2017年11月17日 15時40分

100株単位に統一へ 株式併合の影響と注意点

売買単位を100株単位に統一 株式併合にまつわる疑問について解説 [拡大する]

売買単位を100株単位に統一 株式併合にまつわる疑問について解説

 東京証券取引所をはじめ全国の取引所では、よりわかりやすく投資家が売買できるように、企業によって異なる株式の売買単位を100株単位に統一する取り組みを進めている。この株式併合とはどのようなものなのか、投資家に影響はあるのかなど、今回は株式併合にまつわる疑問について解説していく。

■なぜ株式併合を行うのか

 2018年10月を目標に全ての上場企業の売買単位が100株に集約される予定で、完全統一まで1年を切った。すでに、90%を超える上場企業が売買単位を100株としている。売買単位の変更があるだけなら株価に影響があるわけではないが、注目したいのが「株式併合」だ。今年10月1日付で売買単位を100株に変更した390社のうち、357もの企業が同時に株式併合を行っている。

 まず、売買単位を変更するとどんなことが起こるのか。例えば、株価が300円の銘柄が売買単位を1000株から100株へと変更すると、最低投資金額が30万円(300円×1000株)だったものが、3万円(300円×100株)で購入できるようになる。この場合、最低投資金額が下がることで投資家は株式を購入しやすくなる。ところが、取引所では小口の注文の殺到を避けるため、望ましい投資単位の水準を「5万円以上50万円未満」としている。先ほどの例では、売買単位を100株にするとこの基準を下回ってしまう。そこで、10株を1株にする株式併合を同時に実施すれば、株価は300円から3000円となり最低投資金額30万円(3000円×100株)をキープできるというわけだ。

■投資家への影響は?

 投資家が一番気になるのは、売買単位の変更や株式併合によって自分が何か損を被るのではないかということだろうが、その点は安心して大丈夫だ。売買単位の変更のみの場合、資産価値が変わらないのはもちろんだが、株式併合を行う場合であっても、同様に資産価値が変わることはない。10株を1株に株式併合する場合であれば、保有株数が10分の1に減る代わりに1株の株価は10倍になるからだ。また、10株を1株にまとめるパターン以外にも、最低投資金額の調整のために「5株を1株」、「2株を1株」といった株式併合を行う企業があるが、どのような割合であっても同様の理由で資産価値が変わることはない。

■注意すべきことは?

 前述のように、株式併合によって投資家が不利益を被ることはないが、注意しなければいけないポイントが2つある。ひとつは、株価が急騰する点だ。株式併合があったことを知らずに、ある日突然、株価が10倍になっていれば驚いてしまうだろう。保有している株式を全体で見ると価値は変わっていないのに、価値が上がった(=株価が上がった)と勘違いして売りに出してしまうということにもなりかねないので注意が必要だ。

 もうひとつは、単元未満株(端株=はかぶ)が発生する可能性がある点だ。たとえば、1000株を100株に株式数を変更すると同時に、併合比率を4株→1株とすると、1000株保有していた人は250株の保有となる。しかし、市場での取引は100株単位なので、50株分が端株となってしまうのだ。この50株は取引所での売買はできない。こうした場合、発行企業が自己株式として買い取ることが多い。該当する場合、企業のIR情報などを見てみるといいだろう。

 売買単位統一とともに行われることの多い株式統合では、投資家が損をすることはないが、株価急騰や端株には注意しておかなければならない。自分が保有する銘柄では売買単位や株式併合はすでに実施済みなのか、もしくはこれから実施されるのか確認しておき、いざという時に焦らず対処できるようにしておこう。

(フリーライター・永井志樹子)

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