2018年03月18日 11時00分

被害者なのに「過失」が発生? 自動車保険の補償バランスとは

事故の保険金額を決める過失割合について解説する(画像はイメージ) [拡大する]

事故の保険金額を決める過失割合について解説する(画像はイメージ)

 自分が交通事故の被害者になったとき、相手が自動車保険に加入していたら損害が100%補償されると考えるのは早計だ。対人賠償保険では保険金の設定は無制限が基本だが、損害額が決定された後、「過失割合」によって受け取れる金額が変わってくる。今回は、過失割合について事例を交えながら解説する。

■過失割合の違いによって受け取れる保険金は変わる

 自動車事故で被害者となり、大けがをした場合、基本的には相手方の対人賠償保険から保険金を受け取ることができる。しかし、自動車同士の事故では、たとえこちらが被害者でも過失が発生するケースがある。また、こちらが歩行者や自転車という場合も同様で、歩道からはみ出していたり、急な飛び出しがあったりなどした場合、過失を問われるケースはある。過失があった場合、その割合によって過失相殺(事故当事者の過失割合に基づいて、補償される損害額を決定すること)され、賠償額が減額されることがある。自分の損害額を1000万円と仮定した場合の、過失割合の違いによって受け取れる保険金を計算してみよう。

【被害者の損害額1000万円のケース】
過失割合は自分:相手

(1)過失割合が0:100の場合
受け取れる保険金額…1000万円

(2)過失割合30:70の場合
受け取れる保険金額…700万円

(3)過失割合50:50の場合
受け取れる保険金額…500万円

 上記のように、過失割合によって受け取れる保険金額は変わる。被害者側の過失割合が大きければ、それに応じて保険金も減ってしまうので気をつけよう。

■自賠責保険と対人賠償保険は重複して支払われない

 過失割合によって受け取れる保険金は上記のように変化するが、対応する賠償保険には自賠責保険と任意保険である対人賠償保険の2つがある。両方から重複して支払われるわけではなく、最初に自賠責保険から支払われ、不足分が対人賠償保険から支払われる。また、過失割合によってトータルの損害額は異なる。

【被害者の損害額1000万円のけがのケースで受け取る保険金額】
・過失割合は自分:相手
・自賠責保険はけがによる損害に対し、被害者1人当たりの保険金額120万円を上限
としている(日本損害保険協会HPより)

(1)過失割合0:100の場合

損害額1000万円×1−自賠責120万円=対人賠償から880万円

(2)過失割合30:70の場合
損害額1000万円×0.7−自賠責120万円=対人賠償から580万円

(3)過失割合50:50の場合
損害額1000万円×0.5−自賠責120万円=対人賠償から380万円

 なお、単独事故の場合は相手がいないため、運転手のけがに対して対人賠償保険からの支払いはなく、自賠責保険の対象にもならない。そのため、自動車保険に入り、「人身傷害補償保険」、「搭乗者傷害保険」などで乗車中のけがに備えておく必要がある。この2つは、相手の有無や過失割合によらず、あらかじめ定められた保険金が支払われる。

 過失割合は主に交通ルールを守っていたかによって左右される。まずは安全運転、ルールに従った運転・行動を心がけよう。

(文/西村有樹)
フリーライター。保険や資産運用などマネー系に強く、「All About」で自動車保険ガイド記事のほか、銀行や保険会社、証券会社などの刊行物、国交省、財務省等官公庁の媒体など幅広く執筆。ほかにも雑誌「プレジデント」「ベストカー」などでも多数の記事を担当する。
(校閲/株式会社ぷれす)

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