2017年11月24日 09時30分

来年より『つみたてNISA』スタート なぜ今“積立”なのか

2018年1月『つみたてNISA』スタート なぜ今“積立”なのか解説 [拡大する]

2018年1月『つみたてNISA』スタート なぜ今“積立”なのか解説

 来年2018年1月より『つみたてNISA」がスタートする。すでに2014年より創設されている少額非課税投資制度「NISA(ニーサ)」の“長期積立版”だ。NISAは年間120万円、5年間の非課税枠であるのに対し、つみたてNISAでは年間40万円、20年間となっており、その名の通り、長期投資に特化した制度であることがわかる。今回、新しい投資制度が創設されるのは、政府が積立投資を推奨しているという背景があるのだが、いったい積立投資にはどれほどの効果があるのだろうか。改めて注目の集まる積立投資の効果を検証する。

■「ドル・コスト平均法」が効く

 長期投資の利点としてよく取り上げられるのが、「ドル・コスト平均法」の効果だ。ドル・コスト平均法とは、価格の変動する金融商品を定期的に一定額で購入する投資手法のことだ。これにより、価格が高い時には少ない口数を、価格が低い時には多くの口数を購入することができ、平均購入単価を下げる効果がある。では、実際にどのくらい効果があるのか。図表1は投資信託を一括購入した場合と、毎月1万円ずつ積み立てた場合の差を示したものだ。一括購入では基準価額が1万口あたり1万円の時に購入したので、1万口あたりの平均購入単価は1万円だ。一括購入では安く買い高く売ることで利益が出るため、値上がりが期待できる銘柄に投資するのがポイントとなる。

 一方の積立投資では、毎月1万円ずつ同じ銘柄を購入していくとする。基準価額が1万3000円のときは7692口、7000円のときは1万4286口といったように、基準価額が高い時は少ない口数を、基準価額が低い時は多くの口数を購入できていることがわかる。その結果、平均取得単価は9638円となった。これが積立投資の効果だ。定期的に一定額を購入することで投資コストを減らせるというわけだ。

■20年かければ必ず利益が出る

 積立投資では値下がり時には多くの口数を購入できるため、値下がりは投資家にとってプラスと捉えることができる。しかし、当然のことながら、相場が下がりっぱなしで利益は出ない。積立投資では、一度相場が下がっても、再び相場が上がる一連のサイクルを捉えることが重要となる。金融庁によると、保有期間が短い5年の場合だと、収益率が年率マイナス2%〜0%になる確率は10%以上、さらに、マイナス8%〜マイナス6%、マイナス4%〜マイナス2%となる可能性もあるとしている。その一方、保有期間が20年となると、収益率がマイナスになることはなく、年率2%〜8%の間に収まるとの結果が示されている。20年間の長期にわたり積立・分散投資を行えば、必ず利益が出るということが証明されている(図表2)。

 一括購入だと相場が投資家の利益に直結するため、日々の値動きを気にしながら売却のタイミングを見極めなくてはならない。しかし、積立投資ならば相場の変動に振り回されずに済む。むしろ、ドル・コスト平均法は、相場が変動した方が効果を発揮するのだ。基準価額が下がり、もとに戻らなくても利益の出る可能性があるし、最終的な基準価額が購入時と同じでも、一括投資より大きな利益が出る可能性もある。つみたてNISAでは、20年間の投資期間をまるまる利用するつもりで、じっくり腰を据えて付き合っていくのが得策だ。

(フリーライター・永井志樹子)

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