2017年10月17日 18時43分

新制度“つみたてNISA” 現行との違いをおさらい

現行NISAですでに投資している人が、つみたてNISAに切り替える時の注意点(写真はイメージ) [拡大する]

現行NISAですでに投資している人が、つみたてNISAに切り替える時の注意点(写真はイメージ)

 2018年1月よりスタートする新制度“つみたてNISA”の口座開設申し込みが10月から解禁された。非課税期間をフルに活用したいなら、申し込みは早めに済ませておくのが得策だ。しかし、気をつけなければならないのが“NISAは1人1口座が原則”だということ。同一年にNISA(以下、現行NISA)とつみたてNISAは併用できない。現行NISAですでに投資している人は、つみたてNISAに切り替えたら現行NISAで保有している商品がどうなってしまうか気がかりだろう。申し込みを始める前に、口座開設にまつわる疑問をクリアにしておこう。

■現行NISAとつみたてNISAの違い

 NISA(ニーサ)とは「少額投資非課税制度」のこと。通常だと配当金や分配金、値上がり益には20.315%の税金がかかるが、NISAで得た利益には税金がかからない。2014年にスタートした現行NISAの非課税投資上限額は年間120万円、期間は5年間だ(2014〜2016年の上限額は年間100万円)。一方、つみたてNISAの非課税投資上限額は年間40万円、期間は20年間と長期積立を前提とした制度となっている(図表1参照)。

■ロールオーバーする年につみたてNISAは利用できない

 現行NISAでは、5年間の非課税期間終了時に、同じ金融機関であれば商品を次の5年間の非課税枠に持ち越せる「ロールオーバー」という仕組みがある(図表2参照)。ロールオーバーすることで最長10年の運用が可能となる。一方、つみたてNISAではロールオーバーはできず、20年経った時点で非課税期間は終了する。

 現行NISA がスタートした2014年に買い付けた商品は、2018年末に5年の非課税期間が終了となる。2019年には2014年に買い付けた商品をどうするのか選ばなければならない。選択肢は3つ、ロールオーバーするか、課税口座に移すか、売却するかだ。ここで注意したいのが、つみたてNISAとの関係だ。ロールオーバーした年はつみたてNISAの利用ができない。もし、2018年の制度開始時につみたてNISAを選択していた場合、2019年にロールオーバーするとこの年はつみたてNISAでの買い付けが途絶えてしまう。2019年も引き続きつみたてNISAを利用したければ、現行NISAで保有している商品はロールオーバーせずに課税口座(特定口座・一般口座)へ移すか売却する必要がある。ただ、翌年にはまた現行NISAとつみたてNISAどちらを開設するか選ぶことができるので、一度つみたてNISAでの積立が途絶えてしまってもまた再開することは可能だということも覚えておこう。

■課税口座へ移管する際の注意点

 現行NISAから課税口座へ移管すると、そのときの時価が取得価格とみなされる。もし値下がりした局面で移管しその後値上がりすると、実際には現行NISAで買い付けたときよりも損失が出ているにもかかわらず、利益があったとみなされ課税されてしまう(図表3参照)。NISA口座から課税口座への移管はいつでも行うことができるので、値上がったタイミングで移管しておくのがベストだ。もし、新年度が始まる際に現行NISAの商品が値下がりしていたら、その年はロールオーバーを選択し、つみたてNISAのスタートは来年まで待つといったこともできる。

 このように、すでにNISA口座で運用している人は、つみたてNISAを開始するにあたり、保有している商品をどうするのか考えなくてはいけない。売却や課税口座への移管のタイミングによっては損失が出てしまうので、慎重に検討したい。2019年からロールオーバーが選択できるようになるのを見越し、あらかじめ対処方法を考えておこう。

(フリーライター・永井志樹子)

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