申告書の書き方
確定申告を行うには、申告書の作成と提出が必要不可欠だ。申告書はゼロから手作りするわけではなく、所定の申告書が用意されている。あらかじめ記載されている該当項目に金額を記入していくだけで良いのだが、申告する内容によって用紙が分かれていたり、普段使わない専門用語が並んでいたりするので、初心者にとっては高いハードルと感じてしまうかもしれない。
申告書を本格的に作成する前に、まずは申告書の概要や用語の意味、書き方の基本をおさえよう。
A. まず確定申告書は大きく分けて、「第一表」と「第二表」が2枚1セットになった「申告書A」と「申告書B」がある。申告書A、Bの両方とも提出する必要はなく、それぞれ対象者が決まっている。どちらを選べばいいかは下記のとおりだ。このほか、必要がある場合に限り「第三表(分離課税用)」、「第四表(損失申告用)」、「先物取引に係る雑所得等の金額の明細書」の提出も必要になってくる。
【申告書A】申告する所得が給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみの人が使用する用紙。申告する範囲が限定されているので、申告書Bの簡易版ともいえる。
所得の種類にかぎらず、誰でも使用できる申告書。申告書Aよりもカバーしている項目が多く、個人事業主はこちらを使う。
この申告書Bとともに、土地や建物の譲渡所得、株式の譲渡所得などがある場合には、分離課税用の「申告書第三表」を、また株式譲渡などにかかわる損失を翌年以降に繰り越して精算する場合などには、損失申告用の「申告書第四表」を作成し、一緒に提出する。
A. 「申告書A」を例に、どの項目に何を記入すればいいのかチェック。聞きなれない単語ばかりで難しいように感じるかもしれないが、各記入事項の内容をしっかり理解できれば、「意外と簡単!」と思えるかもしれない。
申告書A第一表(左)と第二表(右)
1年間で得た「収入金額」と、そこから必要経費を差し引いた「所得金額」(給与の場合は、給与所得控除後の金額)を記入する。
社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、寄附金控除など、所得から差し引かれる金額を計算する。 ※個別の詳しい計算方法は、国税庁ホームページを参照
「B.所得金額」から「C.所得から差し引かれる金額」を差し引き、所得に課される税額(課税所得額)を計算。算出された税額から減免される金額(税額控除額)や源泉徴収税額などを引き、実際に申告する納税額を確定する。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
還付申告の場合、振り込みを希望する預貯金口座を記入する。口座の名義が「旧姓」だったり、店名や事務所名などの屋号が含まれる場合に振込みができない場合があるので、注意しよう。
「第二表」は、第一表に記入した数字の詳しい内訳を記入する。所得の内訳については、給与所得なら「給与(所得の種類)/株式会社○○(種目・所得の生ずる場所)/○○円(収入金額)」、株式の配当所得なら「配当/○○株式会社/○○円」など。 また一般的には、給与所得については「源泉徴収票(原本)」、株式の配当なら「支払通知書」など、それぞれの支払いを示す書類を別途「添付書類台紙」に貼り付けて提出する必要があるので、申告しなければならない所得がある人はきちんと保管しておこう。
第一表に記入した「所得から差し引かれる金額」の詳細を書き入れる。社会保険の種類や支払保険料、生命保険料の内訳や、扶養親族の氏名・続柄・生年月日などを記入する必要がある。
A. 初めての申告で不安な人は、国税庁ホームページにアクセスしてみよう。ホームページ内にある「確定申告書等作成コーナー」から「質問形式による申告書作成」を利用すると、より簡単に申告書が作成できて便利だ。
下記のような質問項目に「はい」「いいえ」で答えていくだけで、入力が必要な項目を自動的に絞り込んでくれ、あとは数字を打ち込むだけという仕組み。「今年は医療費がかかったから…」「マイホームを建てたから…」と、自分が当てはまる項目をチェックするだけなので考え込む必要もない。
質問形式による申告書作成ページ
<質問形式による申告書作成ページまでのアクセス方法>
下記の通りに進んでみよう
経済的に余裕がある人や、忙しくて時間がないという人、申告するものがたくさんある人は、思い切って税理士事務所や代行業者などに依頼するのもひとつの選択肢だろう。サービス内容や費用を比較して、自分に合ったところを選ぼう。
A. 申告する内容によって、添付が必要な書類は違う。必要経費の領収証などすでに手元にある書類から、源泉徴収票など会社から渡されるもの、住民票や各種契約書の写しなど取り寄せが必要になるものまで種類はさまざまだ。 確定申告にあたり、自分が用意しておかなければいけない必要書類については、各確定申告の特集ページで確認しよう。
※今回の特集内で紹介している情報やデータは2013年12月現在のものです。変更される場合もありますので、ご注意ください。