犬の歯周病の原因・症状・治療法と自宅でできる予防策
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口臭や歯茎の赤みや腫れなどから始まり、進行すると歯のぐらつきや脱落、顎の骨や全身への影響につながることもあります。
本記事では、犬の歯周病の原因・症状、歯肉炎と歯周炎の違い、動物病院での診断・治療方法を解説します。自宅でできる予防策やデンタルケア、ペット保険で補償されるかについても紹介しますので、愛犬の口臭や歯石が気になる方、日頃のケアを見直したい方は参考にしてください。
監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢
日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
犬の歯周病とは?歯肉炎・歯周炎の違いと進行の仕組み
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初期段階では歯茎に炎症が起こる「歯肉炎」として現れ、進行すると歯槽骨など歯を支える組織にまで炎症が広がる「歯周炎」へと移行します。
一度失われた歯槽骨を元の状態に戻すことは難しいため、歯周病は早い段階で気づき、進行を防ぐことが大切です。
犬の歯周病の症状
歯周病の進行段階と主な症状は、以下のとおりです。
| ステージ | 段階 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 1 | 歯肉炎 | 歯茎のわずかな赤み・腫れ、ごく少量の出血 |
| 2 | 軽度歯周炎 | 歯茎の明らかな腫れ・出血、口臭の悪化、歯茎の後退 |
| 3 | 中程度歯周炎 | 口臭がさらに強くなる、歯のぐらつき |
| 4 | 重度歯周炎 | 奥歯を含む歯のぐらつき・脱落、膿の排出、強い口臭 |
歯肉炎・歯周炎それぞれの特徴と違い
一方、歯周炎は、炎症が歯茎だけでなく、歯槽骨や歯根膜など歯を支える周辺組織にまで広がった状態です。歯槽骨が破壊されると、歯がぐらついたり、抜け落ちたりすることがあります。
現在の獣医療では、破壊された骨を完全に元へ戻すことは難しいとされているため、歯周炎まで進行する前の対策が重要です。
| 項目 | 歯肉炎 | 歯周炎 |
|---|---|---|
| 炎症の範囲 | 歯茎のみ | 歯茎+歯槽骨など周辺組織 |
| 完治の可否 | 治療により治癒が見込める | 完治は極めて難しい |
| 主な治療 | 歯垢・歯石除去 | 歯石除去・抜歯など |
歯垢・歯石が引き起こす進行のメカニズム
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炎症が進むと、歯と歯茎の間にある歯周ポケットが深くなり、その中にさらに歯垢や細菌がたまりやすくなります。
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歯垢の一部は、唾液に含まれるミネラルによって石灰化し、歯石になります。
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歯石の表面はざらついているため、新たな歯垢が付着しやすい状態です。また、口腔内の細菌が増えると、揮発性硫黄化合物などの悪臭ガスが発生し、強い口臭の原因になることがあります。
犬が歯周病になりやすい要因
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犬は人間と比べて歯垢が歯石に変わるまでの期間が短く、歯周病になりやすいとされています。なかでも小型犬や短頭種は、顎の大きさや歯並びの影響で歯垢・歯石がたまりやすく、歯周病のリスクが高くなる傾向があります。
また、不正咬合と呼ばれる噛み合わせの悪さや、乳歯遺残と呼ばれる乳歯が抜けずに残っている状態も、歯周病のリスクを高める要因です。歯と歯の間に汚れが残りやすくなるため、子犬のうちから口の中の状態を確認し、気になる点があれば早めに動物病院へ相談しましょう。
小型犬・短頭種がリスクの高い理由
歯と歯の間が狭かったり、歯が重なって生えていたりすると、歯ブラシが届きにくく、汚れを十分に落とせない場合があるためです。
また、小型犬は歯を支える骨量が少ない部分があるため、歯周炎が進行すると歯がぐらついたり、抜けたりするリスクが高くなる可能性があります。見た目に大きな変化がなくても、歯茎の奥で炎症が進んでいることがあるため、日頃から口臭や歯茎の状態を確認することが大切です。
歯並びの異常・乳歯遺残によるリスク
生え替わりの時期に乳歯が残っている、歯が重なって生えている、噛み合わせに違和感があるといった場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
動物病院での歯周病の診断方法
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そのため、動物病院では視診や触診に加えて、必要に応じて歯科レントゲンやCTなどの画像検査、歯周ポケットの深さを測る検査を組み合わせて診断します。これらの検査により、外から見ただけではわからない歯根部分の異常や歯槽骨の破壊、骨折リスクなどを確認できます。
一見すると歯石が少なく、口の中に大きな問題がないように見える場合でも、画像検査で歯槽骨の吸収や歯根周囲の異常が見つかるケースもあります。
視診・触診による口腔内の確認
画像検査・歯周ポケット測定による確定診断
犬の場合、口の中を長時間開けた状態で精密に検査することは難しいため、歯科レントゲンやCT検査、歯周ポケット測定は全身麻酔下で行われることがあります。
歯周病の治療方法:軽度から重度まで
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歯垢や歯石を取り除き、歯周病菌が増えやすい環境を改善することで、炎症の進行を抑えます。治療では、歯の表面だけでなく、歯肉の下に隠れている歯石や汚れまで除去することが大切です。
歯周病によって壊れた歯槽骨を元の状態に戻すことは難しいため、治療では「いかに歯を残しながら、痛みや感染の原因を取り除くか」が重要になります。
軽度(ステージ1〜2)の治療内容
この時期であれば、毎日の歯磨きを継続し、歯磨きの方法やケア用品の選び方について獣医師の指導を受けることで、改善が見込める場合があります。
この段階では、麻酔下でスケーリングし、見えにくい部分の歯石まで丁寧に取り除きます。早い段階で治療を受けることで、歯周病のさらなる進行を防ぎやすくします。
中程度〜重度(ステージ3〜4)の治療内容
無麻酔歯石除去が推奨されない理由
しかも、見た目だけがきれいになるため、飼い主が安心している間に、歯茎の奥で歯周病が重症化してしまうリスクがあります。無麻酔では歯周ポケットの奥まで十分に清掃することが難しく、根本的な治療につながらない場合があります。
無麻酔の最大の問題は、表面だけが白くなることで飼い主様が「治った」と安心し、歯茎の奥で歯周病がさらに悪化する(隠れ歯周病の進行)点にあります。
リスクや負担を考えると、歯石除去程度に全身麻酔をしたくない飼い主様の気持ちはよく分かりますし、人間の歯科治療を基準にしてしまいがちですが、そこはご理解いただいた方が、僕らとしても嬉しいです。
処置中に犬が動くと、歯や歯茎、口の中を傷つける可能性があり、歯石片や水を誤って飲み込むことで誤嚥性肺炎につながるリスクも考えられます。口腔内の傷から細菌が血液に入り、菌血症を起こす可能性もあります。
歯周病を放置した場合に起こる全身への影響
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初期のうちは口臭や歯茎の赤みなど軽い症状に見えることもありますが、進行すると痛みで食事がしにくくなったり、顔が腫れたり、くしゃみや鼻水が増えたりする場合があります。さらに重度になると、命に関わる状態につながることもあるため、早めの発見と治療が大切です。
歯周病を放置した場合に起こりうる主な合併症は、以下のとおりです。
合併症 | 概要 |
顎骨骨折 | 歯槽骨が破壊され骨が薄くなることで顎が骨折。小型犬は特にリスクが高い |
根尖歯周膿瘍 | 歯根に膿がたまり、頬の腫れや排膿が生じる |
慢性鼻炎・口腔鼻腔瘻 | 膿が鼻に広がり、くしゃみ・鼻水・慢性鼻炎を引き起こす |
目の下の腫れ・眼周囲への炎症 | 奥歯の感染が目の下に広がる可能性がある |
心臓・腎臓・肝臓への影響 | 心臓・腎臓・肝臓などに影響を及ぼす可能性がある |
重篤な全身感染 | 口腔内の細菌が血液中に入り込み、重篤な場合は全身状態の悪化につながる可能性がある |
自宅でできる歯周病の予防とデンタルケアの方法
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とはいえ、いきなり歯ブラシで磨こうとすると、犬が嫌がってしまうことがあります。まずは口元に触られることに慣れさせるところから始め、少しずつ歯ブラシや歯磨きの動作に慣らしていきましょう。
歯磨きトレーニングの進め方と頻度の目安
歯磨きトレーニングは、以下のような流れで進めるとよいでしょう。
1. 口元にやさしく触れる
2. 指で歯や歯茎に軽く触れる
3. 歯ブラシを見せてにおいを嗅がせる
4. 歯ブラシを歯に当てるだけにする
5. 短時間のブラッシングから始める
子犬の場合は、家に迎えたら(生後2〜3か月頃から)すぐに口に触る練習を始め、永久歯が生えそろう生後6か月ごろまでに歯ブラシに慣れさせておくのが理想です。
生後6か月を過ぎてから歯磨きを始めようとしても、警戒心が強くなっているため、多くの犬が歯ブラシを嫌がって挫折します。
乳歯の時期(生後2〜3か月)の「何でも受け入れやすい社会化期」から口に触る・歯ブラシを当てる練習を始めておくことが、将来も継続的に歯磨きができる「習慣」を作る上でとても大切です。
デンタルケア製品の選び方と活用のポイント
主な犬のデンタルケア製品には、以下のようなものがあります。
■歯ブラシ
■デンタルジェル
■デンタルガム
■歯磨きシート
■液体デンタルケア
■デンタルケア用のおもちゃ
目安としては、犬の歯で跡がつく程度の硬さのものを選ぶとよいでしょう。骨やひづめなど極端に硬いものは、犬の歯に負担をかける可能性があります。
自宅でできるセルフチェックの方法
自宅では、以下のような項目をチェックしてみましょう。
■口臭が強くなっていないか
■歯茎が赤く腫れていないか
■歯磨き中や食事中に出血していないか
■歯垢や歯石が付着していないか
■くしゃみや鼻水が増えていないか
■歯がぐらついていないか
■頬や目の下が腫れていないか
■硬いフードを食べにくそうにしていないか
■口元を触られるのを嫌がるようになっていないか
動物病院での定期クリーニングの重要性
歯周ポケット内の清掃や、歯肉縁下の歯石除去には、動物病院での専門的なクリーニングが必要です。
歯周病はペット保険で補償される?
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一般的に、歯周病や歯肉炎などの治療を目的とした診療であれば、補償対象になる商品もあります。
一方で、健康な状態で行う歯石除去や予防目的のデンタルケア、定期クリーニングなどは、補償対象外となる場合が一般的です。
また、加入前から歯周病の症状があった場合や、待機期間中に発症した場合は、補償されない可能性もあるため注意が必要です。
■歯周病・歯肉炎が補償対象に含まれているか
■歯科治療全般が補償対象か、一部のみ対象か
■歯石除去は治療目的の場合のみ補償されるのか
■予防目的のクリーニングは対象外か
■抜歯・投薬・検査費用が補償されるか
■既往症や待機期間中の発症がどのように扱われるか
犬の歯周病を早期に発見・予防して愛犬の健康を守ろう
また、歯周病は進行すると抜歯や外科処置が必要になり、治療費が高額になる場合もあるため、ペット保険への加入がおすすめですが、選ぶ際には、歯周病や歯科治療が補償されるペット保険を選ぶことが大切です。なお、予防目的の歯石取りやクリーニングは対象外となることがほとんどですので、加入前に補償範囲を確認しておきましょう。
なお、オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や精算方法別など、さまざまな視点でランキングをご確認いただけます。ペット保険を選ぶ際は、ぜひ参考にしてください。
監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢
日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
・獣医がん学会
・日本エキゾチックペット学会
・鳥類臨床研究会(鳥類臨床研究会認定医)
・爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会
●まさの森・動物病院
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。