2017年04月24日 09時20分

必ず知っておきたい基礎知識! 自動車保険の等級の仕組み

自動車保険料にも関わってくる“等級”。その仕組みを改めて紹介する [拡大する]

自動車保険料にも関わってくる“等級”。その仕組みを改めて紹介する

 自動車保険には、これまでの事故歴等により保険料を割引・割増する「等級制度(ノンフリート等級別料率制度)」がある。等級は数字が大きいほど割引率が高く、最大63%(※)ほども割引があるため、保険料の節約には欠かせない。

▼そもそも等級とは?

 等級は「1等級〜20等級」に区分され、更に同じ等級でも事故の有無によって保険料が分かれる。たとえば同じ「17等級」でも、「17等級の無事故」の場合は割引率53%だが、「17等級の事故あり」の場合は割引率38%となってしまう(※)。

 一定の事故を起こすと翌年以降の更新時に1等級または3等級下がり、さらに「事故有」としての割引率が1年間または3年間、適用されてしまう。反対に、保険期間中に事故を起こさなければ、翌年の継続時に1等級ずつ上がる仕組みになっている。

▼事故が起きても保険を使わない方が良い場合もある

 このため、等級に影響を与える事故があっても、その損失額が保険料の上がる金額より小さいのであれば、保険を使わずに自己資金で補うのが良いだろう。

 相手のいる事故であれば損害賠償や相手との交渉の負担が大きくなることもあるが、自損事故の場合は、修理費など損害額をある程度抑えることも可能だ。事故による損失と、その後の保険料を比較して保険を使うかどうか決めよう。

▼等級が継承できる3つのパターン

 また、等級は以下のようなケースでは引き継ぎが可能だ。

(1)契約する保険会社を替えるとき
 何らかの都合でA社からB社に自動車保険の契約を切り替える場合に、A社での等級がB社でも使える。A社での保険期間中に事故がなく、満期後の更新と同時にB社に切り替えるのであれば、仮にA社で継続した場合と同様、B社で1等級アップして契約ができる。

 一方、中途解約してB社に切り替える場合は、B社ではA社と同じ等級で、基本的にはその日からさらに1年の契約が続くことになる。そのためA社での保険期間分長く、同じ等級を続けることになり、無事故であれば等級の更新が遅れてしまう。この場合は、A社とB社での保険期間を合算して1年にできる短期契約「保険期間通算特則」が利用できるかを、解約前に切り替え先のB社に確認しよう。

(2)車を手放したとき
 海外転勤や引越しなどで車に乗らなくなった場合、自動車保険も不要になる。このとき、解約ではなく「中断」という手続きをすることで、再び車を使用する状況になった際に、以前の等級を引き継ぐことができる。基本的に中断から10年以内なら有効で、配偶者か同居の親族であれば本人でなくても引き継げる。

(3)家族間で車を譲渡するとき
 夫婦間、あるいは親から子などに車の名義を変更する場合、自動車保険の記名被保険者(車を主に使用する人)も変更する必要がある。この時、以前の記名被保険者の等級を引き継ぐことができる。ただし、引き継ぐ相手はその記名被保険者の配偶者か同居の親族に限るので注意したい。

 等級が下がることによる保険料アップや、等級アップのチャンスを逃し、本来受けられたはずの割引を受けられないということを防ぐためにも、仕組みをしっかり覚えておこう。

(※)保険会社によって具体的な割引率は異なる

<記事/松原季恵(マイアドバイザー登録FP)>
CFP(R)、銀行、損害保険会社での勤務経験を経て、FPとなる。生損保商品や住宅ローンに詳しく、現在は執筆・セミナー・相談を通じてお客様サイドに立った情報提供をしている。

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