな負担となることも少なくありません。特に河川の近くや低地、台風の多いエリアに自宅がある方は、水災補償や風災補償の必要性が高いといえるでしょう。

一方で、マンションの高層階に住んでいるなど、水災の被害を受ける可能性が低い方は、水災補償を外すことで保険料を抑えられます

家財保険の補償対象にならなかった事例をチェック!

家財保険の補償対象にならなかった事例をチェック!

家財保険は家財に生じたすべての損害を補償してくれるわけではありません。家財保険の補償対象とならない事例とその理由を確認しておきましょう。

油を火にかけたままその場を離れて出火し家財が燃えた

保険契約者や被保険者(その代理人や同居の親族を含む)の故意や重大な過失、法令違反が原因で生じた損害は補償されません

重大な過失にあたるのは、少し注意すれば事故が起きなかったのに漫然と事態を見過ごしてしまったような場合で、個々の案件ごとに判断されます。

油を火にかけたままその場を離れれば火災となることは容易に想像できるため、重大な過失があると判断され、補償されない可能性が高いといえます。

地震による津波で家と一緒に家財が流された

地震や噴火、またはこれらによる津波が原因で生じた損害は火災保険(家財保険)では原則(※)補償されません(※保険の対象が地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする火災で一定以上の損害を受けた場合には、保険金額の5%程度の地震火災費用保険金が支払われる場合があります)。

地震による津波で家財が流されたケースは火災保険(家財保険)の補償対象ではないため、地震保険に加入していなければ補償されません

ソファが経年劣化で変色した

自然の消耗や劣化によって生じた損害は補償されません。家財保険に限らず、損害保険は偶然の事故によって生じた損害を補償するものです。

猫がソファを引っ掻いて表面に傷がついた

保険の対象に生じたすり傷やかき傷、落書きなど、単なる外観上の損傷や汚損で、その機能の喪失または低下を伴わない損害は補償されません。

猫が引っ掻いてソファに傷がついたとしても、外観上の損傷・汚損で、ソファとしての機能に支障がない場合は補償されません。

旅行先でカメラの盗難にあった

家財保険の対象は建物内に収容されている家財であり、自宅外に持ち出している状況で生じた損害は補償されません

自宅から持ち出した家財の損害に備えたい場合は、「携行品損害補償特約」を付帯することで補償を受けられます。

家財に対する保険金額の決め方

家財に対する保険金額の決め方

家財保険の保険金額は、保有している家財を買い直すために必要な金額(再調達価格)をもとに設定するのが基本です。

とはいえ、家財は家具・家電から日用品まで多岐にわたり、すべての家財の再調達価格を正確に計算するのが難しいケースも少なくありません。

このようなケースでは、家族構成や年齢、家の広さ(専有面積)をもとに算定される再調達価格の目安を参考に、実態に合わせた調整を行い、保険金額を設定します。

家族構成などを入力して再調達価格の目安をシミュレーションできるツールを提供している保険会社もあります。

家族構成から考える家財の再調達価格

家族構成ごとに算定した家財の再調達価格の目安は下表の通りです。

家財簡易評価表(家族構成別)
家族構成 夫婦 夫婦+子1人 夫婦+子2人 夫婦+子3人 独身世帯
世帯主の年齢 25歳前後 490万円 580万円 670万円 760万円 300万円
30歳前後 700万円 790万円 880万円 970万円
35歳前後 920万円 1,000万円 1,090万円 1,180万円
40歳前後 1,130万円 1,220万円 1,310万円 1,390万円
45歳前後 1,340万円 1,430万円 1,520万円 1,610万円
50歳前後
(50歳以上を含む)
1,550万円 1,640万円 1,730万円 1,820万円
出典:損保ジャパン「家財新価の目安について」(2024年6月現在)
※上記は損保ジャパンの基準による評価額であり、保険会社によって評価額に違いがあります
※高額貴金属等の評価額は含まれていません

一般的には家族の人数が多くなるほど、世帯主の年齢が上がるほど家財が増え、再調達価格も大きくなる傾向があります。

簡易評価表はあくまで目安であり、家財が少ない方は目安よりも保険金額を下げる、家財が多い方は目安よりも保険金額を上げるといった調整を行い、なるべく実態に即した保険金額を設定しましょう

住まいの専有面積から考える家財の評価

住まいの専有面積をもとに算定した家財の再調達価格の目安は下表の通りです。

家財簡易評価表(建物所有形態・専有面積別)
建物
所有形態
専有面積
33u未満 33〜66u未満 66〜99u未満 99〜132u未満 132u以上
持ち家 580万円 960万円 1,210万円 1,580万円 1,930万円
賃貸住宅 350万円 640万円 900万円 1,150万円 1,420万円
出典:東京海上日動「住まいの保険」家財の所有金額の目安(2024年10月現在)

一般的には専有面積が大きくなるほど、再調達価格も大きくなります。また、専有面積が同じであれば、賃貸住宅よりも持ち家のほうが再調達価格は大きい傾向があります。

家財保険支払い例をもとに必要な補償を見極めよう

家財保険に加入する際は、補償が受けられるケースと受けられないケースを理解して、いざというときに必要な補償が受けられるようにしておくことが大切です。

地震保険に加入したり特約を追加したりして補償を手厚くする、高層階であれば水災補償を外して保険料を抑える、適正な保険金額を設定するなど、想定されるリスクに応じた備えをしましょう。

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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
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