新NISA口座の開設手続きとは?金融機関の変更や解約方法も解説
旧NISAの口座を開設済みの場合や、新NISAを機に別の金融機関に口座を変更したい場合の手続き方法など、わかりづらい点もたくさんあります。
そこで今回は、新NISA口座の開設手続きについて、ポイントを絞ってわかりやすく解説します。
金融機関の変更や解約方法、海外赴任する場合の手続きの有無などにもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
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監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。
目次
2024年からスタートした新NISAは、非課税期間や投資枠が拡充
新NISAでは投資可能期間が恒久化されたことに加え、非課税期間が無制限化されるなど制度が拡大されたことで、旧NISA制度よりも利便性が増しました。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類の投資枠があり、併用も可能です。
非課税保有限度額の総枠は、つみたて投資枠と成長投資枠をあわせて1,800万円までです(うち成長投資枠は1,200万円まで)。
また、非課税で投資できる年間の投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円となっています。
つみたて投資枠と成長投資枠の違いについては、下記のとおりです。
■新NISA制度の概要
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
取扱商品 | 投資信託(※) | 株式・投資信託など |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 合計1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)まで | 合計1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)まで |
非課税期間 | 無制限 | 無制限 |
実施期間 | 恒久化 | 恒久化 |
新NISA制度を利用して投資するには、NISA口座を開設する必要があります。
ただし、NISA口座は1人につき1口座しか開設できません。
同一人物の名義で、複数の金融機関にNISA口座を開設できない点には注意が必要です。
・新NISAは改悪?制度の変更点と活用のポイントを解説
新NISAの口座開設手続き
すでに旧NISA口座を保有している場合と、旧NISA口座を保有していない場合に分けて見ていきましょう。
旧NISAの口座を保有している場合
このケースでは、旧NISA口座と同じ金融機関に新NISA口座が自動的に開設されます。
したがって、新たに手続きを行うことなく、新NISA制度を利用可能です。
旧NISA口座を持っていた人は、金融機関のWebサイトで新NISA口座が開設されているか確認しておくことが大切です。
旧NISA口座を保有していない場合
この場合は、銀行、証券会社などの各金融機関で、NISA口座を開設する必要があります。
一般的な開設手順は下記のとおりです。
新NISA口座の開設手順
- 金融機関を選ぶ
- NISA口座の開設を申し込む(Webサイトまたは郵送)
- 取り寄せた申込書に必要事項を記載して、各種証明書(マイナンバー記載書類・本人確認書類)などと共に、金融機関に提出
- 金融機関が税務署に手続きを申請
- 税務署が口座の重複などをチェックした上で、開設の可否を審査
- 金融機関から口座開設の案内を受け取る
証券会社の場合には、総合口座を開設します。
初めてNISA口座を開設するときに必要な書類は、下記のとおりです。
・非課税口座開設届出書
・マイナンバー関連書類
(個人番号カード、通知カード、マイナンバーが記載された住民票の写し・住民票記載事項証明書)
・本人確認書類
(運転免許証、日本国政府発行のパスポート、健康保険証、印鑑登録証明書、住民票の写し、在留カード、特別永住者証明書など)
Webサイトから申し込むほうが郵送で申し込むより口座開設がスピーディーに完了するため、できるだけ早くNISAで投資を始めたい人はWebサイトから申し込むことをおすすめします。
NISAの始め方については、下記の記事をご覧ください。
・NISAで積立の始め方は?新NISAを始めるSTEPを解説
NISA口座の金融機関変更手続き
この場合、前年の10月1日から、変更したい年の9月30日までに手続きを完了させる必要があります。
例えば、2024年に金融機関を変更したい場合には、2023年10月1日〜2024年9月30日に手続きを完了させます。
ただし、金融機関を変更したい年に一度でもNISA口座で買い付けをしている場合、その年は変更手続きができません。
変更手続きを進める前にその年の1月1日以降、NISA口座で買い付けをしていないか確認しておくことをおすすめします。
一般的な変更手続きの手順は下記のとおりです。
NISA口座の金融機関を変更する手順
- 変更前の金融機関に変更の申し出を行う(「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を受け取る)
- 変更先の金融機関でNISA口座の開設手続きを行う(「NISA口座申込書」を受け取る)
- 変更先の金融機関に「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」と、「本人確認書類」「NISA口座申込書」を提出
- 変更手続き完了
前述のとおり、金融機関を変更したい年の9月末日までに上記の手続きを完了させる必要があるため、期限ぎりぎりにならないよう手続きを進めておくことが大切です。
なお、金融機関の変更後、NISA口座で保有している金融商品の移管はできません。
変更前のNISA口座と変更後のNISA口座で、それぞれ金融商品を保有することになります。
そのため、金融機関を変更することで、運用している商品や損益の把握など、口座の管理が複雑になる点には注意が必要です。
NISAの金融機関変更については、下記の記事をご覧ください。
・NISA口座は複数開設できる?金融機関変更や二重申込の場合を解説
NISA口座の解約の意味と必要な手続き
それぞれの状況に応じて、適切な手続きを理解しておくことが重要です。
NISA口座の廃止:NISA口座そのものを解約するための手続き
必要事項を記入の上、本人確認書類と共に金融機関に提出することでNISA口座の解約手続きは完了です。
手続き後、「非課税口座廃止通知書」または「勘定廃止通知書」が発行されます。
この書類は、将来NISA口座での投資を再開する際に必要となりますので、紛失しないように保管しておくことが大切です。
保有商品の売却:NISA口座で保有している金融商品を売却するための手続き
その際、口座にある全商品を売却する全解約、もしくは保有商品の一部を売却する部分解約を選択可能です。
また、投資信託の場合には、口数や金額指定をして売却することもできます。
自動積立の設定解除:今後の自動積立を停止するための手続き
設定を解除することなく放置していると、そのまま積立が継続されてしまう点に注意が必要です。
積立解除はあくまでも今後の自動積立を停止する手続きのため、設定を解除した場合もNISA口座そのものは存続し、NISA口座で保有している金融商品は残ります。
NISAの解約については、下記の記事をご覧ください。
・NISAは解約できる?解約の方法や積立をやめる以外の選択肢
NISA口座の手続きに関して知っておきたいこと
特に、下記の2点について理解しておきましょう。
NISA口座間での商品移管の手続きはできない
したがって、旧NISA口座で保有している金融商品を新NISA口座へ移管する手続きは存在しません。
新NISA口座で購入した金融商品については、旧NISA口座とは関わりのない新たな取引として扱われる点に注意が必要です。
また、NISA口座をほかの金融機関に変更した場合、変更前後の口座はそれぞれ別口座として管理します。
このケースでも、変更前の金融機関の口座で保有していた金融商品を、変更後の口座へ移管することはできません。
そのため、2つの口座でそれぞれ金融商品を保有していくことになります。
・新NISAはつみたてNISAと併用可能?2つの投資枠と活用方法を解説
海外赴任する場合には金融機関で手続きが必要
よって、海外赴任する場合には、金融機関にその旨を申し出て手続きを行う必要があります。
具体的には、出国前に金融機関に「非課税口座継続適用届出書」の提出が必要です。
ただし、すべての金融機関がこの手続きに対応しているわけではありません。
海外居住となる場合、金融機関によってはNISA口座の廃止手続きが必要になるケースもあります。
また、NISA口座が継続できても、保有が認められている金融商品に制限がかかる場合もあるのです。
さらに、海外赴任中のNISA口座保有に対応している金融機関であっても、口座を保有できるのは最長5年までの海外赴任・海外転勤に限られます。
NISA口座の新規開設や変更を検討する際には、金融機関の比較が重要
また、NISA口座は1人1口座しか開設できないため、すでにNISA口座を開設している人が、別の金融機関でNISA口座を開設するには変更手続きが必要になります。
一方、新たにNISAを始める際には、専用口座の新規開設が必要です。
なお、金融機関によって、投資対象となる投資信託や海外株式などが異なりますし、手数料にも差があります。
1人1口座のみというNISA口座の制限があることから、金融機関の選定が重要です。NISA口座を開設する際には、複数の金融機関を比較検討した上で慎重に判断することをおすすめします。
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監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。