2017年08月26日 11時10分

分配金がもらえる投資信託 イデコでも受け取れるのか

個人型確定拠出年金(愛称「iDeCo」イデコ)でも分配金はもらえるのか [拡大する]

個人型確定拠出年金(愛称「iDeCo」イデコ)でも分配金はもらえるのか

 投資信託を保有していると、定期的に受け取れる「分配金」。特に、毎月のお小遣いのように分配金が受け取れる「毎月分配型」のファンドが人気を集めている。しかし、60歳までお金を引き出せない個人型確定拠出年金(愛称「iDeCo」、以下イデコ)の場合も、分配金はもらえるのだろうか。今回は、話題の分配金について解説する。

■そもそも「分配金」とは

 ファンドは債券や株式などで運用し、配当や利子、売却益を得ている。これらの利益の一部を投資家に還元するため、決済時に支払うのが「分配金」だ。分配金の額や1年に支払う回数は、運用実績やファンドの方針により決定される。中には、分配金を出さずに収益を投信の財産に留める「無分配型」や、分配金を受け取るのか再投資するのかを投資家が選択できるファンドもある。

■「毎月分配型」は人気だけど…

 決算の回数は、年1回、年2回、隔月など、ファンドごとに定められている。なかでも、毎月決算を行って分配金を出す「毎月分配型」のファンドは、生活費を賄う目的で、特に高齢者に根強い人気がある。

 しかし、本来ならば、分配金は運用で得た収益を原資とするため、収益がないときには分配金の支払いもないはずだ。ところが、安定的な分配金を望む投資家の要望に応えるため、利益が出ていないときにも分配金を払い続けるファンドが存在する。そのようなファンドは、投資信託の財産を切り崩して分配金を支払うほかなく、その結果、投資信託の価値である基準価額を下げてしまう。

 近年、このような毎月分配型の投信の仕組みを理解せずに保有している投資家が多くいることが問題視されている。投資目的は人それぞれであり、一概に毎月分配型が悪いとは言えないが、長期投資を行うなら、分配金は年1回だけのものや再投資するファンドを選んだ方がいい。利益が利益を生む複利効果を発揮でき、お金が増える可能性が期待できるからだ。

■イデコでは分配金が再投資される

 では、60歳になるまでお金を引き出せないイデコでは、分配金の扱いはどうなっているのだろうか。実は、60歳までお金を受け取れないというルールは分配金にも適用される。イデコでは投資信託の運用で収益があった場合、そのお金は元金に組み込まれて再投資される。そのため、イデコで投資信託を購入すれば、自然と元金に分配金が組み込まれて元金が増え、それがまた運用されて大きくなる、というようにお金が雪だるま式に増える可能性が高まる。これを複利効果というが、これは長期であるほど効果が高まるため、長期投資が前提のイデコとの相性もいい。

 また、通常だと分配金には20.315%の税金がかかるが、イデコなら非課税だ。税金分も引かれずに元金に組み込まれるため、再投資による複利効果を最大限に発揮できる点も大きなメリットだ。

 このように、イデコで投資信託を購入すると、60歳までお金は受け取れないという厳格なルールに則って、分配金は再投資に回される。これは、意外と知られていないイデコの特性だ。また、イデコに限らず通常の投資であっても、複利の効果を知っていれば、自分は毎月分配金がもらえる方がいいのか、それよりも長期的にお金を増やしていきたいのかといった投資スタイルによって、どのような商品を選べばいいのかがわかってくるだろう。複利を味方につけ、上手に資産形成に役立てたい。

(マネーライター・永井志樹子)

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