家財保険支払い例を紹介!補償の対象・対象外の判断ポイントも解説
しかし、具体的にどのようなケースで補償されるのか、また補償の対象外となるケースについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、家財保険の補償対象や補償範囲を具体的な支払い例などを交えて解説します。保険金額の決め方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも家財保険とは?概要をおさらい
家財保険は、被保険者や被保険者と生計を共にする親族が所有する家財(家具・家電、食器・衣類といった生活用品、自転車など)が火災などにより被った損害を補償します。
家財保険では火災のほか、風災や水災などの自然災害、外来物の飛来や給排水設備の水漏れなどの事故、盗難による損害も補償の対象です。
ただし、火災保険(家財保険)では、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因として生じた損害は補償されません。そのため、地震や噴火、津波による損害に備えるには、火災保険(家財保険)に付帯する形で、地震保険にも加入する必要があります。
家財保険の補償対象や範囲は?
家財保険の補償対象
家財保険の補償対象になるものとならないもの
家財保険の補償対象 | 家財保険の補償対象外 |
・ソファ・食器棚・寝具などの家具類 | ・自動車・船舶 |
※2:二輪の場合は、総排気量125cc以下または定格出力1.0kW以下のもの、三輪以上の場合は、総排気量50cc以下または定格出力0.6kW以下のもの
※3:「盗難」補償が付帯されている場合、盗難による損害を一定額まで補償する商品もある
建物(車庫を含む)に収容されている乗用具のうち、自転車や原動機付き自転車は家財保険の補償対象です。しかし、自動車やバイク(総排気量125cc超)、船舶などは補償対象に含まれません。
自動車やバイク、船舶は自動車保険や船舶・ボート保険の補償対象であり、これらの保険に加入して備える必要があります。
通貨(現金)や預貯金証券(通帳)は、原則補償対象に含まれませんが、家財保険に「盗難」補償が付帯されている場合に限り、盗難による損害が一定額まで補償される商品もあります。
畳・建具や建物に付加されたエアコン・室外機、ガス台、調理台、棚などは原則として「建物」を対象とする火災保険の補償対象です。
家財保険の補償範囲
火災で家財が消失した。
● 落雷
落雷で家電が壊れた。
● 破裂・爆発
ガス爆発により家財が壊れた。
● 風災・ひょう災・雪災
台風で窓ガラスが割れ、吹き込みにより家財が損害を受けた。
● 水災
洪水で床上浸水し、家財や家電が使い物にならなくなった。
● 外来物の飛来・落下・衝突
自動車が自宅に衝突して家財が壊れた。
● 給排水設備などの水漏れ
水道管からの水漏れで家財が水浸しになった。
● 騒じょう・集団行動などによる暴行・破壊行為
暴動に巻き込まれ、家財を破壊された。
● 盗難
空き巣に遭い、家財が盗まれた。
● 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
子どもがテレビにおもちゃを投げつけて液晶が割れた。
損保ジャパンの2017年度個人用火災総合保険における家財の保険金支払実績をみると、支払件数全体の4割超(43.9%)を占め最多となっています。
特に小さいお子さんのいる方や室内でペットを飼っている方などは、不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)の補償を付けておくと安心でしょう。
高額貴金属等(明記物件)に注意!
ただし、1個または1組の再取得価額(時価額)が保険会社の定める基準を超える高額なもの(高額貴金属等)は、契約時に保険会社へ申告して保険証券に明記しておかないと補償されないため注意しましょう。このようなものを「明記物件」と呼びます。
高額貴金属等の申告(保険証券への明記)を不要とするかわりに、高額貴金属等全体の補償額に1事故あたりの上限を設けている保険会社や、一定額を超える高額貴金属等(明記物件)の補償を引き受けていない保険会社もあります。
明記物件に該当する家財を別途申告しなければならない理由は、その金額が市場や専門家などの評価に左右されやすく、補償額の設定が難しいからです。家具や家電、日用品など、一般的な家財は市場価格(販売価格)などからおおよその金額がわかります。
しかし、美術品などの金額は個別に評価しなければ定まりません。いざというときに必要な補償を受けるためにも、そのほかの家財とは別に補償額を設定しておく必要があるのです。
家財保険支払い例をチェック!
落雷の影響で家電やパソコンが壊れた
家電やパソコン、ゲーム機、電話機などが補償対象ですが、スマートフォンやノートパソコンなど携帯式の電子機器や通信機器は基本的に対象外となるため注意しましょう。
また、パソコン本体は補償対象ですが、パソコン内のデータやプログラムは補償されません。
給排水設備の故障で、室内が水浸しになり家具も濡れた!
給排水設備とは、水道管や排水管、トイレの水洗用設備、給湯設備、スプリンクラーなどが含まれ、破裂や詰まり、誤作動などのトラブルにより水漏れが発生するおそれがあります。
流し台や浴槽、洗濯機、食洗機などの本体と接続されている排水管部分は含まれますが、本体や使用のたびに取り付ける排水ホースは対象外です。
なお、水濡れによって家具が損傷した場合は「家財」、天井のシミなどは「建物」の補償の対象です。
マンションの場合には、自室以外に被害が及ぶおそれや被害を被るおそれがあります。
自室の水漏れによって階下の方に損害を与えてしまった場合、相手方の損害は火災保険(家財保険)の「水濡れ」では補償されません。そのため、別途個人賠償責任補償保険(特約)に加入するなどして備える必要があります。
近隣で発生した火事の延焼でソファが燃えた
火災による損害は、出火元が自宅でなくても補償対象です。延焼の場合は、失火責任法という法律によって出火元に重大な過失がない限り相手方に損害賠償請求ができないため、ご自身の火災保険から補償を受ける必要があります。
延焼による被害は免れたものの、消火活動の放水で家財が水浸しになったようなときにも、火災による損害として補償されます。
子どもがボールをぶつけてテレビが壊れた
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)の補償は、パソコンにコーヒーをこぼして壊れてしまった場合や、家具や家電を移動中に誤って落として壊してしまった場合なども対象です。
該当するケースが多いため、小さいお子さんのいる方やペットを飼っている方などは、補償範囲に「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」を含めておくと安心でしょう。
自転車を盗まれた
一方で外出先や自宅の敷地外に駐輪していた自転車の盗難は補償されません。自宅前であっても敷地外の道路に駐輪していると補償されないため注意しましょう。
保険会社や契約時期によっては、敷地内ではなく建物内に保管されていた自転車のみが対象であったり、施錠されていないと対象外となったりするケースもあります。
自動車が自宅に衝突し家財が壊れた
ただし、加害者のいる事故の場合、まずは相手方に損害賠償請求をして補償を受けるのが一般的です。ご自身の家財保険から補償を受けるのは、相手方が無保険、賠償に必要な資力がないなどの理由で賠償を受けられない場合と考えましょう。
河川氾濫による床上浸水で家電や家具が水浸しになった
床上浸水では一度に多くの家財の買い替えが必要になり、大きな負担となることも少なくありません。特に河川の近くや低地、台風の多いエリアに自宅がある方は、水災補償や風災補償の必要性が高いといえるでしょう。
一方で、マンションの高層階に住んでいるなど、水災の被害を受ける可能性が低い方は、水災補償を外すことで保険料を抑えられます。
家財保険の補償対象にならなかった事例をチェック!
油を火にかけたままその場を離れて出火し家財が燃えた
重大な過失にあたるのは、少し注意すれば事故が起きなかったのに漫然と事態を見過ごしてしまったような場合で、個々の案件ごとに判断されます。
油を火にかけたままその場を離れれば火災となることは容易に想像できるため、重大な過失があると判断され、補償されない可能性が高いといえます。
地震による津波で家と一緒に家財が流された
地震による津波で家財が流されたケースは火災保険(家財保険)の補償対象ではないため、地震保険に加入していなければ補償されません。
ソファが経年劣化で変色した
猫がソファを引っ掻いて表面に傷がついた
猫が引っ掻いてソファに傷がついたとしても、外観上の損傷・汚損で、ソファとしての機能に支障がない場合は補償されません。
旅行先でカメラの盗難にあった
自宅から持ち出した家財の損害に備えたい場合は、「携行品損害補償特約」を付帯することで補償を受けられます。
家財に対する保険金額の決め方
とはいえ、家財は家具・家電から日用品まで多岐にわたり、すべての家財の再調達価格を正確に計算するのが難しいケースも少なくありません。
このようなケースでは、家族構成や年齢、家の広さ(専有面積)をもとに算定される再調達価格の目安を参考に、実態に合わせた調整を行い、保険金額を設定します。
家族構成から考える家財の再調達価格
家財簡易評価表(家族構成別)
家族構成 | 夫婦 | 夫婦+子1人 | 夫婦+子2人 | 夫婦+子3人 | 独身世帯 | |
---|---|---|---|---|---|---|
世帯主の年齢 | 25歳前後 | 490万円 | 580万円 | 670万円 | 760万円 | 300万円 |
30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 | ||
35歳前後 | 920万円 | 1,000万円 | 1,090万円 | 1,180万円 | ||
40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 | ||
45歳前後 | 1,340万円 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,610万円 | ||
50歳前後 (50歳以上を含む) |
1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 |
※上記は損保ジャパンの基準による評価額であり、保険会社によって評価額に違いがあります
※高額貴金属等の評価額は含まれていません
一般的には家族の人数が多くなるほど、世帯主の年齢が上がるほど家財が増え、再調達価格も大きくなる傾向があります。
簡易評価表はあくまで目安であり、家財が少ない方は目安よりも保険金額を下げる、家財が多い方は目安よりも保険金額を上げるといった調整を行い、なるべく実態に即した保険金額を設定しましょう。
住まいの専有面積から考える家財の評価
家財簡易評価表(建物所有形態・専有面積別)
建物 所有形態 |
専有面積 | ||||
---|---|---|---|---|---|
33u未満 | 33〜66u未満 | 66〜99u未満 | 99〜132u未満 | 132u以上 | |
持ち家 | 580万円 | 960万円 | 1,210万円 | 1,580万円 | 1,930万円 |
賃貸住宅 | 350万円 | 640万円 | 900万円 | 1,150万円 | 1,420万円 |
一般的には専有面積が大きくなるほど、再調達価格も大きくなります。また、専有面積が同じであれば、賃貸住宅よりも持ち家のほうが再調達価格は大きい傾向があります。
家財保険支払い例をもとに必要な補償を見極めよう
地震保険に加入したり特約を追加したりして補償を手厚くする、高層階であれば水災補償を外して保険料を抑える、適正な保険金額を設定するなど、想定されるリスクに応じた備えをしましょう。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。