ネット証券とは?メリット・デメリットから窓口証券会社との違い

インターネット上で取引ができる「ネット証券」は、その手軽さや手数料の安さでますます存在感を高めている。ここでは投資初心者に向けて、ネット証券のメリット・デメリットの紹介とともに、自分に合っているのはどちらなのかを選ぶための基準を解説する。また、一口に投資といっても「株式」「FX」「ETF」「先物」……などと商品はさまざま。そこで、ネット証券で主に取り扱われる商品の特徴を簡単に紹介。特徴を知って、自分に合った投資商品を探そう。
市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

保有資格:CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)

ネット証券とは? 店舗型との違いは、「担当」と「取引の方法」

そもそも証券会社は、主に株式などの金融商品を取引仲介し、証券(株式や債券のこと)を発行する企業と個人の投資家をつなぐ役割を持つ。

その中でも、インターネットを通じた取り引きを専門にする証券会社を「ネット証券」といい、実店舗を持たないところが大きな特徴だ。その一方、店舗型証券(以下「店舗型」)というのは、その名の通り実店舗を持つ証券会社で、大手でいうと野村證券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券の5社を指す。

店舗型とネット証券との大きな違いだが、店舗型はオンライン取引コースも含めて株式の注文方法が「店舗窓口、電話、オンライン」と3つの方法があるが、ネット証券では「オンラインのみ」となっている。また、ネット証券ではアドバイスや投資情報を提供する「担当者がつかない」ことも店舗型との違いの1つ。

オンラインで取引が完結するので、時間や場所を問わず取引でき、また人件費も抑えられることで取引手数料が格安に抑えられている点が、ネット証券の魅力につながっている。

ただし、従来の店舗型の証券会社でも、こうした「ネット証券」の特徴を取り入れたネット取引コースを取り扱う所は多く、担当を付けるか付けないかは自分の投資スタイルで選べるようになっていることも多い。

ネット証券のメリット@ 取引の手軽さ

ネット証券の最大のメリットは、なんといっても取引の手軽さ

店舗型では、株などの売買取引を注文する場合、証券会社の店頭に足を運ぶか、営業担当者に連絡して発注するのが基本。一方で、ネット証券では人を介さず、全ての売買をオンラインで完結できる。つまり、スマホやパソコン1台で金融商品の取り引きがいつでもどこでもできるのだ。忙しくて店舗に行くことができない人でも、自分のタイミングで売買を行うことが可能だ。

定期的なシステムメンテナンス時以外では、24時間いつでも注文を受け付けてくれる。自分のペースで好きなときに取り引きできる手軽さは、初心者に限らず便利といえる。

ネット証券のメリットA 手数料の安さ

実店舗を持たず、投資家一人一人に担当営業がいないネット証券では、維持コストや人件費が抑えられることとなる。
その分、店舗型の証券会社に比べて、売買手数料がかなり安くなるというのも大きな特長だ。

一般的に店舗型証券会社の手数料は、少額の投資であっても1回の注文につき2,000円以上かかるところだが、ネット証券であれば数百円とか100円以下、もしくは手数料無料で注文することも可能だ。

ネット証券のメリットB 24時間即時入金が可能

株の売買取引を行うためには、株を購入するための代金と売買手数料を合わせた概算額を証券会社の口座に入金しておく必要がある。

店舗型証券会社の場合の入金方法は、銀行の窓口やATMから証券会社の口座に振り込む方法が基本。あらかじめ振替元の口座を指定しておき、電話等で指示することによって即座に証券会社の口座に振替入金できるサービスを実施している証券会社もある。

一方、ネット証券では提携先金融機関のネットバンク口座があれば、振込手数料無料で24時間、即時入金が可能。リアルタイムで買い付け余力(当日買付可能な資金の上限)に反映されるので、取引のチャンスを逃さずに済む。

ネット証券のメリットC リアルタイムで情報確認

提供される情報ツールやトレードツールによって、リアルタイムで多くの情報が確認できるのも、ネット証券の強み。
最新のニュース配信を読んでマーケットに対する知識を深め、株価の動きを示す複数のチャートを閲覧しながら取引の内容を考えることは、成功率を高めることに役立つ。

ネット証券のデメリット 「自分で情報を調べなくてはならない」

窓口を介さないネット証券では、基本的には顧客に担当者が付くことはない。つまり、投資に関する情報は全て自分で手に入れなければならない。

もちろん、担当者がいても最終的な投資の意思決定は、自己責任であることに変わりはないが、相談相手がいない分、自分の判断のみで行う必要があるのだ。「相談しながら資産運用をしたい」「新規上場する銘柄などの情報が入ったら教えてほしい」という人にとっては、ネット証券の手軽さがデメリットになる面もある。

取引の手続きに関しても同じように、自分で操作を行うため、注文時のミスには注意しなくてはならない。購入したい銘柄を選択できているか、口座指定を間違えていないかなどを、決済前に確認画面でミスなく入念にチェックする必要がある。

自分に合っているのはどちら? ネット証券と店舗型、選ぶポイント

ネット証券のメリットとデメリットを挙げてきたが、では結局どちらを選べばいいのか? それには、「投資したい商品」や「資産運用の相談機会」を考えた上で、自分に合っているものを選ぶのがいいだろう。

1株からでも買える、少額から気軽に投資を始められる「ネット証券」

株式の取引基準となる株数(=単元株)は、原則100株。売買するときには、単元株が100株だったら、100株、200株……と100株単位での取引をすることになる。

だが、ネット証券会社のカブドットコム証券やSBI証券には、100株単位の取引となる上場会社の株式であっても「1株」から取引できるという商品がある(単元未満株という)。例えば、100株=50万円で取引される企業の株式があったとすると、1株5,000円で購入できることになる。この場合、配当は株数に応じて配分される。

また、買い足すことにより単元株数に達した場合には、単元株として売買が可能だ。投資初心者は、このような取引から始めて、株式投資に慣れていくのも一つの方法だろう。

外国株式、IPO……商品ごとに異なる各社の強み

■外国株式は、投資したい国を扱っているかで判断

ネット証券、店舗型のいずれも取り扱う国内株の一方で、外国株は証券会社ごとに取扱商品が大きく異なる。例えば、大和証券の担当者がサポートする「ダイワ・コンサルティング・コース」では20カ国、オンライン取引のコースでは16カ国と、同じ会社でも窓口取引とオンライン取引では取り扱いの内容が異なるので注意が必要だ。なお、ネット証券大手のSBI証券では、9カ国、楽天証券では6カ国の外国株式を扱っている。

外国株式については、ネット証券、店舗型証券に関係なく、投資したい国を扱っているかどうかで選んだ方がいいだろう。

■IPO、POは取り扱い実績で判断

また、大きく値上がりしやすいため、注目する投資家も多いIPO(新規公開株:未上場企業が新規に株式に上場すること)やPO(公募増資、上場している企業が新たに発行する株式)では、取扱実績の多さや、顧客に担当営業からの情報提供がある点からも、店舗型の方が有利とされてきた。実際に、主幹事実績数のトップクラスを誇るのは従来の店舗型をもつ野村証券である。

一方、ネット証券の中でもSBI証券は、IPOにも強みを持つ。2021年のIPO取扱実績を見ると、同社では122銘柄を取り扱っている。また、多くの投資家に投資の機会が得られるように、ネット証券では抽選方式を取る所が多い。特にマネックス証券や野村証券のオンラインサービスでは、資金量にかかわらず1人1口の“完全抽選”を実施しており、初めての人にも間口を広げた仕組みとなっている。

このように、国内株と違って外国株式やIPOなど、そもそも証券会社によってラインアップが違う商品については、外国株式はA証券、IPO/POはB証券というように、投資目的に応じて複数の証券会社に口座を開設することを検討してみるのもいいだろう。

ライフプランに沿った資産運用相談できる店舗型

店舗型の証券会社は、顧客のライフプランに基づくコンサルティングや相続対策に力を入れている。例えば大和証券では、相続コンサルタントが投資家の相続対策から、相続発生後の家族のサポートまでを担う「相続トータルサービス」を行っている。コンサルタントは、ファイナンシャルプランナー(FP)の上位資格であるCFP資格保有が任命され、全国全ての本・支店に配置されているため、家族が遠方に住んでいても連携して相続手続きをサポートする体制を整えている。

相続や終活などのライフプランも含め、相談しながら資産運用を行いたい投資家は、店舗型証券も選択肢に入るだろう。自分のニーズに合った証券会社を選ぶことが大切だ。

ネット証券で主に取り扱う金融商品の種類と特徴

国内株式

多くの人々にとって、一番聞く機会が多い投資商品というと「株(式)」ではないだろうか。そもそも株とは、企業が投資家から直接出資してもらうために発行する「証券」のこと。つまり、「株式を買う」ということは「企業にお金を出す」ということで、その企業の価値が高まり、株価が上がれば、出資者も得をする仕組みになっている。中でも日本国内の企業が発行する株を国内株(式)という。

ポイント@ 
株保有者は、企業の利益が分配される配当金や、株式の価値が上がったときに売却することで売却益を得ることができる。

ポイントA 
株を保有することで株主優待を受けられるほか、株主総会への参加など企業の経営方針にも関われるのが特徴だ。

ポイントB 
株式の売買は、各「証券取引所」が運営する市場で行われる。投資家は、証券会社を介して証券取引所に売買の注文をするという仕組みだ。証券取引所で株式を売買できる資格を付与されることを“上場する”といい、上場するためには、株主数の見込み、時価総額、純資産額など市場ごとに異なる基準が設けられている。

ポイントC 
上場企業が発行した株は、市場取引(立会)時間であれば、どこの証券会社からでも自由に上場銘柄を売買できる。
「東証1部」「JASUDAQ」「マザーズ」がなくなる?

ニュースで「東証1部・2部」、「JASDAQ」「マザーズ」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。これは、日本で最も大きな証券取引所である東京証券取引所(日本取引所グループ、通称「東証」)が運営していた市場だ。

実は2022年4月にこの市場区分が刷新され、各市場のコンセプトがより明確となった3区分に移行した。新区分は次の通り。

プライム市場 
「安定的かつ優れた収益基盤」を持ち、グローバル企業を対象とする市場
※旧「東証一部」に相当の位置付け

スタンダード市場
「安定的な収益基盤」の実績を持つ企業が対象の市場
※旧「東証二部」を中心に「東証一部」と「JASDAQスタンダード」の一部を集約した位置付け

グロース市場
新興企業など、より高い成長可能性を有する企業向けの市場
※新興市場向けで、旧「JASDAQ グロース」「東証マザーズ」に相当の位置付け

株式取引の種類

いざ株式を購入すると、取引のスタイルはさまざまであることに気づく。まずはネット証券でできる代表的な取引の内容を知っておこう。

(1)現物取引
自分の資金で株式を買う、いわゆる一般的な株式取引。「株式を買う→株価が上がったら売る」ことで、利益を出すことになる。

また、現物取引においては「単元株数」(この数から購入できますよ、という最低単位)が設定されている。つまり「1株3,000円」でも、単元株数が「100株」であれば、3,000円×100株=30万円の資金がないと取引ができない。そのため、現物取引をするためにはそれなりの資金が必要になることも多いが、あくまで自分が持っている資金の範囲での取引になるので、リスクをコントロールしやすい。

(2)信用取引
証券会社からお金を借りることで、自己資金の約3倍までの取引ができる仕組みが「信用取引」。信用取引では、「買って→売る」が基本の現物取引とは逆に、「証券会社に借りた株を売って→株価が下がったところで買い戻して、証券会社に返す」という、いわゆる「空売り」をすることもできる。初心者には少しハードルが高いかもしれないが、きちんとリスク管理ができれば、より大きなリターンを期待できるので知っておきたい。

(3)株式ミニ投資(ミニ株)
多くのネット証券が展開している、より気軽な取引。「ミニ株」なら「単元株数」の10分の1の株数で購入できる。「現物取引」の項目で挙げた「1株3,000円&単元株数100株」という例に合わせると、普通は30万円からの取引になるところが、「1株3,000円×10株」=3万円から取引できるということ。少ない資金でも取引できるので、初心者にも安心だ。ただし、株主総会で議決権を行使できないなどの制約もある。

(4)S株、ワン株、プチ株など(1株単位での取引)
「ミニ株」よりもさらに資金を抑えて、まずは株式取引に慣れたい! という人におすすめなのが、SBI証券の「S株」、マネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株」など、1株単位で取引できる商品。1株なら100円単位でも取引することが可能なので、ミニ株よりもさらに気軽にチャレンジすることができる。

外国株

米国株や中国株など、海外(外国籍)の企業が、それぞれの海外証券取引所で発行する株式のこと。

ポイント@ 
グローバルに活躍する世界的な優良企業や日本の企業以上に成長性が高い企業、配当利回りの高い企業が多く、投資先として大きな魅力がある。リスクを把握した上で大きなリターンを期待し、今後さらに伸びていく可能性のある新興国に注目。

ポイントA 
日本で取引可能な外国株には、米国株・中国株・韓国株・欧州株・タイ株・ロシア株・インドADR・ブラジルADRなどがある(ADRとはニューヨーク証券取引所などに上場されている、米国外の企業が米国で発行する預託証券のこと)。

投資信託

「投信」、「ファンド」とも呼ばれる。投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用のプロであるファンドマネージャーが投資家に代わって投資先を選定し、運用するのが投資信託(=投信)。基準価額という株価に当たる価格で、毎日実績が反映されて値動きをする。つみたてNISAの投資対象は、投信に限定されている。

ポイント@ 
1口=1万円など少額から始められるのが最大のメリット。年に1回、2回、毎月などの形で、運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配金という形で配分される。

ポイントA 
投信を運用する運用会社が定期的に発行する運用レポートによって、運用状況の確認ができる。複数の銘柄に資金を分けて投資することで、値下がりなどのリスクを軽減でき、個人では投資しにくい国や地域、資産にも投資が可能。

ポイントB 
投信は運用会社が運用し、証券会社・銀行などの販売会社を通して購入する形を取る。

証券会社、銀行によって取り扱われている投資信託のラインアップが異なるため、自分が欲しい投信を取り扱っているかなどをあらかじめリサーチしておくといい。

ETF

ETFとは、ExchangeTradedFundsの略で、日本語では「上場投資信託」といわれている。通常の投信と違って証券取引所に上場している投信。つまり、株式と同じように証券取引所で売買できる投資信託だ。

ポイント@ 
ETFでは、市場全体の動きを示す株価指数などに連動を目指して運用されている。代表的な商品として、TOPIX(東京証券取引所に上場する銘柄から構成された株価指数のこと)に連動するETFがある。このETFを保有することで、TOPIX構成銘柄全体に投資することとほぼ同じ効果が得られる。

ポイントA 
ETFは投資信託とはいえ、証券取引所に上場しているので、取引所が空いている時間であれば、いつでも指値や成り行きで売買できる点が魅力。

ポイントB 
国内ETFは株式と同じなので、株式を取り扱っている証券会社であれば、ほぼどこでも取引できる。また、海外に上場しているETFを一部取り扱っている証券会社もある。海外ETFは、日本にはない幅広い銘柄が上場されており、よりアクティブなインデックス投資が可能。

REIT(リート、不動産投資信託)

REIT(リート)とは、RealEstateInvestmentTrustの略で、不動産投資信託のこと。一般的な投資信託は基本的に株式や債券などが投資対象となっているが、REITでは投資対象が不動産となる。ETFと同様に取引所に上場されている。日本国内の不動産投資信託の場合は、JapanのJを取って「J-REIT」と呼ばれる。

ポイント@ 
多くの投資家から資金を集め、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産を購入する投資信託。投資家は間接的にそのビルのオーナーとなる。購入された不動産から得た賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品。

ポイントA 
株式を取り扱っている証券会社であれば、取り扱っている場合が多い。

債券

国や地方公共団体、企業、外国の政府や企業などが、投資家から資金を借り入れる目的として発行する有価証券を債券という。

ポイント@ 
債券は購入すると、定期的に利率分の利子を受け取れるものが基本だ。もしくは定期的な利子はないが、実際の購入額よりも額面金額の高い債券を購入できる仕組みのものもある。

ポイントA 
満期日が設けられていて、期日まで保有していると、額面金額(券面上に記載されている金額で、償還金という)を受け取れる。つまり、満期まで持てば元本が戻ってくる仕組みだ。

ポイントB 
利率には、発行時に決められたものが満期まで継続する固定金利型と、経済状況に応じて変動する変動金利型がある。固定金利の場合、利率の高いものを選んで満期まで保有していれば、高い利子を受け取ることが約束される。

ポイントC 
投資対象としては、国が発行する国債が安全性の高い商品。そのほか、都道府県等が発行する地方債・公共債、企業が発行する社債がある。また、為替リスクは伴うが、海外の政府が発行する国債や社債も外国債券という形で発行されている。決められた満期日まで待つことなく、途中で売買することも可能。
個人向けの国債は、年12回(毎月)募集と発行を行っている。そのほかの債券は不定期。興味のある債券が発行されているとは限らない。各証券会社のHPで過去の取り扱い実績を見ることができる。

FX (外国為替証拠金取引)

FXとはForeign EXchangeの略。日本語では「外国為替証拠金取引」とも呼ばれる。外国の通貨を売買して利益を得る取引のこと。つまり、異なる2国間の通貨を取引した際の為替レートの差額が儲けになる仕組みだ。

ポイント@ 
海外の通貨を24時間取引できる(株式の取引は、日中の取引所が開いている時間のみ)。FXは全世界を市場に取引するので、24時間の取引が可能となる。

ポイントA 
FXでは、「証拠金(担保として預けたお金)」で取引を行うことで、手持ちの資金よりも大きな取引が可能になる。この仕組みを「レバレッジ」といい、実際の手元の資金と投資できる金額の差を「レバレッジ〇倍」と表現する。例えば、レバレッジ20倍の場合、5万円の証拠金に対し、100万円分の運用ができる。

ポイントB 
FXは「日本円/米ドル」、「米ドル/ユーロ」といった2国間の通貨の取引。この通貨の組み合わせを「通貨ペア」という。FX取引を行う場合、取引会社からどの通貨ペアを取引するのかを選ぶこととなる。

ポイントC 
為替取引では、同時刻でも売値(その通貨を“売る時の価格”)と買値(その通貨を“買う時の価格”)は異なる。その差を「スプレッド」と呼ぶ。スプレッドはFXを扱う会社ごとに、また通貨ペアによっても異なって設定されている。

ポイントD 
FXでは2国間の金利差から利益を得ることもでき、この金利差を「スワップポイント」という。これは、高い金利の通貨を持っているだけで、毎日その利息が入ってくる形となる。会社によっては南アフリカやトルコなどのマイナー通貨と呼ばれるものも扱っており、高金利が魅力となっている。
高金利が魅力な“マイナー通貨”。為替の動きも激しく、あっという間に損失を被ることもあるので要注意。

先物・オプション

■先物取引とは?
先物取引とは、将来の売買について現時点で約束をする取引のこと。例えば、3月の時点で3カ月後である6月に指定の商品を買うと契約することによって、3月時点の価格で購入できる。

ポイント@ 
取引対象には金やプラチナなどの貴金属、トウモロコシや大豆などといったコモディティと呼ばれる「商品」、日経平均株価(日経225)などの「株価指数」を対象とするものがある。

ポイントA 
今後、先物価格が上がると予想するなら買い、下がると予想するなら売りの予約をする。売る予約から始めたなら買うことで決済、買う予約で始めたなら売ることで決済ができ、その際は損益だけを受け渡す差金決済が行われる。

ポイントB 
先物取引では、期間内であればいつでも売買できる。注意しなくてはならないのは、期限になれば自動的に決済され、損益が確定してしまう。

■オプション取引とは?
オプション取引とは、決められた期日に、決められた価格で商品を売買する「権利」の取引のこと。

ポイント@ 
買い手は、権利獲得のために、まず「オプション料」を支払う。先物取引の場合は価格が下がっても契約であるため、必ずその値段で売買しなければならない。しかし、オプション取引の場合はあくまで「権利」のため、不利になる場合は権利を放棄すればよいという仕組み。オプションの買い手は、損失をオプション料の価格だけに限定できるというメリットがある。
国内先物・オプションともに、仕組みが複雑でかつ値動きが激しいので損失も大きいため、ネット証券の場合、取扱商品の主流にしている証券会社は少ない。株価指数に関連した銘柄だけを取り扱っている場合がほとんどだ。一部、海外先物商品を取り扱っている証券会社もある。

どの商品を選ぶかによって、リスクやリターンは大きく変わってくる。また、保有することで株主優待を受けられるものもある国内株式などで売却益を得ることとは別の楽しみ方ができる商品もある。リスクの許容範囲を設定した上で、自分の投資方針に合った商品を選んでいこう。
市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
グローバルファイナンシャルスクール(GFS)公式サイト(外部リンク)
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