2015年12月18日 08時00分

投資信託(6)「純資産総額とは?」

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【図表】純資産総額とは?(C)oricon ME inc.

 投資信託を選ぶ際に無視できないのが、ファンドの規模を表す「純資産総額」。少なすぎるのもよくないし、多いほどいいとも言い切れない。投信選びに役立つ純資産総額の見方を紹介しよう。

■「純資産総額」は投信の資産の合計

 純資産総額とは、投信が保有している株式や債券などの資産の時価を合計した金額から、信託報酬などのコストを差し引いた金額で、投信全体の時価といえる。

 投信に組み入れられている株式などの値上がりは、純資産総額が増える要因になるし、値下がりは純資産総額が減る要因になる。また、投信が解約された金額より買われた金額が多ければ、純資産総額が増える要因になる。

 つまり「組み入れた資産の価格変動」と「資金の流出入」によって増減するため、純資産総額が増えているからといって、必ずしも値上がりしているとは限らないし、たくさん買われているとは言い切れないというわけだ。投信の値動きについては「騰落率」をチェックしよう。

■小さすぎるのも、大きすぎるのもよくない

 純資産総額は少なすぎても、多すぎてもよくない。あまりに少ないと、思うように分散投資ができない、スケールメリットが働かず投信が資産を売買する際のコストが高くつく、といったデメリットがある。また、運用会社からみると、運用に力を入れにくい、といったことも考えられる。

 その結果、思うような運用成果が得られず、新しく資金が入ってきにくいことがあり、場合によっては信託期間(投信が運用される期間)中でも運用が終了する「繰り上げ償還」になる恐れもある。

 どのくらい純資産総額があればいいかは投資対象などによっても異なり、残念ながらはっきりとした基準はない。だが、10億円を下回っている場合などは注意した方がいいかもしれない。投信によっては、純資産総額が30億円を下回った場合などに繰り上げ償還する場合があるなどと定めている例もある。

 逆に、あまりに純資産総額が大きすぎると、投資先が見いだせないといったことから運用の質が低下すると懸念が生じる。投信によっては純資産総額が一定額を上回ると募集を一時休止するケースもある。

■小さく生まれて大きく育つが理想

 純資産総額の理想は「少しずつ増えていくこと」。少しずつ資金が入ってくれば、有望な投資先に計画的に投資することができるなど、運用がしやすい。

 逆に資金の流出入が激しいと、解約への対応を迫られ、思うような売買ができないといった弊害が生じる。資金の流出入が安定していることは、投信の運用成果に大きな影響を与える要素といっていい。あまりにも解約が多い投信は避けるのが無難といえる。

 多くの投信では、運用会社が発行する運用レポートに純資産総額の推移が記載されているが、前述のとおり、資産の価格変動の影響を受けるため、それだけでは資金の流出入はわからない。

 まれに口数の推移が併記されているものもあるが、そうでない場合は、投信の情報サイト「投信まとなび」で、投信ごとの情報を検索するのもいいだろう。

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