犬の治療費はどのくらいかかる?高額負担に備える方法を解説

犬の治療費はどのくらいかかる?高額負担に備える方法を解説

大切な家族の一員である犬には元気に長生きしてほしいですが、突然ケガや病気をしてしまうこともあり、その場合、高額な治療費がかかることもあります。

この記事では、犬の治療費は一般的にどのくらいかかるのかをご紹介するとともに、リスクに備えるためのペット保険のメリットについて解説します。ペット保険への加入を検討している人は参考にしてください。

犬の平均寿命は年々延びている

アニコム ホールディングス株式会社の「家庭どうぶつ白書2023」によると、犬の平均寿命は2008年以降年々延びており、2021年時点で平均14.2歳となっています。

なお、犬の寿命が延びた理由は、大きく分けて下記の4つです。

飼育環境の向上

犬の平均寿命が延びた理由のひとつは、飼育環境が向上し、昔のように屋外で暮らす犬がほとんどいなくなったことです。屋外は感染症や熱中症、事故のリスクが屋内に比べて高まります。

しかし、現在は多くの犬が家族の一員として、適切な温度に保たれた室内でストレスの少ない環境のもとで生活するようになりました。

栄養状態の改善

ペットフードが高価格化し、品質が向上したことで犬の栄養状態が良くなっていることも犬の平均寿命が延びた理由のひとつです。

犬にとって最適な栄養価を研究して作られた専用のフードを与えることで、健康な犬が増えています。

動物医療の技術向上

犬の平均寿命が延びた理由としては、動物医療の技術が向上し、人間と同じような高度医療を受けられるようになっていることも挙げられます。

がんや腎疾患など、重篤な病気にかかった際も、適切な手術や薬物による治療を受けさせるケースが増えています。

ペット保険の普及

ペット保険の普及により、ペットを動物病院に連れて行く飼い主が増えたことも、犬の平均寿命が延びた理由として考えられます。

なお、ペット保険に加入する飼い主は、通院・入院・手術が補償されるプランのほかに、ペットが原因で起こるトラブル(人やほかのペットにケガをさせるなど)に備えて、賠償責任保険をつけるケースも多いようです。

犬を飼う費用はいくら必要?準備費用や医療費などを解説

動物病院の利用頻度は年齢とともに増える

一般社団法人ペットフード協会が行った「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」によると、1年間の動物病院の利用頻度の平均は0歳(幼年期)で5.08回1〜6歳(成齢期)で4.05回7歳以上(高齢期)で5.66回となっており、年齢が上がるほど利用頻度が増えています。

また、13歳以上になると、がんや腎不全などの加齢に伴う病気にかかるケースが増え、毎日薬が必要になることもあります。そのため、以前よりも動物病院の利用頻度が増えて、治療費などの金銭的な負担も増えているようです。

犬のケガや病気にかかる治療費は?

犬のケガや病気にかかる治療費は?

犬がケガや病気になった場合、一般的にどのくらいの治療費が必要になるのでしょうか。「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間にかけたケガや病気の治療費の平均(2022年)は6万7,367円となっています。

大型犬の治療費は高額

多くの場合、犬の治療費は大型犬が最も高額になります。これは、大型犬は体格が大きく、小型犬に比べて治療の際に薬が多く必要になるためです。

家庭どうぶつ白書2022」によると、小型犬の1年間にかけた治療費の平均が5万7,727円であるのに対して、大型犬は6万8,671円となっています。

年齢が上がるほど治療費は高額に

犬も人間と同様に、高齢になるほど病気にかかりやすくなるため、動物病院での治療費も上がる傾向にあります。
家庭どうぶつ白書2023」によると、年齢別の1年間の診療費の平均は、0歳が5万9,078円4歳が6万8,305円8歳が12万2,872円12歳が20万3,492円です。

1つの病気にかかった治療費の平均最大額は大型犬がトップ

公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、1つの病気の治療費の最大額の平均は、大型犬が7万4,893円中型犬が5万9,386円小型犬が6万6,533円超小型犬が5万8,046円となっています。
このほか、入院・手術が必要になった場合は、さらに高額な費用を請求されることもあるため、事前の確認が必要です。

ペットの医療費はどれくらいかかる?高額負担に備える方法を解説

犬がかかりやすい病気と起こしやすいトラブル

犬は、どのようなときに動物病院にかかることが多いのでしょうか。特に犬がかかりやすい病気や、注意が必要なトラブルは下記のとおりです。

皮膚病

犬は皮膚病にかかりやすいですが、その原因はアレルギーや細菌、寄生虫によるものなどさまざまで、多くはかゆみを伴い、毛が抜けやすくなります。ラブラドール・レトリーバーなどの垂れ耳の犬種は、特に外耳炎を発症することも多いようです。

また、皮膚病は塗り薬や抗菌薬などで処置することが多く、1回の治療費は3,000〜5,000円程度です。なお、犬は年齢が上がるにつれて皮膚病にかかりやすく、「家庭どうぶつ白書2019」によると、皮膚病による年間診療費の平均は、0歳で1万6,402円、1〜4歳で3万279円、5〜8歳で4万2,766円、9〜12歳で5万1,254円となっています。

犬の皮膚病の種類とその原因は?症状と予防方法についても解説

消化器疾患

家庭どうぶつ白書2023」をもとに犬の疾患別の請求割合を見てみると、最も多いのが消化器疾患で、原因はアレルギーやストレス、細菌などさまざまです。

なお、犬は人間に比べて消化器官が短く、哺乳類の中でも最も短いといわれており、下痢や軟便、嘔吐などの症状が出やすいため、特に低年齢のうちは注意が必要になります。

愛犬が下痢をしたらどうする?原因や対処法を解説
犬の嘔吐はなぜ?飼い主が知っておきたい犬が吐く原因と対処法

異物誤飲

犬は元々好奇心が旺盛で、特に子犬のうちは口の中に物を入れて感触を確かめたり、それが何かを理解しようとしたりするため、異物誤飲の事例が多く報告されています。
異物誤飲は重大な事故につながるおそれもあるため、発見次第すみやかに動物病院に連れていくことが重要です。

犬種によってかかりやすい病気がある

犬は犬種によって、かかりやすい病気があります。「家庭どうぶつ白書2023」を参考に、代表的な犬種別のかかりやすい病気についての統計を見ていきましょう。

トイ・プードル

トイ・プードルは、ほかの犬種に比べて糖尿病白内障歯周病歯肉炎(乳歯遺残に起因するもの含む)にかかりやすいことがわかっています。

糖尿病の年間診療費は、中央値で17万853円です。

犬の糖尿病の症状とは?原因と治療法、予防方法も解説
犬の白内障は治らない?原因や症状、治療の方法について

チワワ

チワワは、ほかの犬種に比べて循環器が弱く、弁膜症をはじめ、そのほかの循環器疾患にかかりやすいことが知られています。

弁膜症の年間診療費は、中央値で8万3,150円です。

ミニチュア・ダックスフンド

ミニチュア・ダックスフンドは、胴が長い特徴から、椎間板ヘルニア腰痛になりやすいことがわかっています。

椎間板ヘルニアの年間診療費は、中央値で2万3,909円です。

柴は、アトピー性皮膚炎アレルギー性皮膚炎(抗原特異的)、皮膚の痒み(原因未定)などの皮膚疾患にかかりやすいようです。

アトピー性皮膚炎の年間診療費は、中央値で4万4,490円です。

犬の治療費が高額になる理由

犬は人間のように公的な医療保険がなく、治療費は飼い主が全額を負担することとなってしまうため、どうしても高額になるほか、動物病院は自由診療で、治療費の設定も病院ごとに異なります。

そのため、同じ治療を受けた場合でも、治療費がA病院では1万円、一方、B病院では2万円という場合もあるので、注意が必要です。

また、健康な犬であったとしても、ワクチン接種や健康診断にかかる費用、避妊手術などの治療費は別途必要になります。公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、具体的な費用は、犬混合ワクチン(5種・6種)が6,388円、健康診断(1日ドッグ)が1万4,021円、避妊手術は、去勢が1万7,675円、卵巣切除が2万6,780円、卵巣子宮切除が2万7,413円です(いずれも中央値)。

このように、犬を飼育するためには、ケガや病気の治療費以外にもさまざまな費用がかかることは覚えておきましょう。

ペットの健康診断はペット保険の補償対象?検査項目や費用も解説
犬の手術費用はどのくらいかかる?手術の理由や費用について解説

犬の治療費の自己負担額を減らすならペット保険がおすすめ

犬の治療費の自己負担額を減らすならペット保険がおすすめ

犬がケガや病気をした場合、できるだけ最善の治療を受けさせたいですが、これまで説明してきたように、犬の治療費は高額になりやすいです。そのため、経済的な負担に備えて、あらかじめペット保険に加入しておくことをおすすめします。

ペット保険の補償対象となるのは、主に通院入院手術の3つですが、これらすべてを補償する「フルカバー型」と、いずれかを補償する「特化型」に分かれます。

一般的に、フルカバー型は保険料が高額になり、特化型は保険料を安く抑えることが可能です。ほかに、自賠責の補償がついているものやペットの葬儀費用を補償してくれるものもあります。

なお、ペット保険は、健康診断や予防接種など病気の予防に関わる行為や避妊手術は補償対象外になりますが、幅広いケガや病気の治療費を補償してくれるため、いざというときに安心です。

ペット保険を選ぶ際のポイント

ペット保険を選ぶ際は、補償割合と補償制限、保険料のバランスを考えて選ぶことが大切です。なお、補償割合は通常、50%か70%のいずれかに設定されていますが、補償割合が高くなるほど保険料も高くなります。

ほかに「ペットの犬種が発症しやすいケガや病気の補償」「高額医療費への対応」「1日あたりの支払い金額の上限や通院日数の上限」「更新時の条件変更の有無」なども、大切なチェックポイントです。

ペット保険の選び方が知りたい!比較検討のポイント紹介

ペット保険の加入タイミング

ペット保険の加入条件は、ペットが健康体であることが前提にあり、新規加入の際は持病があると加入が難しい場合があります。

また、多くの場合、年齢制限があるため、ペット保険の加入は犬が若く健康なうちに検討するのがおすすめです。

知っておきたいペット保険の加入条件!治療中や病気でも入れるの?
ペット保険には年齢制限がある?加入する際の注意点を解説

犬の治療費に備えてペット保険の加入がおすすめ

犬のケガや病気の治療費は、人間のような公的な医療保険がなく自由診療となるため、飼い主の負担がどうしても大きくなりがちです。日々の通院にかかる費用はもちろん、入院・手術が必要になった場合は、さらに高額な治療費がかかってしまうこともあり、そうした場合に備えてペット保険への加入をおすすめします。

なお、ペット保険は保険会社やプランによって補償内容や保険料が大きく変わるため、大切なペットが十分な治療を受けられるよう、複数の保険会社でそれぞれのプランを比較検討して、ご自身とペットに合った保険を選びましょう。

オリコンでは、日本最大級の規模で実際の利用者による満足度調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や適用内容別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。

ペット保険とは?補償内容や選ぶポイントを解説
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

当サイトで公開されている情報(文字、写真、イラスト、画像データ等)及びこれらの配置・編集および構造などについての著作権は株式会社oricon MEに帰属しております。これらの情報を権利者の許可なく無断転載・複製などの二次利用を行うことは固く禁じております。