料率クラスとは?自動車保険の保険料との関係や決め方を解説

料率クラスとは?自動車保険の保険料との関係や決め方を解説

自動車保険の保険料を算出する要素のひとつに料率クラスがあります。同年代の人よりも自動車保険の保険料が高いと感じるようなら、料率クラスが原因の可能性もあります。

今回は、料率クラスの基本的な考え方や、保険料にどう影響するかをわかりやすく解説します。自動車保険の保険料を抑えるために覚えておきたいポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

また、本記事では、車を指す名称として「車両」「車種」と記載しておりますが、自動車保険における「車種」は「普通乗用車」など車の種別を指すため、区別して使用しています。

料率クラスとは保険料の計算要素のひとつ

料率クラスとは、型式ごとに車両をクラス分けしたものです。使用している車両の型式を確認するには、車検証を参照する必要があります。
■車検証の確認方法

車検証の確認方法

料率クラスは、自動車保険の保険料を計算する要素のひとつです。同じ車両に関する過去の事故状況、保険金の支払い回数、保険金の金額など、さまざまな条件をもとに設定されており、料率クラスの数字が大きくなるほど保険料が高くなります。車両の特性や型式ごとに事故のリスクに差が見られるため、こうした措置がとられています。

料率クラスの決め方

料率クラスは各保険会社が個々に決めるわけではなく、損害保険料率算出機構が、過去の事故実績や盗難実績などのデータをもとに決定しています

損害保険料率算出機構とは、損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益を保護する目的で設立され、中立な立場で公正に調査を行っている団体です。料率クラスがどのように決められているのか見ていきましょう。

新型車の場合

対象の車両が新型車の場合、過去の事故や盗難のデータを参照することができないため、販売価格や型式が近しい車両における過去の保険金支払い情報などを参考にして、料率クラスが決定されます。同じような価格帯、特徴の車両には、同様の傾向が見られることが予想されるためです。

新型車以外の場合

新型車以外であれば、すでに同型の車両を使用している人が数多くいることになります。そのため、料率クラスを決定する際の指標として、車両の事故や盗難の発生率を用いることが可能です。過去に事故や盗難被害が多い車両はリスクが高いと見なされ、料率クラスが高く設定されます

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料率クラスが適用される車種

料率クラスはすべての車種に適用されるわけではありません。どのような車種に料率クラスが適用されるのかを押さえておきましょう。

適用される車種

料率クラスが適用される車種は、主に次の3タイプです。一般家庭で買い物やレジャー、通勤などに使用している車種には、基本的に料率クラスが適用されます
料率クラスが適用される車種
・自家用普通自動車(大型セダンや大型ミニバンを含む普通車)
・自家用小型自動車(コンパクトカーや小型ミニバン)
・自家用軽四輪乗用車(軽自動車)

適用されない車種

料率クラスが適用されない車種は、人の移動だけではなく、荷物を載せたり宿泊したりするなど、特殊な用途に使われる車種です。次のようなタイプが該当します。
料率クラスが適用されない車種
・自家用小型貨物車(1BOXバンやライトバン)
・自家用四輪貨物車(軽1BOXバンや軽トラック)
・自家用普通貨物車(小型トラック)
・特殊用途自動車(キャンピング車など)

料率クラスの評価項目

料率クラスの評価項目

料率クラスは、自動車保険の基本補償である「対人賠償保険」「対物賠償保険」「傷害保険」「車両保険」の4つの項目で評価されます

普通車はクラス1〜17、軽自動車はクラス1〜3で各補償項目を評価するのが基本的な仕組みです。いずれもクラス1が最もリスクが低いと判断されていることを表しており、保険料が安く設定され、数字が大きくなるにつれて保険料が高くなります。
■普通車の料率クラスの例

普通車の料率クラスの例

過去に保険金の支払い実績が多い補償項目は、事故のリスクが高いと判断され、料率クラスが高くなります。
4つの補償は、それぞれどのようなリスクに対応しているのか、確認していきましょう。

対人賠償保険

対人賠償保険とは、車を運転していた際に事故を起こして他人にケガをさせたり、死亡させてしまったりした際の補償のことです。ケガをした相手の治療費や死亡させてしまった相手の葬儀費用をはじめ、事故の被害さえなければ得られていたはずの収入、精神的な苦痛を与えたことに対する慰謝料などが対人賠償に相当します。同じ型式の車での対人事故の発生状況を踏まえ、料率クラスが判断されます。

対人賠償補償は自賠責保険(強制保険)から保険金が支払われるものの、一般的に高額になりやすく、自賠責保険だけでは補償し切れないケースが少なくありません。そのため、自賠責保険の補償上限を超えた賠償金については任意保険の対人賠償保険によって補填されます。

対人賠償保険について、詳しくはこちらにまとめています

対物賠償保険

対物賠償保険とは、交通事故によって相手の車両や自転車など、物に損害を与えた場合の補償を指します事故に遭った相手の所有物以外に、道路標識やガードレール、周囲の建物などに与えた被害についても対物賠償保険の補償対象です。

なお、事故で生じる物的な損害には、「直接損害」「間接損害」があります。直接損害とは、「相手の車両の修理費用」「レッカー代」「道路標識の補修費用」など、直接的な損害です。
間接損害とは、事故によって物や店舗などが壊れた場合に間接的に生じる損害のことです。例えば、店舗を損壊させたことによって休業を余儀なくされた場合、「店舗の売上」「従業員の給与」などが該当します。

対物賠償保険について、詳しくはこちらにまとめています

傷害保険

傷害保険とは、運転中に運転者や同乗者に生じた死傷事故の損害を補償するための保険です。傷害保険には「人身傷害補償」「搭乗者傷害補償」の2種類があります。

人身傷害補償は過失割合にかかわらず、治療費などの実費が支払われる点が特徴です。搭乗者傷害補償は人身傷害補償とは異なり、負傷した部位や症状などによって保険金の金額があらかじめ決められています。

人身傷害補償について、詳しくはこちらにまとめています
搭乗者傷害補償について、詳しくはこちらにまとめています

車両保険

車両保険とは、運転中に事故や災害によって自身の車両車が受けた損害を補償するための保険です。車と車が接触・衝突した場合のほか、盗難や当て逃げ、落書きなどの器物損壊なども、契約時の条件によっては補償の対象となります

また、洪水などの水害により車両車が損壊した場合も補償の対象になる場合がありますが、地震、津波、噴火などの自然災害は補償の対象外となります。

車両保険について、詳しくはこちらにまとめています

料率クラスごとの保険料の差額

料率クラスが1上がると、保険料が約1.1倍になります普通車(自家用普通乗用車・自家用小型乗用車)の場合、最も低いクラス1と最も高いクラス17の保険料は約4.3倍、軽自動車(自家用軽四輪乗用車)の場合、クラス1とクラス3の保険料は約1.2倍の開きがあります
このように、料率クラスは自動車保険の保険料に少なからず影響を与えているのです。

なお、料率クラスは1年に1回見直されます事故や盗難の発生率が高くなった型式に関しては翌年の料率クラスが上がり、保険料も高くなるのです

※損害保険料算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み

料率クラスが影響するのは純保険料

自動車保険の保険料は、「純保険料」「付加保険料」から構成されています。純保険料とは、事故が発生した際の保険金の支払いにあてるための保険料です。一方、付加保険料は、保険会社が事業を維持するための費用に相当します。

これらは、保険料を決めるための基礎数値となり、純保険料率は損害保険料率算出機構によって算出されている一方、付加保険料率は各保険会社が独自に定めています

料率クラスに影響する「純保険料」

料率クラスが変わると、純保険料の算出に影響します自分自身が事故を起こしていなくても、同型の車両の事故発生件数が多くなればリスクが高いと見なされます

そのため、無事故の状態で車を運転していたとしても、翌年の保険料が上がってしまうことがあるのです

保険会社の裁量で決まる「付加保険料」

付加保険料は、各保険会社が決定します自動車保険の保険料をできるだけ抑えたい方は、保険会社と直接契約するダイレクト型(通販型)へ見直しを検討するのもひとつの方法でしょう

保険代理店などを通して加入する代理店型保険よりも、付加保険料が安い傾向があるためです。

保険料を抑えるために覚えておきたい車両の特徴

自動車保険の保険料に影響を与える料率クラスは、車種や型式によって異なります料率クラスが高い傾向にある車両と低い傾向にある車両にはそれぞれ特徴があるため、保険料を抑えるにはこの特徴を知っておくことが大切です

料率クラスが高い車両の特徴

料率クラスが高い車両には、「盗難被害に遭うリスクが高い」「修理費用が高い」「高齢者や若年層から人気がある」といった特徴があります。それぞれ、どのような特徴を持つ車両が該当するのか確認しておきましょう。

盗難被害に遭うリスクが高い車種
中古車市場において人気がある車種は盗難に遭うリスクが大きく、料率クラスが高く設定される傾向があります。リセールバリューの高い車種や高級車は、中古車として売りに出した場合の売却額も高くなることから、標準的な車両と比べて盗難被害に遭いやすいのです。
具体的には、「高級セダン」「高級ミニバン」「SUV」といった車種は盗難リスクが高いと見なされます

修理費用が高い車両
事故に遭った場合の修理費用が高額になりやすい車両も、料率クラスが高く設定されるケースが少なくありません。「高額な部品を使用しているスポーツカー」「修理に必要な部品を海外から取り寄せなければならない輸入車」などは、修理費用が高くなります。こうした車両の修理費用を対物賠償保険でまかなう場合、保険会社が支払う保険金もほかの車両と比べて高額になります。そのため、あらかじめ料率クラスを高く設定し、事故発生のリスクに備えているのです。

高齢者や若年層から人気がある車両
一般的に、認知機能に衰えが表れやすい高齢者や、運転経験が浅い若年層は事故のリスクが高いと見なされるため、両者が好んで購入する車両は、必然的に事故の発生リスクも高いと考えられます
もちろん、こうした車両を運転する誰しもが高齢者や若年層とは限りません。しかし、同型の車両の全体に見られる傾向として事故発生率が高いということは、料率クラスも高く設定されやすいことを意味しています。

料率クラスが低い車両の特徴

料率クラスが低い傾向がある車両には、どのような特徴があるのでしょうか。主な特徴は次のとおりです。

販売台数が多い車両
一般的によく売れているとされる車両や、多くの人が乗っている車両を選ぶことで、保険料を抑えられる可能性があります。販売台数が多い車両ほど、多くのドライバーが自動車保険に加入し、保険料を納めていることになります。補償の対象となる運転者の年齢層も幅広くなりやすいことから、事故が発生するリスクも分散されるケースが多いためです。

販売開始から年数が経っている型式の車両
販売開始から年数が経過した型式の車両は、料率クラスが安定している傾向が見られます。販売されたばかりの新型車は、同じような価格帯・特徴の車両を参考に料率クラスが設定されますが、これはあくまでも想定されるリスクをもとにした料率クラスのため、不安定な傾向があります。販売開始から年数が経つにつれて実績データも豊富になっていくことから、料率クラスが安定していくのです。保険料を抑えたい場合には、販売開始からある程度の年数が経過した型式の車両を選ぶといいでしょう

料率クラスを理解して保険料を抑えよう

料率クラスは自動車保険の保険料を計算する際の重要な要素のひとつです自動車保険の保険料をできるだけ抑えたい場合は、料率クラスが低い型式の車両を選ぶことをおすすめします。一方で、すぐに車を買い替える予定がないという方は、保険会社ごとに設定が異なる付加保険料が安い自動車保険を選ぶのが得策です。

ダイレクト型の自動車保険に乗り換えることで、保険料を抑えられる場合もあるでしょう。自動車保険の乗り換えを検討する際には、実際に加入している・加入していた方々の口コミを参考にされてはいかがでしょうか。

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自動車保険選びのポイント

任意保険には、対人・対物賠償や人身傷害補償、車両保険などさまざまな種類があります。事前にチェックして重視する補償を決めることが大切です。

自動車保険会社は、ダイレクト系と代理店系の2つに大きくわけられます。双方のメリット・デメリットをきちんと踏まえて選びましょう。

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