生命保険の保険金の受取でかかる税金の種類は?金額のシミュレーションも

生命保険の保険金の受取でかかる税金の種類は?金額のシミュレーションも

生命保険の保険金には、相続税や所得税・住民税、贈与税が課税されることがあり、納税が必要になることもあります。生命保険を契約するときや保険金・給付金を請求するときは、どのような税金が課税されるのかを理解することが大切です。

この記事では、生命保険の保険金を受け取る際に課せられる税金の種類や、課税の対象となる金額と税額の計算方法などを解説します。

mokuji目次

  1. 生命保険の保険金・給付金にかかる税金の種類
  2. 死亡保険金の税金にはどんな種類がある?
    1. 相続税
    2. 所得税・住民税
    3. 贈与税
  3. 死亡保険金を受け取る際の税金をシミュレーション
    1. 【相続税】契約者と被保険者が同じ場合
    2. 【所得税・住民税】契約者と受取人が同じ場合
    3. 【贈与税】契約者・被保険者・受取人が異なる場合
  4. 満期保険金にかかる税金は?
    1. 【所得税・住民税】契約者と受取人が同じ場合
    2. 【贈与税】契約者と受取人が異なる場合
    3. 【源泉分離課税】金融類似商品の場合
  5. 解約返戻金にかかる税金は?
  6. 個人年金にかかる税金は?
  7. 保険金を受け取ったら必要に応じて確定申告を
  8. 生命保険に関するよくある質問
    1. 非課税になる保険金や給付金の種類は?
    2. 保険金受取人は誰を指定できる?
    3. 保険金受取人は変更できるの?
  9. 生命保険を選ぶ際は受取時の税金も考えよう

生命保険の保険金・給付金にかかる税金の種類

生命保険の保険金・給付金にかかる税金の種類

生命保険は、受け取る保険金の種類によって、課税される税金が異なります。死亡保険金や満期保険金、個人年金を受け取ったときに課せられる税金の種類は、以下の通りです。

種類

税金の種類

死亡保険金

・相続税:契約者(保険料負担者)=被保険者
・所得税・住民税:契約者(保険料負担者)=保険金受取人
・贈与税:契約者(保険料負担者)、被保険者、保険金受取人がすべて別人

満期保険金

・所得税・住民税:契約者(保険料負担者)=保険金受取人
・贈与税:契約者(保険料負担者)と保険金受取人が別人

個人年金

・所得税・住民税:契約者(保険料負担者)=年金受取人
・贈与税:契約者(保険料負担者)と年金受取人が別人

また、解約返戻金や祝い金などを受け取った際にも、税金が課せられることがあります。

ここからは、死亡保険金・満期保険金・個人年金に課せられる税金についてご紹介します。

死亡保険金の税金にはどんな種類がある?

死亡保険金の税金にはどんな種類がある?

死亡保険金は、保険期間中に被保険者(保障の対象となる人)が亡くなったときに支払われる保険金です。死亡保険金に課税される税金の種類は、被保険者・契約者(保険料の負担者)・保険金受取人の関係によって異なります

例えば、被保険者が夫である場合、契約形態と死亡保険金に課税される税金は下記の通りです。

【夫が亡くなった例】
被保険者 契約者 受取人 税金の種類
相続税
所得税・住民税
贈与税

死亡保険金に課せられる税金について詳しくみていきましょう。

相続税

生命保険の契約者(保険料負担者)と被保険者が同じ人物である場合、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。相続税は、亡くなった人が所有していた財産(預貯金・不動産・株式など)に課税される税金です。

保険金受取人が相続人である場合、受け取った生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数※」まで相続税は非課税となります
※法定相続人は、遺産を相続する権利がある人

所得税・住民税

生命保険の契約者と受取人が同一人物である場合、死亡保険金は所得税と住民税の課税対象です。2037年(令和19年)までは、復興特別所得税も課税されます。

死亡保険金を一括で受け取る場合は「一時所得」年金形式で受け取る場合は「雑所得」として、課税対象となります。いずれの場合も、死亡保険金の受取総額が払い込んだ保険料の総額よりも少ない場合、所得税や住民税は課税されません

贈与税

贈与税は、個人から贈与によって財産を取得したときに課税される税金です。被保険者、契約者(保険料負担者)、保険金受取人がすべて異なる場合、死亡保険金は贈与税の課税対象です。

贈与税は、死亡保険金を含む1年間で贈与された財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた部分に課せられます

贈与税の税率は、相続税や所得税、住民税と比較して高く設定されており、税負担が重くなりやすいです。何かしらの事情がない限り、被保険者、契約者(保険料負担者)、保険金受取人を異なる人物にするのは避けた方がよいでしょう

死亡保険金を受け取る際の税金をシミュレーション

死亡保険金を受け取る際の税金をシミュレーション

では、死亡保険金を受け取るといくらの税金が課せられるのでしょうか。下記の条件で死亡保険金に課税される税金をシミュレーションしてみましょう。

死亡保険金

1,500万円

払い込んだ保険料

10万円

相続財産

現金:800万円
投資信託:200万円

家族構成

夫、妻、長女

夫の課税所得

400万円※1

※給与所得から基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除などを差し引いたあとの金額

【相続税】契約者と被保険者が同じ場合

夫が被保険者と契約者(保険料負担者)であり、妻が保険金受取人である場合、死亡保険金は相続税の課税対象です

法定相続人である妻が受取人のため、死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の数」まで相続税はかかりません。法定相続人は妻と長女の2人であるため、非課税となる金額と課税対象となる金額は以下の通りです。
・非課税となる金額:500万円×2人=1,000万円
・課税対象となる保険金:1,500万円−1,000万円=500万円
よって、死亡保険金のうちの500万円、現金800万円、投資信託200万円の計1,500万円が相続税の課税対象となります。

相続税が課税されるのは、遺産の総額から基礎控除額「3,000万円+(600万円×法定相続人)」を差し引いた部分です。

このケースでは、基礎控除額が「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」となり、遺産の総額1,500万円はそれを下回っているため、相続税はかかりません。

【所得税・住民税】契約者と受取人が同じ場合

続いて、夫が生命保険の契約者(保険料負担者)と保険金受取人、夫が被保険者であるケースでシミュレーションをします。なお、今回は、復興特別所得税を考慮していません。

1,500万円の死亡保険金を一括で受け取った場合は一時所得として、以下で計算される金額が所得税や住民税の課税対象となります。
(保険金の受取総額−払込保険料総額−特別控除額50万円)×1/2
払い込んだ保険料は10万円であるため、課税の対象となる金額は以下の通りとなります。
(1,500万円−10万円−特別控除額50万円)×1/2 =720万円
一時所得は総合課税の対象です。上記で計算される金額と、給与所得や事業所得など総合課税の対象となる他の所得との合計金額をもとに税額が計算されます。

所得税は「課税される所得金額(1,000円未満切り捨て)×税率−控除額」という速算式を用いて算出します。税率と控除額は、以下の通りです。
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
※出典:国税庁「No.2260?所得税の税率

このケースの場合、課税される所得金額は「元々の課税所得400万円+課税対象の一時所得720万円=1,120万円」です。税額を計算すると、結果は次の通りとなります。

死亡保険金を受け取らなかった場合

400万円×20%−42万7,500円=37万2,500円

死亡保険金を受け取る場合

1,120万円×33%−153万6,000円=216万円

差額

216万円−37万2,500円=178万7,500円

試算の結果、夫が1,500万円の死亡保険金を受け取ると、所得税は178万円7,500円増加しました。

住民税(所得割)の税率は10%であるため、死亡保険金を受け取ることで翌年の住民税は「課税対象の一時所得720万円×10%=72万円」増えます。

所得税と合わせると、死亡保険金の受取により合計で250万7,500円の税負担が増えました。

【贈与税】契約者・被保険者・受取人が異なる場合

夫が契約者(保険料負担者)、妻が被保険者、保険金の受取人が長女である場合、死亡保険金は贈与税の課税対象となります

贈与税の計算方法は「(1年間で贈与された財産の価額−基礎控除)×税率−控除額」です。税率と控除額は、贈与された財産が一般贈与財産と特例贈与財産のどちらに該当するかで異なります。

保険金受取人の長女が20歳以上であれば特例贈与財産、20歳未満であれば一般財産として贈与税が計算されます。計算結果は次の通りです。

子どもが20歳以上
:特例贈与

(1,500万円−110万円) × 40% - 190万円=366万円

子どもが20歳未満
:一般贈与

(1,500万円−110万円) × 45% - 175万円=450万5,000円

特例贈与の場合は366万円、一般贈与の場合は450万5,000円の贈与税がかかる計算です。いずれの場合も、相続税や所得税・住民税の課税対象となるケースより税額は多い結果となりました。

満期保険金にかかる税金は?

満期保険金にかかる税金は?

満期保険金とは、保険期間が満了したときに被保険者が生存していると受け取れる保険金のことです

満期保険金には、契約者(保険料負担者)と保険金受取人が誰であるかで、課税される税金が異なります。課税される税金は、所得税・住民税または贈与税です。
・所得税・住民税:契約者(保険料の負担者)が保険金受取人と同じ場合
・贈与税:契約者(保険料の負担者)が保険金受取人と異なる場合

【所得税・住民税】契約者と受取人が同じ場合

契約者と受取人が同じである場合、満期保険金は一時所得として所得税・住民税の課税対象となります

例えば、満期保険金の受取額が500万円、保険料の払込総額が400万円の場合、所得税・住民税の課税対象となる金額は以下の通りです。
(保険金の受取総額−払込保険料総額−特別控除額50万円)×1/2
=(500万円−400万円−50万円)×1/2
=25万円
よって、25万円が所得税と住民税の課税対象となり、給与所得や事業所得などと合計して税額を計算します。

【贈与税】契約者と受取人が異なる場合

契約者(保険料負担者)と保険金受取人が異なる場合、満期保険金には贈与税が課税されます。課税対象となるのは「満期保険金の受取金額−110万円」です。

例えば、満期保険金の受取額が500万円である場合「500万円−110万円=390万円」が課税対象となります。死亡保険金と同様、課税対象となる金額を算出する際に、払い込んだ保険料は差し引かれません。

【源泉分離課税】金融類似商品の場合

契約者(保険料負担者)と保険金受取人が同じでも、契約している生命保険が金融類似商品に該当する場合は源泉分離課税の対象となるため、他の所得とは分けて税額が計算されます

その場合、税額の計算方法は「満期保険金の受取額−払込保険料総額×20.315%※」です。
※所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%

金融類似商品に該当するのは「保険期間が5年以下である一時払養老保険」や「保険期間が5年超であり、契約日から5年以内に解約された一時払養老保険」などです。

解約返戻金にかかる税金は?

解約返戻金にかかる税金は?

契約者と保険料を負担している人が同じである場合、契約者が受け取った解約返戻金は一時所得として所得税・住民税が課税されることがあります。課税対象となる金額の計算方法は、以下の通りです。
(解約返戻金の受取総額−払込保険料の総額−特別控除額50万円)×1/2
解約返戻金の受取総額が払込保険料の総額よりも少ない場合、所得税・住民税はかかりません。

契約者と保険料を負担した人が異なる場合、解約返戻金は贈与税の課税対象です。この場合、解約返戻金の受取総額から110万円を差し引いた残りに贈与税がかかります。

個人年金にかかる税金は?

個人年金にかかる税金は?

個人年金保険の年金を受け取るときに課税される税金は、以下の通りです。
契約者と受取人が同一の場合:所得税・住民税
契約者と受取人が別:年金を受け取る年は贈与税、2年目以降は所得税・住民税
契約者と受取人が同じ人物である場合、毎年受け取る年金は雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。雑所得の計算方法は「総収入金額−必要経費」です。

総収入金額は、その年に受け取った年金額を指します。必要経費は、払い込んだ保険料のうち年金額に対応する金額です。

契約者と受取人が別の場合、年金の受け取りを開始する時点での年金受給権の権利評価額が贈与税の課税対象となります。また、2年目以降に毎年受け取る年金は、所得税と住民税の課税対象です。

保険金を受け取ったら必要に応じて確定申告を

保険金を受け取ったら必要に応じて確定申告を

受け取った保険金が所得税・住民税の課税対象となる場合は、原則として確定申告をします。また、贈与税の課税対象となる場合は贈与税の申告が必要です。

ただし、受け取った保険金が非課税枠の範囲内であり、税金がかからないのであれば、確定申告や贈与税の申告をする必要はありません

確定申告の期間は、保険金を受け取った年の翌2月16日〜3月15日まで、贈与税の申告は翌2月1日から3月15日までです。

会社員や公務員など勤務先で年末調整を受けている方は、課税の対象となる保険金の額が、給与所得以外の所得と合わせて20万円以下であれば確定申告をする必要は不要です。

ただし、給与収入が2,000万円を超えるなど確定申告が必須である方は、課税対象となる保険金の額が20万円以下であっても、その部分の申告と納税が必要となります。

生命保険に関するよくある質問

生命保険に関するよくある質問

最後に、生命保険に関する疑問とそれに対する回答をまとめました。

非課税になる保険金や給付金の種類は?

以下の保険金や給付金には、基本的に税金がかかりません
・入院給付金
・手術給付金
・通院給付金
・がん診断給付金
・放射線治療給付金
・特定疾病保険金
・介護保険金(一時金・年金)
・就業不能給付金
・先進医療給付金
・高度障害保険金
・リビング・ニーズ特約保険金
ただし、入院給付金や手術給付金などを被保険者が請求する前に亡くなった場合、未請求分は預貯金や不動産などと同様に相続財産として相続税の課税対象になります。

保険金受取人は誰を指定できる?

死亡保険金の受取人に指定できる人は、原則として被保険者の家族や親族です。保険会社の多くは、死亡保険金の受取人に指定できる人を、以下の通りとしています。
・被保険者の配偶者
・1親等(被保険者の父母や子ども)
・2親等(被保険者の祖父母・兄弟姉妹・孫)
保険会社によっては、2親等の血族がいない場合や受け取り人に指定できない事情がある場合、3親等内の血族(叔父・叔母・甥・姪)を受取人に指定できることがあります。

保険金受取人は変更できるの?

生命保険の契約者は、保険期間中であれば何度でも保険金の受取人を変更できます。また、生命保険に加入したのが2010年(平成22年)4月以降である場合、遺言によって保険金受取人を変更することもできます。

ただし、受取人を変更する際は被保険者の同意が必要です。また、遺言で受取人を変更する場合は、その遺言書が法律上有効であることが条件となります

生命保険を選ぶ際は受取時の税金も考えよう

死亡保険金に課税される税金は、被保険者・契約者・保険金受取人によって、相続税、所得税・住民税、贈与税の3種類に分かれます。

満期保険金については、契約者と受取人が同じ場合は所得税・住民税、別の場合は贈与税の課税対象となります。

個人年金は、契約者と受取人が同じ場合は雑所得として所得税・住民税が課税されます。別の人物である場合は、年金受け取り開始時は贈与税、2年目以降は所得税・住民税の課税対象です。

生命保険に加入するときは、受け取った保険金に課せられる税金も踏まえて、保険金受取人や被保険者、契約者のそれぞれを誰にするのか決めることが大切です。

オリコン顧客満足度ランキングでは、生命保険の加入者へのアンケート調査をもとに算出した「生命保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。 生命保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったよりよい選択肢を見つけてみてください。
※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。

生命保険オリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    72.0

    ライフネット生命

  • 2位

    71.5

    ソニー生命

    ※公式サイトへ遷移します。

  • 3位

    70.9

    アフラック

  • 3位

    70.9

    プルデンシャル生命

  • 5位

    69.8

    三井住友海上あいおい生命

  • 6位

    69.6

    チューリッヒ生命

  • 7位

    69.5

    メットライフ生命

  • 8位

    69.4

    アクサ生命

  • 9位

    69.3

    大樹生命

  • 9位

    69.3

    東京海上日動あんしん生命

  • 11位

    69.2

    ジブラルタ生命

  • 11位

    69.2

    はなさく生命

  • 13位

    69.1

    FWD生命

  • 13位

    69.1

    太陽生命

  • 15位

    68.7

    マニュライフ生命

  • 16位

    68.6

    日本生命

  • 16位

    68.6

    メディケア生命

  • 18位

    68.5

    オリックス生命

  • 18位

    68.5

    かんぽ生命

  • 18位

    68.5

    住友生命

  • 18位

    68.5

    SOMPOひまわり生命

  • 22位

    68.3

    明治安田

  • 23位

    68.1

    富国生命

  • 24位

    68.0

    ネオファースト生命

  • 25位

    67.9

    第一生命

  • 26位

    67.7

    SBI生命

  • 27位

    66.0

    朝日生命

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

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