ペット保険の加入率とは?加入することのメリットを解説

ペット保険の加入率とは?加入することのメリットを解説

 近年、動物医療の進歩により、ペットの長寿化が進んでいます。長生きはうれしい反面、病気やケガのリスクが上がり、病院にかかる頻度も増えます。病院の窓口で高額な医療費を目の当たりにして、ペット保険への加入を検討する人も多いのではないでしょうか。

 ここでは、日本におけるペット保険の加入率と、加入することのメリットについて解説します。

ペット保険の起源はスウェーデン

 ペット保険の起源はスウェーデンです。1890年に家畜を対象とした保険が作られたのが始まりだといわれています。その後、1924年に犬を対象とした保険が世界で初めて作られました。

 1947年にはイギリスでペット保険の販売が開始され、それから半世紀近くが経った1980年、Veterinary Pet Insurance(VPI)社がアメリカ初となるペット保険の販売を開始しました。日本では、1995年に日本ペットオーナーズクラブ(現ペット&ファミリー損害保険)が日本で初となる「ペット共済(ペット保険の前身)」を販売しました。当時は、ペット保険という商品が認められていなかったため、共済制度としては誕生しましたが、2005年の保険業法改定により、ペット保険として認められて現在に至ります。

海外のペット保険の加入率は50%超えの国もある

 アクサダイレクトのペット保険によると、ペット保険のルーツとなったスウェーデンでは、ペット保険の加入率が50%を超え、イギリスは25%を超えており、ペット保険が広く普及しているといわれています。欧州ではペット保険への加入は一般的で、ペットの健康を守るために医療保険に加入することはもちろん、ペットが原因で起こるトラブル(人やほかのペットにケガをさせる、物を壊すなど)に備えて、賠償責任保険に入る人も多いようです。

 イギリスでは、ペット保険の収入保険料は毎年増収しており、2005年は犬対象の保険が2億3,660万ポンド、猫対象の保険が5,800万ポンドで、合計2億9,460万ポンド(日本円で約589億2,000万円、2005年の年間平均のレートである1ポンド=200円換算)となっており、前年に比べて17%増えています。このように、イギリスではペット保険の市場が年々拡大していることがわかります。

 さらに、アメリカでもペット保険の市場は拡大しています。アメリカの保険会社エンブレイスでは、2006年のペット保険市場を1億6,300万ドル(日本円で約189億800万円、2006年の年間平均のレートである1ドル=116円で換算)規模としており、2000年以降22%も増収していると発表しています。

※アクサ損害保険株式会社「アクサダイレクトのペット保険」パンフレット
※公益財団法人損害保険事業総合研究所「損保総研レポート 第81号 2007.9 ペット保険―イギリス・米国の現状と日本―」

日本のペット保険の加入率はまだ低い

 アニコムグループの調べによれば、日本のペット保険加入率は2021年時点で16.4%と、欧州諸国に比べて低くなっています。日本はペット保険の歴史が浅いため、まだ認知がそれほど広がっていません。それでも年々、加入率は上がってきています。

 また、野村総合研究所のレポートによると、日本のペット保険の市場規模は、2021年度決算で合計約1,000億円に迫り、毎年約10%以上の伸びを続けているとのことで、今後の継続的な成長が見込まれています。

ペット保険の加入率が上がっているのは複合的な要因が関係

ペット保険の加入率が上がっているのは複合的な要因が関係

 ペット保険の加入率が上がっていることには、どのような背景があるのでしょうか。次のような理由が考えられます。

ペット保険の認知向上

 加入率が上昇している理由のひとつに、ペット保険の認知度が上がっていることが挙げられるようです。この数年でペット保険は扱う企業も種類も増えたことで、検索サイトやSNSなどで保険商品の情報、関連ニュースなどが手軽に入手できるようになりました。そのため、個人で比較検討しやすくなっているのです。

ペット医療の高額化

 日本では、動物医療の技術や設備が進歩しており、高度な治療や手術も可能になっています。しかし、それに伴って医療費も高くなっており、全額自己負担となると大きな負担になります。このような医療費の高額化も、ペット保険の加入率上昇の理由のひとつといえるでしょう。

ペット保険の多様化

 昨今、ペット保険は種類やプランが増えて多様化しています。そのため、自分のペットや予算に合わせて選べるようになったことも、加入率上昇の一因となっています。

ペットの長寿化・家族化

 ペットの長寿化も、ペット保険の加入率を引き上げています。一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、2010年と2022年の平均寿命を比較すると、犬の場合でプラス0.89歳、猫の場合でもプラス1.26歳となっており、犬・猫共に平均寿命が延びていることがわかっています。人間と同様に、ペットも高齢になると病気やケガが起きやすくなります。病院にお世話になる頻度も増えることから、長寿化がペット保険の加入率を引き上げるのも自然なことといえます。

 家族の一員であるペットの健康や幸せを考えると、ペット保険への加入が必要だと感じる人も多いのではないでしょうか。

※一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」 

ペット保険に入っておきたい理由

 ペットの急な病気やケガに備えるのがペット保険です。事前に備えておくことで得られるメリットは、次の2点が考えられます。

治療の選択肢が広がる

 ペット保険に加入していると、高額な医療費を心配することなく、最善の治療を選択することができます。

 例えば、手術や高度な医療技術が必要な場合でも、保険が一部または全額を補償してくれるため、ペットの健康を最優先に考えることができます。これは、ペットの生活の質(QOL)を維持し、長生きしてもらうために重要です。

補償があることで病院へのハードルが下がる

 ペットが病気になったりケガをしたりした場合、治療費の心配から病院へ行くことをためらうこともあるでしょう。しかし、ペット保険に加入していれば、そのような心配は軽減されます。保険が補償してくれるため、早期発見・早期治療が可能となり、ペットの健康を守ることにつながります。 

ペット保険には早めに入るのがおすすめ

ペット保険には早めに入るのがおすすめ

 ペット保険の加入は、ペットの年齢が低く、健康なうちに加入することがおすすめです。その理由は次のとおりです。

年齢制限がある

 多くのペット保険は、ペットの年齢に制限があります。一般的に、年齢が低いペットほど保険に加入しやすく、保険料も安くなる傾向があります。

 また、高齢になると加入できないプランもあるため、早めに加入しておくと安心です。

既往歴によっては新規加入が難しい

 ペットがすでに病気やケガをしている場合、その病気やケガは保険の対象外となることが多々あります。そのため、健康なうちに保険に加入しておくことで、将来的なリスクをカバーすることができます。

ペットの医療費は全額自己負担

 日本では、公的な保険制度があるため、ほとんどの人が窓口で支払う自己負担金は1〜3割です。しかし、ペットの場合はそのような公的保険がないため、動物病院の医療費は自由診療となり、全額自己負担となります。

 ペットの医療費や手術費用は、動物病院によって大きく変動しますし、治療内容やペットの種類、体重などによりますが、一部の相場は下記のとおりです。
<犬の手術費用の一例>
・小型犬:6万4,000円(1回)
・中型犬:6万9,000円(1回)
・大型犬:8万4,000円(1回)
※ペットメディカルサポート株式会社「犬・猫の通院・入院・手術費用は、いくらかかるのか? ペット保険「PS保険」調べ」
<一頭あたりの年間診療費/0〜12歳平均額>

循環器疾患

7万7,888円

8万6,086円

呼吸器疾患

3万6,356円

3万723円

消化器疾患

3万88円

3万134円

肝・胆・膵疾患

7万3,297円

7万424円

泌尿器疾患

4万2,734円

7万6,590円

生殖器疾患

5万3,637円

7万8,864円

神経疾患

6万6,902円

5万2,625円

眼の疾患

2万9,116円

1万4,838円

耳の疾患

2万1,056円

1万6,762円

歯・口腔疾患

3万4,252円

3万5,696円

筋骨格系疾患

5万4,144円

2万9,763円

皮膚疾患

3万5,842円

1万9,077円

血液・免疫疾患

10万3,347円

8万3,362円

内分泌疾患

10万1,942円

10万2,826円

感染症

2万7,647円

3万953円

寄生虫症

2万1,838円

1万1,650円

損傷

1万5,326円

1万6,871円

腫瘍

6万6,524円

9万2,466円

症状

4万7,268円

4万3,273円

出典:アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭どうぶつ白書2016」
 ペット保険に加入していれば、これらの治療費用の一部が補償されることがあります。ただし、ペット保険に加入していても、保険が適用されない治療の場合は全額自己負担となります。

 ペットを飼う際には、このような医療費についても考慮することが重要です。医療費を気にすることなく、愛するペットに十分な治療を受けさせたい人には、ペット保険への加入をおすすめします。

ペット保険の加入率は今後も上昇する

 今回は、日本のペット保険の加入率と、ペット保険の加入の必要性について解説しました。

 日本のペット保険の加入率が、欧州諸国に比べて低い理由は認知の低さをはじめさまざまですが、ペットの医療費には公的な保険制度がありません。検査や手術、入院が必要になった場合、全額自己負担となり数十万円もの請求を受けることもあります。このような高額な医療費に備えるためにも、ペット保険に加入する人は、今後ますます増えていくことでしょう。

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